9-37 新型護衛艦「やまと」
2028年5月30日、日本政府は5年以上の歳月を経ての研究・開発によって4隻の護衛艦が就役した。この4隻はイージス艦としてミサイル防衛の役割を全うする。そして、その艦に付けられた艦名が「やまと」「むさし」「みかさ」「ながと」である。
また、「やまと」はイージス艦として始めての艦載機が搭載可能の護衛空母艦として就役するのである。そのため第8護衛空母艦隊が編成されることが決まった。
海上自衛隊 佐世保基地
大島総理は佐世保基地にてイージス航空護衛艦「やまと」と超動力ミサイルを搭載した護衛艦「むさし」の就役式に臨んだ。厳重警備の中、式が執り行われる。古の戦艦が海上自衛隊の護衛艦として復活したという情報を聞き多くの観覧客が訪れた。
大島総理は壇上に上がり、話を始める。
「本日、お忙しい中護衛艦「やまと」「むさし」「みかさ」「ながと」の就役式に足をお運びいただき誠にありがとうございます。さて、現在我が国は異世界転移以降極めて厳しい戦闘の渦中にあります。ですが今日この日、更なる海上防衛を強固にするために海上自衛隊の新型イージス艦「やまと」「むさし」「みかさ」「ながと」と命名いたしました」
大島総理の背後には4隻の艦が並んでいる状態であった。現地に見に来ていたミリオタからしてみれば激アツな日になるであろう。周囲からは歓声が上がっていた。
「ではまず各艦の特徴をお話ししていきます」
大島総理は佐世保地方総監・青山武にバトンタッチした。
「佐世保地方総監の青山です。先ほど総理からお話があったように各艦の特徴、そして今後の海上防衛の在り方について話して参ります」
青山は最初に護衛空母「やまと」を紹介した。
「こちらの航空護衛艦「やまと」は艦載機搭載可能であり、F35戦闘機を約50機載せることが可能です。また、最新のAIを搭載したミサイル防衛システムを配備した護衛艦となっております」
ミサイルも搭載可能な航空護衛艦「やまと」は必ず今後の海戦で役に立つだろう。
「航空護衛艦「やまと」と隣にありますのが「むさし」です。艦載機搭載は不可能ではありますがハープーン改ミサイルや26式空対空ミサイルや我が国が交戦国から鹵獲した超動力ミサイルによる対空防衛は余程のことがない限り突破されることはありません」
古の戦艦たちが護衛艦として復活した姿に感動するものもいた。
「そして「むさし」の隣にありますのが約130年前に活躍した戦艦「三笠」を護衛艦「みかさ」として第8護衛空母艦隊に組み込みました。護衛艦「みかさ」は航空護衛艦「やまと」を防衛する上で最も重要です。なぜならAIによって敵が発射したミサイルを全撃墜するための軌道などを演算する他、バイラクタルTB3が搭載可能です」
バイラクタルTB4Sは1隻につき5機を艦載させることが可能である。武装しているのは対艦攻撃ミサイルや小型のトマホークミサイルを配備することが可能である。
青山が次の艦を紹介する。
「続いては「ながと」です。この艦はステルス艦となっており、新型SSM8連装発射筒4基の合計32発の装填が可能です。また、もがみ型護衛艦と近しい性能を保持しています。さらに、mk41ミサイル発射管2基20セルを完備しています。以上で4隻の紹介を終わらせていただきます。ありがとうございました」
観客からは大きな拍手が聞こえてきた。これらの艦は現在開発中の護衛艦「ゆうだち」「ひえい」を加えた6隻編成の第8護衛空母艦隊を第5海上師団に組み込む予定である。また、2040年までに護衛艦「ふぶき」「あしがら」「ずいかく」「きりしま」「むつ」の第9護衛空母艦隊を編成する予定である。
最後に大島総理から一言あるため壇上に上がっていった。
「何度も言えることですがこの護衛艦たちは今後我が国の海上防衛の要となるでしょう。これは侵略・殺戮の兵器ではなく守るためにあるのです!これからもどうぞよろしくお願いします」
これで護衛艦4隻の就役式が終了した。4隻の艦らは7月1日付けで佐世保基地に配備される。以下が各護衛艦内の人事である。
護衛空母艦「やまと」艦長・藤崎哲平 副艦長・生方脩平
護衛艦「むさし」艦長・田口順平 副艦長・大貫尚行
護衛艦「みかさ」艦長・山潟住基 副艦長・笠原一弥
護衛艦「ながと」艦長・城島寿樹 副艦長・宇榮原俊亮
「以上が艦長・副艦長の紹介となります。よろしくお願いします」
各艦の艦長・副艦長と乗組員全員は掲揚された日本国旗に敬礼した。異世界転移しても日本を取り巻く安全保障は悪化し、戦いという道へと進んでいる。この4隻の役割は海上防衛のみならず危機を排除する役割もあるのだ。
*同日夕方 ボルドー国南西沖 武蔵連邦国海軍第13艦隊
ボルドー国南西沖の制海権を獲得した武蔵連邦海軍第13艦隊は駆逐艦「倖」「榮」「荵)」「罨暸」「福(ふく)」、空母「冲麗」の編成である。
「柳艦長、制海権奪取に成功しましたがこの海路ですと敵駆逐艦と接敵します」
「問題ない。敵の駆逐艦などすぐに片付けられる。現状維持で行動せよ」
「了解」
ボルドー国南西沖800kmチェミン海にて激しいミサイル戦を繰り広げた武蔵連邦海軍とボルドー海軍は武蔵連邦側に軍配が上がった。残存艦が当該海域から離脱した。後を追うため第13艦隊は艦対艦ミサイル15発を発射した。
「駆逐艦「福」より通達。発射ミサイル全弾命中!航行不能による浸水と沈没を確認!」
「了解。救援機による敵乗組員の救助を開始せよ」
武蔵連邦海軍駆逐艦は離脱したボルドー海軍駆逐艦2隻を撃破した。これにより救難機を飛ばし救助に当たった結果23名の捕虜を獲得した。それ以外の334名は行方不明のままである。
すると再び新たな通達が入る。
「艦長、国際同盟軍より新たな司令が下されました。内容を申し上げます。【国際同盟軍司令部より通達。日本国島嶼部の奪還作戦が6月10日より開始される。参加国は日本国・アメリカ合衆国・同盟軍派遣部隊である。作戦参加の意志がある国は至急司令部へ】だそうです。どうしますか?」
「日本は我が国と友好的は関係かつ、文化も似ている。兵力は送れないが武器支援は可能だ。同盟軍に武器支援協力を通達せよ」
「了解です」
八丈島奪還作戦敢行日が6月10日に決まった。まだその日は護衛空母艦「やまと」などは出撃できないが長期戦となった場合総理と防衛大臣と同盟軍司令部の判断では出ることも可能である。
「日本の第8護衛空母艦隊か・・・データから見るにとても興味深い艦隊だな」
柳艦長は護衛空母艦「やまと」や「むさし」「みかさ」「ながと」らの第8護衛空母艦隊に興味津々であったがボルドー海軍艦艇の出現が無いか周囲警戒を厳としながら考えていた。
至らない点がありましたらよろしくお願いします
追記 護衛艦「やまと」の航空機搭載可能数は米海軍空母「ロナルド・レーガン」と護衛艦「いずも」を参考にしました。