9-23 航空母機 2 -同盟の決断-
日本国 航空自衛隊松島基地
現在、ボルドー空軍航空母機からに対する攻撃に対処しなければならないため松島基地や千歳基地、百里基地では厳戒体制が敷かれている。
「敵航空機の接近報告があった場合、速やかに緊急発進を開始せよ。敵は爆弾そして戦闘機を多数載せられることのできる多用途航空母爆撃機である!各自緊張感を持って待機せよ」
「了解!」
松島基地では最大級の警戒体制が敷かれている。航空母機の攻撃に備えて、空自隊員たちはいつでも対応できる状態になっている。
すると基地レーダーから巨大飛行物体と数十機の機影を確認した。確認された情報は千歳・百里基地にも伝えられた。
「香島レーダー隊長、巨大飛行物体が我が国の領海上空に到達。数時間後に日本本土に到達する見込みです」
「了解。千歳・百里の部隊と共に撃墜を行う。この基地の戦闘機運用可能機数は?」
「F15が18機、F2が8機、F35Kが12機、F9NSが5機がいつでも行ける状態であります」
「西東機隊長に連絡せよ。千歳・百里方面の戦闘機部隊による敵航空機の撃墜を実行せよと」
「了解です」
野宮レーダー副隊長は報告書を手に隊員達の会議室に入っていった。
「失礼します!先ほど敵航空機が我が国領海上空に到達。領空侵犯と断定しました」
「そうか。して敵の本土到達まであとどれくらいだ?」
「動きが遅いことから約6時間後と予測します」
「よし分かった!いいか全員。ここが正念場だ!ここで奴等を食い止めなければ民間人にまで犠牲が及ぶ。しっかりと準備していけ!」
「おう!」
西東機隊長の激励後、各パイロットたちは機体の整備をする者や仮眠をとる者もいた。
日本国 領海上空
ボルドー空軍の航空母機と護衛戦闘機が日本領海に侵入した。
「機長、後6時間程度で敵国本土上空に到達します」
「ようやくか・・・この作戦どうなると思う?」
副機長は少し考えながら答えた。
「相手の方も工夫して我々を攻撃してくるでしょう。仮にこの航空機が落とされた場合、何百人もの人命が失われるでしょう。ですのでその瞬間になってみないと分からないです」
「そうか。まず最初の爆撃地点は?」
「先ほど連れてきた日本人捕虜からどのような都市や軍事施設があるのかどうか聞き出せました。そこで我々が目標とする爆撃地点はマツシマ空軍基地、チトセ基地、ヒャクリ基地という敵空軍の東方方面を担当している部隊、そして都市爆撃目標に首都のトウキョウ、ヨコハマ、チバ等を目標爆撃地点におすすめします」
副機長は案内人用として日本人捕虜を連れてきた。彼らは最初抵抗したものの銃口を向けられたため話すことにしたのである。
「なるほど・・・敵の首都はトウキョウというのか。我が国も首都を攻撃された仕返しとして爆撃するのもありかもな!」
「分かりました。航路はマツシマ基地爆撃後、一度敵本土上空から退避し、首都圏を爆撃していく航路でよろしいですか?」
「うむ。総員!爆撃準備を開始せよ!敵国からの驚異を排除するのだ!」
「「おう!」」
国際同盟 安全保障会議
ボルドー国による大量破壊兵器の使用の可能性があることが予想されたため、ボルドー国同大使を召喚し、質疑応答を行った。
「我々国際同盟は中立の立場を取るもののいかなる生命に危害が及ぶ兵器の使用について我々は断じて許されない。その確認がしたいため我々は今日君を召喚した」
ボルドー国同大使のデルモンテ・アーバンは不満そうな顔をしながらも答えた。
「我が国では現在日本国やアメリカ合衆国と未だ交戦中でありますが、決して大量破壊兵器の使用は行いません。ですが、緊急時のみ効力を持った措置は取らせていただきます」
「それはつまり破壊兵器を使用すると?」
「それはその時になってみないと分かりませんよ?」
デルモンテは不適な笑みを浮かべた。
「何を企んでいるのです?」
「いえ何も」
「何にせよボルドー国による不法な行動があった場合、国際同盟は加盟国すべての軍を統合させ、国際同盟軍を編成し速やかに政府組織・軍事施設の制圧を強制力を持って敢行します」
「(やれるものならやってみるが良い。その時はここに原子力兵器が飛んでくることだろう)」
このようにしてボルドー国大使への質疑応答は終了した。
「次の本題に移らせていただきます。現在ボルドー国と交戦中なのは日本国を含めたG7構成国が交戦中です。今もなお戦闘は続いており、我が国の捕虜1万3000人以上がボルドー国に捕虜として捕らえられています」
こう話すのは日本の安保大使の秋川端である。秋川端はボルドー国に捕らえられている捕虜の人数や被害状況について報告した。
「アキカワバタくん。ボルドー国を上空監視して何か気づいたことはあるかな?」
「はい。まずミサイル発射拠点の内、特殊兵器を意味する記号が付いたミサイルを確認しました。まだ使用されていませんがいずれ使用する可能性が十分考えられます」
「その特殊兵器を意味する記号が付いたミサイルを確認したのはどこの基地かな?方角と共に教えてくれ」
「了解です。方角としてボルドー国首都から北東に300km離れた場所ミサイル基地にありました」
「そうか・・・分かったどうもありがとう」
ボルドー軍は通常ミサイルと原子力ミサイルの区別がつくように記号で判断できるようにしている。
「他に何かあるかな?」
秋川端は資料を見ながら報告要素があるかどうか探した。
「今のところはありません」
「分かった。今日はここでお開きにしよう」
安全保障会議は終了した。すると勢いよく扉が開く音がした。扉の方を向けてみるとそこには山縣国同通信大使の姿であった。
「秋川端さん!大変です!」
「どうした!?」
「本国からの情報なのですが2時間後に大規模な爆撃が東日本地域で行われるという情報が防衛省から通達されました!」
他国の出席者もざわついていた
「それはボルドー国軍が日本の罪の無い民間人を無差別に殺害するということか?!」
「・・・そうなります。もしそうなった場合50万~100万人規模の死傷者が出る可能性があり、国家崩壊に近いシナリオになるかもしれません」
他国の出席者は危機感を表していた。
「流石にこれは不味いのでは?」「すぐに国際同盟軍を派遣し、速やかに敵を排除するのだ!」
「そうだそうだ!会議長どうするんだ!?」等の声が聞こえていた。
安保会議長はすぐに口を開いた。
「静粛にお願いします。今報告にあった通り、ボルドー国は罪の無い民間人を爆撃によって攻撃しようとしている。これは見過ごすことの出来ない事態となっている。そのため我々は日本国民の財産と幸福の追求と生命を守ることを宣言し、国際同盟軍の緊急派遣を開始する。アキカワバタくん。すぐに貴国の国防相に伝えてくれ」
「分かりました!」
国際同盟軍の派兵が決定した。これにより自衛隊や米軍の作戦指揮権は国際同盟軍に移行される。
ボルドー国 指導部
「アスキー指導。緊急事態です」
「何かね?航空母機が撃ち落とされたか?」
「それよりも重大です。国際同盟が我が国に対し派兵を決定しました。現在行っているすべての作戦を停止せよとのことです」
「ふむ・・・ならば我々も抵抗するしかないな!すぐにミサイル軍部隊に攻撃準備体制を命令せよ!驚異を一匹残さず排除せよ」
「了解です!」
日本国 首相官邸 NSC
「総理、国際同盟が同盟軍の派兵を決定しました。明日朝より自衛隊の指揮権は同盟軍に移行されます」
「そうか!だが明日まで我々が耐えていられるかどうかだ・・・」
2時間後に迫ったボルドー軍の航空母機の爆撃によって日本の明日は変化する。そのため大島総理は自衛隊指揮の最後の命令を下した。
「全自衛隊部隊に通達してください。あらゆる兵器を用いて敵の驚異を排除しせよ。とお願いします」
「了解です」
この首相命令は全自衛隊部隊に伝達された。特に松島基地では士気は最大級に上昇し出撃準備も整えられた。