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日米転生   作者: 照山
第9章 新戦争編
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9-32 米本土戦線 part 3 -ワシントンD.C-

ボルドー軍の空挺団が壊滅的被害を被ってから2日が経とうとしている。あの爆撃以降、マーズ団長を含めたワシントンD.C.攻略部隊の戦意と士気は低下しつつある。一方、盟友を失った団長は叱咤激励をした。


「いいか全員!ここで戦わなければ我が国の明日は無い!自分自身副団長という盟友の命が奪われたのは大変心苦しく辛いが、いつまでも落ち込んでいてはその間に敵の手中に落ちてしまうだろう!さぁ立ち上がれ!戦え!己の限界を知り、敵に一矢報いるのだ!」


しかし反応は無かった。すると1人の男が声を上げた。


「いい加減にしろよ!いつまでこんな無駄な戦争続ける気だよ!それにお前のために戦ってるんじゃないんだよ!」


「そうだそうだ!少しは俺たちのことも考えろよ!」


団長は多くの怒号を受け取った。部下からは叱咤激励はそのように受け取られていたのである。


「大変申し訳ない。だが今という時間を大事にしていかなければ後になって後悔するとだけ覚えとけ。以上だ。今日のミーティングを終了する」


一触即発の場面もあったが誰も怪我することなく終了した。しかし部隊内で仲違いも発生しているのも確かである。そのような状況で戦線に参加しても無意味である。


「団長、作戦司令部からです」


「読み上げろ」


「はい。『強襲空挺軍は2日後に再度ワシントンD.C.の攻略を開始せよ。その時までに部隊の編成、武器の整備など徹底せよ』とのことです」


「ちっ!上層部は俺たちを捨て駒としか見ていない!」


マーズは大きめの舌打ちをした。怒りが込み上げてくるのをぐっと抑えている。


「団長、顔色悪そうですね・・・しばし休まれた方が・・・」


「そうだな・・・少し休むとしよう」


怒りに加え、眠気まで出てきた。団長は仮眠室に入り、数時間眠ることにした。




日本国 防衛省


「国際同盟が自衛隊に対して新たな命令を下しました」


「内容は?」


「陸上自衛隊1個師団級の部隊をボルドー国本土に同盟軍と上陸せよとの命令です」


「1個師団級か・・・代わりの防衛部隊は?」


「同盟軍が派遣した日本本土防衛部隊が勤めるようです」


「分かった」


1個師団級の部隊の派遣となると食料の全面供給が出来なくなる可能性もある。グレーシス海軍の食料艦に協力を求める他、武蔵連邦陸軍の陸上整備軍の派遣も要請した。


派遣された第1ボルドー派遣師団2万8000人、戦車60両、歩兵戦闘車25両、高機動車130両を輸送艦10隻に載せ、国際同盟軍が確保したコーデュロ地方に派遣した。また戦闘ヘリコプター15機、チヌーク16機も派遣された。


「ボルドー国攻略にどれくらい時間がかかりますかね?」


「うーむ・・・広大な国土を持っている以上、攻略には数ヵ月から1年は要する。食料や資源の確保なども含めると年度内には終わらなそうだなぁ」


「そうですか・・・」


加藤防衛相は部下が持ってきた資料に目を通しながら今後の見通しについて話をした。




国際同盟管轄・ザールラン 区警署対人殺傷ガス調査委員会


「委員長、対人殺傷ガスの新たな効果が検出されました」


「新たな効果?それはなんだ?」


調査委員会の船場紅葉は新たな報告に耳を傾けた。


「肌の異常の他に、全身が痛いほどの痺れや熱が発生するガスであることも分かりました。以前170名がガス使用により死亡した際も同様の事態があったと思われます」


委員会では対人殺傷ガスの研究調査のため、ガスの効果を最大限落とさせて実験を行ったところ被験者に肌に異常と発熱・痺れがあることを突き止めた。


「そうか・・・被験者の現在の健康状態は?」


「しばしぐったりしていますがしばらくすれば回復するでしょう」


「了解だ。引き続き調査を頼む」


効力を落としたため被験者の健康状態には問題は無かった。あったとしても微熱程度である。調査委員会は今後も調査を続けていく。




米国


米軍の第8無人戦闘制御軍はワシントンD.C.とニューヨーク周辺の地上・上空・海上の警戒任務を行う無人戦闘部隊である。司令官は人間ではあるものの駆逐艦・航空機・戦車・歩兵は全てロボットとAIである。


「司令、無人戦車部隊のワシントンD.C.中心部への移動を命じます」


「了解。何両配置する?」


「予想される敵戦力から見るに15両で十分でしょう」


「そうか・・・再爆撃は行うか?」


「上から再度の爆撃は都市の復興に大きな支障が生じるためあまりおすすめしません。また、無人駆逐艦ですが2隻で十分です」


昨今、軍の兵員確保のため無人兵器の登場が格段に増えた。しかし、相手側に撃破され、鹵獲された場合は非常に痛い損失となるのである。


「さて、そろそろ潰しにいくか!」


米軍第8無人戦闘制御軍はワシントンD.C.とニューヨークの防衛の他、強襲空挺軍基地への攻撃と制圧準備に取り掛かっている状況である。どちらが先に攻撃を仕掛けるか不明だがまだ米軍側が優勢である。


「敵基地にはどこから上陸させますか?」


「今回、無人駆逐艦による艦砲射撃により飛行場を破壊させ、空からの脱出を妨げる作戦だ。その後、AI歩兵と通常の歩兵による制圧を開始する」


「了解です。プログラムに読み込ませます」


米軍による制圧が完了後、同盟軍も合流する予定である。また、米軍の投入戦力はAI歩兵1500、人歩兵1万人、無人駆逐艦2隻、無人戦車等も使用して攻略する予定であるが作戦概要のプログラムを入力するために少し時間がかかっている。


果たしてどちらが先に相手の地を踏むのか見物である。

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