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日米転生   作者: 照山
第9章 新戦争編
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9-21 北海道二正面作戦 後編

稚内方面で寝返りが発生したことにより陸上自衛隊側も驚きを隠せずにいた。陸自側も相手が寝返ることを予想していなかった。その時近づいてきた敵兵士に銃口を向けていたものの武器を捨て交戦の意志がないことを示した。


「我々に交戦の意思はありません。逆に私たちはあなた方に協力したいです。良いでしょうか?」


「隊長に聞いてみます。隊長!敵側から協力者が出てきました!」


敵側からの協力者に話しかけられた西星名尾は隊長に聞いた。


「敵側から!?交戦意思は無いんだな!?」


「はい!ありません!我々が銃口を向ける前に武器を捨てていました。信じられる者たちだと思います」


「そうか・・・敵の寝返りは何人いるんだ?」


「12人です」


「結構いるな・・・連れてこれるか?」


「連れてきます」


西星は隊長室に12人のボルドー軍の寝返り兵士を連れてきた。隊長は彼らに事情聴衆を行った。


「我が国へようこそ。このような形で対面してしまって申し訳ない。して君たちが寝返りをした理由を聞かせてもらおうか?提案者は誰だ?」


「私です」


提案者はフェルー=ハード=ミコリンと名乗った。


「日本国と開戦後私はボルドー国と軍に不信感を覚えました。何で私たちはこんなところで人を殺しているのだろうかと考えるようになりました。命令に逆らえばきつい体罰を受けます。ですので我々は寝返りました。ここで死ぬのなら裏切った方が良いなと思いました」


「なるほど・・・君たちも同意見かな?脅しとかされてないかい?」


「いいえ。されていません。私たちの意思で動いています」


「分かった。君たちを迎え入れよう。だが戦闘には参加させない。狙われる危険が高い上もしまた向こうに捕まってしまった場合どうなるのか分からないため今後君たちの身柄は政府の監視下に置かれるかもしれないね」


「では私たちは何を・・・」


「君たちにはこれから武器の性能そして司令官のいる拠点の場所等について教えてもらおう。どうかな?」


「・・・大丈夫です」


その後、12人のボルドー兵は先ほど捨てた小銃を探しに護衛の自衛隊員と探しにいった。小銃発見後、隊長室へと持っていき隊長に見せた。


「隊長さん、我が国の武器をお持ちしました。この武器は日本と米国から鹵獲された小銃を改良して配布されたものです。形状は自衛隊や米軍が使用しているものに似ています」


「やはりな・・・どうりで似ていると思ったんだ。この小銃我が国では20式と呼んでいる。ボルドー国ではどうやってこの武器を製造したのかな?」


ミコリンは少し間を空けて口を開いた。


「詳しくは言えませんが我が国は数千人以上の日本人を捕虜として保護しています。その捕虜の方たちは整えられた環境で労働をしている他、武器に詳しい日本人の手伝いのもと製造されたのかと思われます」


「そうか・・・捕虜となった日本人は無事なのか?」


「はい。無事です。いくらあのアスキーであろうと国際同盟が定めた規則には逆らえませんよ」


「それは良かった。さて、話は元に戻るのだが稚内で屯しているボルドー軍の司令官の現在地を教えてくれ」


「分かりました・・・現在稚内侵攻軍の司令官の司令部の所在地は北部の自衛隊基地です」


「北部の自衛隊基地・・・海上自衛隊の稚内基地か!」


稚内と根室攻撃時、最初に無力化されたのは海上自衛隊基地である。そのため数百人の海自隊員捕らえられている他、司令室はそのまま使われている状態となっている。


「良い情報だ。今この時間は奥の部屋でゆっくり休んでいると良い。松風!彼らを案内してやってくれ!」


隊長室警備担当の松風は12人のボルドー兵士を休憩室へと案内した。その後、隊長は全隊員に再攻撃開始を命令した。


「全隊員へ通達。これより稚内侵攻軍の殲滅行動を再開する!先程、敵側から寝返りをした兵士12人を保護した後、敵司令官の所在地が判明した。敵司令官所在地は海上自衛隊稚内基地。ここは数百名の海自隊員が捕まっている状態であると予想される。そのため敵司令官の捕獲と海自隊員の救出を目的とする作戦行動に移る。総員覚悟をして臨め!」


作戦行動が開始された。寝返った12人のボルドー兵士達の情報提供により敵司令官の捕獲と占領された海自隊員の救出作戦が開始された。再交戦開始後、海自基地の方向へ進んでいった。25無車・22式高機動戦闘車でボルドー兵を殲滅していった。


「生存している敵兵士の救護も行え!」


「了解!」


重軽傷のボルドー兵士は陣地や病院へと運ばれていった。そして最初の作戦開始から13時間後の5月2日3時、占領された稚内基地に到達した。


その間に敵武器の破壊または鹵獲を命じられた大沼は無事に任務を遂行させ、途中から作戦に参加した。そして占領された基地に変化は無いものの損傷した補給艦があった。また、ここまで到達するのに多くの自衛隊員を失った。その数780人の殉職者が出た。


「隊長、占領された基地に到着しました。これより捕らえられた海自隊員の救出と敵司令官の拿捕を開始します」


『了解。敵司令官拿捕の際、抵抗を受けた場合脚部に威嚇射撃を実施せよ』


その後基地内部に侵入することに成功した。しかし入り口付近に敵が多くいたことにより突破に成功したものの負傷者が50人を越えるなど被害が大きく出る激戦となった。


捕虜として保護したボルドー兵士に敵司令官のいる部屋を案内させた。


「この部屋です・・・」


「うむ。案内ご苦労」


「突入!」


「・・・」


ボルドー軍の稚内方面の司令官を発見した。


「動くな!武器を捨て、両手を頭に回しゆっくりとこちらに来い!」


「・・・分かった。だがまだ根室にまだボルドー軍がいる。我々はまだ負けない」


「さぁこちらへ!」


稚内に侵攻したボルドー軍は2500人が投降し捕虜となった。稚内侵攻司令官は抵抗せず降伏した。一方、根室戦線では25無車と共同で敵を倒しているものの強めの抵抗により自衛隊側にも被害が出ている。


陸上自衛隊 根室方面隊長室


「隊長、稚内での戦闘が終了しました。無事敵司令官の拿捕に成功しました。ですが多くの死負傷者が出た模様です」


「そうか・・・」


根室市内での戦闘は夜明けを迎えようとしていた。根室方面の隊長は眠気に堪えながらも各隊員に司令を出した。


「第4班、第14班、第25班、第39班現在の状況を報告せよ」


『こちら第4班。包囲殲滅作戦の進行状況は依然膠着状態にあります。ここは1つにまとまって行動した方が良いと思います』


「了解。他の班は?」


『こちら第39班。交戦中の敵は散弾銃を所持している模様。数名の負傷者を確認済みです』


「分かった。第14、25班・・・は通信オフか」


包囲殲滅を開始して13,4時間弱が経過しても中々排除できずにいた。また全滅した班も多数確認され一時撤収が命じられた。釧路から普通科連隊が合流し砲撃装備を配備することができた。


「全隊員へ攻撃命令。迫撃砲攻撃と同時に一気に敵を排除せよ!今日中に任務を遂行させるぞ!」


「「おう!」」


迫撃砲攻撃と同時に通常歩兵隊員による攻撃が行われた。包囲殲滅では人数が足りなくなり全滅する可能性があるためある程度固まった方が優位になれると考慮した。


「目標部隊に命中!敵装備の破壊に成功しました!」


「どんどん撃て!」


このようにして砲兵部隊による迫撃砲攻撃はボルドー兵部隊に対して大きな痛手を負わせることに成功した。特に散弾銃歩兵部隊の殲滅に成功したのは大きかった。


『作戦行動中の全隊員へ。稚内で捕らえられた敵司令官からの情報によると根室基地にも侵攻司令官がいるとの情報が入った。速やかに確保せよ』


「了解!」


根室侵攻部隊も稚内方面同様海上自衛隊の根室基地を仮司令部としていた。そのため根室基地から近い270人の自衛隊員が現場に急行した。


「隊長、根室基地到着。敵の抵抗はありません」


『了解』


その後敵は自衛隊員を視界に入れた瞬間恐れれたのか武器を捨て投降した。投降した兵士は捕虜になった。


「貴様かこの部隊の司令官か!あなたを確保する!」


「くっ・・・失敗か・・・」


根室侵攻の司令官も捕虜となり確保された。生存した根室侵攻軍のボルドー兵1700人も捕虜になった。両市だけで3000~4000人以上が捕虜となった。


「作戦終了!作戦終了!これより稚内・根室における作戦を終了する。各隊員は集結場所に集合し休憩せよ」


『了解』


その後、捕虜や遺体などの回収を行い戦闘報告書をまとめた後、部隊の撤収が完了された。両方面で戦闘を行った自衛隊員はこの2つの都市の陥落阻止に成功した。

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