9-17 4月(1)
八丈島陥落から2日が経過した。この2日間でボルドー空軍の偵察機による領空侵犯が相次いでいるため日本政府は不審機発見次第撃墜するよう命じ、48時間で20機以上のボルドー空軍偵察機を撃墜した。
「総理、また敵偵察機撃墜報告です」
「またか・・これで何件目だ?」
「20件目です」
「ボルドー国と国交のあるフィックス自由国との外交ルートを通じて懸念と遺憾の意を伝えなければならない。我が国の国民にまで被害が及んできていると」
「了解です。ですが遺憾とか懸念だけでは相手は何とも思わないでしょう。尖閣・台湾有事でもそうだったでしょう?」
「そうだな・・・追加で今後も続くようであれば現状以上に厳しい措置を取るも伝えておいてくれ」
「分かりました。伝達して参ります」
その後外相はフィックス自由国にあるボルドー国との外交ルートを通じて厳しい対抗措置を取る他、遺憾の意も表明した。偵察機撃墜には成功しているものの、撃墜費用による負担がかかるため大島総理はボルドー国に抗議を行った。
ボルドー国 外務省
「外相、フィックス自由国を通じて日本政府から抗議文が送られて来ました」
「読み上げなさい」
「貴国は我が国と同盟国の領土を不法に占領した挙げ句、更には占領地から偵察機を飛来させ我が国の国民の生命・財産・幸福追求を脅かしていると我々は判断した。そのため貴国の危険レベルを最大とする超危険武装勢力国家とする。今後我が国領空への偵察行動を続けるようであれば貴国へ上陸作戦を行う覚悟がある。返答期限は5日後の5月1日までとする。と書かれています」
「そうか・・・」
「どうしますか返答内容は?」
「我が国は日本国を含めた7ヵ国と交戦しているため領空侵犯が行われるのは当然である。実際貴国も米国も我が国に対する領空侵犯を行っているのは紛れもない事実である。とでも伝えておきなさい」
「了解です。どんな反応するか楽しみですね!」
「あぁ」
その後外相はフィックス自由国から日本政府に返信した。
日本国 首相官邸
「総理、返信が来ました」
「早!送って1時間か2時間くらいだぞ?それで内容は?」
「少し長いですが簡単にまとめると領空侵犯は戦争を行っている以上仕方のないことであり、日本国や米国なども同等のことをしているのは紛れもない事実である。との返信です」
「ボルドー国への不信感がさらに高まったぞ私は。返答はありがたいが厳しい措置をとらなければ相手には自分が何をやっているのか分かってもらえない」
「厳しい措置は一体何を?」
「経済制裁の他、軍事施設の完全無力化を行っていく予定である」
「なるほど・・・」
日本政府の抗議はボルドー国政府からしてみれば相手にするまでもなかったのである。逆に相手側から正論のような回答を受けたのである。
4月30日、ボルドー国と開戦してから1ヶ月が経過した。1ヶ月が過ぎてもボルドー国の現有戦力は開戦前より増えている状況である。しかし海上自衛隊や米海軍との大規模な海戦で双方に損害を出した。
ボルドー国 八丈島臨時基地
ボルドー軍が八丈島を占領してから一週間弱が経過した。損傷した飛行場や港の修復などを行った日米の捕虜は休息中であった。
「君たちに新たな司令である。それは敵軍による攻撃があった場合我々側の戦闘員として参戦してもらう。心苦しいかもしれないがくれぐれも我々を裏切るようなことを取らないように!返事は?」
「・・・はい!」
現在八丈島を占領中のボルドー軍の人員は1万人。陸軍8500人、海軍1000人、空軍500人が八丈島の防衛を行っている。
「(同胞に撃ち無くないなぁ)」
八丈島の司令官のコベン・アスクルは日米の捕虜などに戦闘員として戦闘に参加するように命令した。この命令は国際同盟が定めた捕虜の扱いに違反するのである。
「司令、攻撃はいつになるのですか?」
「まだ分からない。だが敵の奪還作戦部隊は必ず来る。必ず排除しなければならない。敵前逃亡は許さんぞ?」
「わかってます」
「よし。さぁ皆夕飯の時間だ!全員今日は活動終了だ」
その後、捕虜たちは司令官に連れられ食事を取ることが出来た。食事は自衛隊員の朝比奈優二等陸尉がつくった。彼女は自衛隊入隊前料理の仕事をしていたので料理の腕は一級品である。
海上自衛隊 旧横須賀基地
ボルドー軍の超動力対地制圧ミサイルによって損傷した横須賀基地は瓦礫撤去完了後に修復作業に入った。新横須賀基地にはPAC3,4の増量や米軍から給与されたハイマース等も配備し防空整備が万全となった。
一方、第1特科団の旧武山駐屯地の後継部隊に第1対空特科団が新横須賀基地の隷下に置かれた。従来の特科団は地対空ミサイルなどしかなかったため新たに米軍の対空爆弾やハイマースSXを配備した。この日加藤防衛大臣の視察の元、基地活動再開の報告を行った。
「我々は日本国と国民を守る覚悟を持ち、任された使命を全うする所存であります。2週間前のミサイル攻撃によって首都圏は壊滅的被害に遭いました。私たちは多くの国民を守ることが出来る人間になるようこの新基地で精進して参ります。よろしくお願いします!」
新司令官に任命された織田風吹は熱意ある演説をした。加藤防衛相は大きい拍手をしていた。織田司令官の後に防衛相が話をした。
「明日で5月になります。我々は来月から9月にかけて被害は大きくなると想定しています。ですが八丈島において護衛艦数十隻が敵の手に渡ってしまいました。非常に痛感しています。我々政府には国と国民を守るのを最優先としています。内閣総辞職は来年ですが残り7ヶ月弱どうかよろしくお願いします!」
加藤防衛相の演説も終了した。加藤は敵の手中にある新横須賀基地所属の護衛艦隊と八丈島の奪還の計画を発表した。これを聞いた聴衆は応援した。
その後、新基地活動の第一歩を踏んだ。初日の活動としてP4D哨戒機による周辺海域の偵察を行った。
「異常があったらすぐ知らせろ。何かあっては遅いからな!」
「了解です!」
数時間飛行した後基地に帰投したP4Dは何事も無く警戒活動を終了した。初日から撃墜などあれば信頼が失われる。
エルヴィス海軍第1護衛艦隊
4月29日から30日にかけて現在もボルドー海軍第50駆逐空母艦隊と交戦が続いている第1護衛艦隊は近くで航行していた武藏連邦海軍第8空母艦隊に救援を求めた。
「エルヴィス海軍第1護衛艦隊から武藏連邦海軍第8空母艦隊へ救援要請!」
『こちら第8空母艦隊。救援要請を受理した。至急援護に向かう』
各地で交戦しているボルドー軍。アスキー指導は果たして空母機の使用を出すのか否か。彼の決断が試される。
サブタイトルの変更するかもしれません。また、誤字報告がありましたらよろしくお願いします




