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日米転生   作者: 照山
第9章 新戦争編
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9-34 米本土戦線 part終 -ワシントンD.C

第二次空挺部隊降下から数時間が経過し、空も夕方から夜にかけて暗くなってきている。マーズ団長は夜間戦闘を覚悟した。


「暗くなってきたか・・・これは向こうが有利かもしれん」


「どうしてなのでしょうか。団長」


「相手は我が国よりも最先端の技術を持った国だ。そうでもない限りこのような建物街を作れるわけがない」


ボルドー軍には一部の部隊に夜間戦闘用の暗視装置が配備されているが日米が保有している暗視装置の性能は劣っている。


「総員、密集にならない程度に集合せよ!」


マーズ団長にはある作戦があった。


「これから今夜の敵軍に対してどう立ち回っていくかについて話していく。敵の攻撃は深夜と予想するとこの暗闇を利用して相手を騙す作戦だ。何か質問があるものはいるか?」


「団長!それは良い作戦ではありますが夜間での戦闘は非常に危険です。なぜなら同士討ちの可能性があるからです!」


「それは私も承知の上で言っている。これは危険な作戦ではあるが、我々は彼らに勝たなければ我が国の敗北は一歩近づく。ここから先は厳しい戦いになるだろう」


空挺軍の戦力は半分以上まで減少した。沿岸部にて無人駆逐艦や市内にて無人爆撃機による攻撃で1000人規模が犠牲となったためボルドー軍はここが正念場でもある。


夜11時になったところで照明などを全て消させた。


「敵の攻撃予想時刻まで残り2〜3時間。火など全て消せ」


「了解。それはそうと団長、増援は来ないのでしょうか」


火を消しながら部下は団長に質問した。


「無理だな。制空確保用の戦闘機が足りない上に、輸送機による人員補充をした場合、今度は基地の防衛が手薄になる。今はここにいる385人で何とかしなければならん」


フーバーダ基地には2500人程度の隊員がいる。また、基地防空ミサイルなどが配備されているため手薄にすることは不可能である。


「人のいない街は寂しいな・・・」


「そうですね。いつ攻撃があるのかは分かりませんが」


ワシントンD.C.にいる全民間人は全て各地方都市に避難している。そのため明かりのないワシントンの景色は静かな空間と化している。


そして夜中の1時過ぎ、事態は急変した。


「団長!何か音が聞こえませんか?」


「総員、全方向警戒態勢!敵による攻撃の可能性あり!」


米軍のパラシュート部隊の降下が確認された方向から重たい音が聞こえてきた。マーズは全隊員に射撃準備を命令した。



✴︎ 同時刻


米軍のボルドー軍殲滅部隊は夜間戦闘による敵部隊殲滅を開始した。


『これより敵軍への総攻撃を開始し、ワシントンD.C.を解放します』


AI歩兵部隊長は一般米兵に作戦開始を下した。


「よっしゃ!行くぜ!」


ワシントン郊外から出発した殲滅部隊は装甲車に乗車して移動する。AI歩兵も同乗する。


「ベルギ司令、作戦は上手くいきますか?」


「相手は夜間戦闘が未熟な部隊だと聞いている。対策はしていると思うが我々の脅威では無いだろうな。朝8時までに片付けるぞ!」


「おう!」


装甲車や輸送車は目標地点まで移動した。まだ敵の発砲音は聞こえない。


「どうする?車で突っ込むかそれとも降りて攻撃するかお前が選べ」


「俺ですか?そうですね・・・味方同士の相討ちを避けたいため、装甲車から攻撃するようにしましょう!」


「よし。全車両及び全AI歩兵に通達!これより下車せず、車内から攻撃を開始せよ。繰り返す。下車せず車内から攻撃せよ」


命令のよって装甲車のハッチから武器を構えた。ベルギ司令は無線で攻撃命令を出した。


「全車攻撃開始!」


それと同時にAI歩兵も通常の米兵も射撃を開始した。それに伴って潜んでいたボルドー軍も応戦し、深夜のワシントンD.C.銃撃戦が繰り広げられた。


「この装甲車、銃弾にびくともしませんね」


「そらそうよ。機動性と防御性に優れているからな!」


米軍の装甲車・ストライカーSCはミサイル1発では破壊することもできない防御力がある。そのため、小銃では装甲を貫くことも不可能である。


そして、交戦してから1時間が経過した。


「司令、交戦開始から1時間が経過しました。現在の戦況を報告します」


副司令のワンダはモニターで確認しながら話を始めた。モニターには戦闘映像が映し出されている。


「交戦により、我が軍の損害は小規模に抑えることができました。AI歩兵破壊が8、一般歩兵23、装甲車2の被害です。まさか相手がランチャーなどの重装備を持っているとは思いませんでした」


「なるほどな・・・敵側は?」


「敵軍の被害は甚大です。歩兵役400名のうち、290人が死亡、18名の捕虜がいます」


「そうか・・・我々の勝利と言っても過言では無いな?」


「そうなりますね」


ボルドー軍側385名のうち動けるものは100人以下となった。マーズ団長もそのうちの一人でもあるが彼の決断は降伏かそれとも抵抗か判断される。



マーズ団長は味方を多く失った。ほとんどが米軍に射殺されたか捕虜になったかの二択である。


「団長、ここは降伏した方が良いかと思われます。どうしますか?」


「相手との戦力差が歴然としている状況でこれ以上戦っても戦力を消耗するだけだ。ここは残念だが潔く降伏するしか手段は無い」


「分かりました」


「総員、武器を捨てよ!」


マーズ団長は戦闘中の部隊に命令した。突然の命令により困惑していた隊員もいたが武器を地に置いた。


その後マーズらは両手を挙げ、降伏の意思を伝えた。米軍側もこれを受け入れ、生き残った77人の隊員は捕虜となった。


「これより君たちをニューヨークの捕虜施設に輸送する。輸送車に乗れ」


「はい・・・」


77人の隊員は用意された兵員輸送車に乗せられた。


「団長、本当に良かったのでしょうか?モルズさんはどう思われるのでしょうか?」


「あいつは俺に絶対に生き残れと言っていた。例え降伏しても絶対にって。だから私は降伏な道を選んだ。まだ基地には2500人以上いる。彼らが最後の砦だ」


「了解です・・・」


その後、米軍は市内にてボルドー軍の兵器や小銃を鹵獲した。珍しい武器もあったためすぐにそれを国防省に送った。


一方、マーズは命を落としたモルズにお祈りを車内にて捧げた。


このようにして米軍の圧倒的武力を見せつけられたボルドー軍はワシントンD.C.攻略に失敗し、戦況はさらに悪化していった。

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