9-15 スパイ 2
日本国 首相官邸
「総理、報告です」
「何だ?」
「この2,3日ボルドー軍は我が国と米国軍との交戦記録はありません。ですがグレーシス方面では攻防戦が続いています。それと・・・」
「それと?」
「ボルドー軍との開戦以降スパイ確保の報告が相次いでいます。引き継ぎは公安の方で対処してもらっていますが現行法のスパイ防止法ではスパイ入国を阻止することが出来ません。防止法改正を提案しますがいかがでしょう」
ボルドー国とG7構成国が交戦開始以降、スパイ確保の報告が相次いでいる。そのため現状定められているスパイ防止法では対処しきれない問題がある。
「分かった。スパイ防止法の一部改正と処罰の厳罰化などを含めて検討していくことにしよう」
「(また検討ですか・・・)分かりました。もう一つあるんですが」
「スパイの構成員に複数名の日本人が紛れている報告もあります。もしかすると捕虜が強制的にスパイとして国内のどこかから入国している可能性があります」
「そうか・・・それは良くない報告だ。自衛隊基地周辺の警備を厳重にし、近くで怪しい動きをしていたら確保させるんだ」
「了解です。全自衛隊基地に通達します」
その後清畠副防衛大臣と長瀬公安局長は大島総理への報告は終了した。また、基地警備の厳重化を全自衛隊基地に通達した。だが・・・
「何!?堺駐屯地で基地内を見学したいという5人組がいた?身体チェックと荷物検査はしたんだろうな?」
『もちろんです。怪しいものは何も出てきませんでした』
「そうか・・・それで彼らは何と?」
『《自分はミリオタであるため今全国の自衛隊基地を回っている》と言っていました。特に怪しいとは思いませんでした』
「怪しいと思わないか?」
『何故です?』
「この戦時中に全国の自衛隊基地を回りたいとか偵察に決まっている。それに今はどこも警戒体制で基地見学は一部でしかやっていない!それでその5人組は次どこへ行くと?」
『北部の方へ行くとか何とか言っていました。その後は不明です』
「分かった。このご時世だからしっかり注意するように!」
『了解です!大変申し訳ございません!』
その後清畠副防衛大臣は八丈島から帰ってきた加藤防衛大臣にスパイ確保と構成員の中に日本人が複数名いること、基地警備の厳重化の命令発令を報告した。
一方、先日和歌山沖から上陸した向原らは神戸方面へと向かっていた。だが基地警備が厳重になったことや5人組という情報が政府にも伝わったため迂闊な行動が出来なくなった。
「5人で固まって動いている情報がバレた。ここからはバラバラで動くぞ」
「了解」
「それにしてもどこから情報が漏れた?さてはお前ら!」
「違います!絶対にそんなことしません」
「じゃあ何故こんなことになった?」
「政府に勘づかれたとか?」
「それはあるかもな・・・よし。着いたぞ~神戸駐屯地だ」
しかし神戸駐屯地には着いたのは良いものの周辺警備が厳しく簡単に近づくことが出来ない。万が一見つかれば確保されて収容所送りにされるかもしれない
「ここは一旦引くしか・・・」
「まずい誰かこっちに来る!」
「誰だそこにいるのは!」
「すみません迷い混んでしまって!直ぐにここから移動します」
「分かった」
基地警備の自衛隊員に声をかけられたが迷い混んだとウソをついた。
「(危なかった・・・直ぐに帰国したいくらいだ)」
「(ですね・・・)」
その後、向原ら諜報員は数時間かけて上陸した地点に戻っていった。
「誰にも見られていないな?」
「はいもちろん!」
「よしこれより帰国する!全員搭乗」
迎えに来たボルドー軍の空水両用機に乗り込み離陸した。諜報部長からは危険を察知したら直ぐに帰国せよとも言われていたのである。
また、先程の神戸のことも政府に報告された。これを受けて大島総理はスパイ防止法の改正を行うことを決定した。翌日国会にてスパイ防止法改正の提案を行った。
「これよりスパイ防止法の改正の賛否を問います。そしてここで反対票を投じた議員は誰であろうと全員スパイとします!」
「横暴だ!横暴だぞ!総理!」
日本革命党の数名の議員がヤジを飛ばした。これに対し総理は
「現在我が国はボルドー国に物理的にも非物理的にも攻撃を受けています。そしてここで改正に反対するのであればあなた方をスパイに認定しますがよろしいでしょうか?」
「ぐっ・・・」
そして最後のまで改正に反対した議員はスパイ認定を受けたため議員辞職した。
「改正案に反対の方はもういらっしゃいませんよね?これでスパイ防止法改正が可決されます」
その後、衆参委員会などの審議を行った後改正スパイ防止法が制定された。主な変更点は以下の通りである。
一,国家機密に関わるすべての施設・及び情報の漏洩は厳重な処罰の対象である。
二,スパイレベルをS~Dに分け、Sの場合死刑または無期懲役、Aの場合25年以上の懲役、Bの場合20年以上の懲役、Cの場合15年以上の懲役、Dの場合でも強制送還か10年以上の懲役又は罰金が課せられるのである。
三,スパイ活動を行った者に協力した者に対しても処罰の対象となる。
等である。この改正法は5月1日から施行される。そのため堺駐屯地は5人の諜報員を基地内に入れたためスパイ活動に協力した者として基地司令の奈良泰也と警備隊員の仁科がスパイ協力罪抵触により確保された。
総理はこの改正によってスパイ活動の頻度現象に期待した。また、この2,3日ボルドー軍の攻撃がゼロということもあり警戒を強めていた。
変更点があればよろしくお願いします。
 




