6-1 札幌平和条約
世界戦争が終結してから1ヵ月が経過した3月17日、防衛省には大島総理を含めた閣僚が机を囲んで座っていた。
「今回の戦争で我々には弱いところがたくさんあった。ということで長期の防衛力の見直しを行い弱点の強化を図っていこうと思っています。総理はどのようにお考えでしょうか。」
「私としましては防衛力強化に賛成です。」
「ありがとうございます。防衛省の予想からしますと2035年度までに陸上自衛隊員を30万人、航空自衛隊員を12万人、海上自衛隊員を10万人の合計52万人の動員を目指しています。」
「なるほど。それでいこうじゃないか。」
「はい!」
総理には今年控えている総裁選と国防軍構想が頭の片隅にあった。
「そういえば、講話会議はいつなんだ?」
「4月9日になりました。場所は札幌です。」
「札幌?理由は?」
「国内で候補に上がっていたのは東京・札幌等々なのですが関東圏は現在復旧作業中でまともな警備が整えられないのです。また、札幌になったのは函館奪還の最前線司令部だったからでしょう。」
「なるほど!」
その後、この日の閣僚会談は終了した。防衛省を出た大島総理は明後日の殉職者国葬に向けて準備を進めていた。
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3月19日 東京都 両国国技館
この日世界戦争で殉職した全自衛隊員の国葬が執り行われていた。参列者は大島内閣や殉職者の遺族、他国からの使節団らが参列した。
「この度はお集まりいただきましてありがとうございます。大島です。さてこの度は先の戦争で亡くなられた自衛隊員の方々に深い哀悼の意を示します。また、遺族の方々には精一杯の支援をさせていいただきます。そして、私はこの戦争で亡くなられた方の分までも努力して参ります。」
会場からは盛大な拍手が起きた。その後、国葬は多くの時間を使って殉職した自衛隊員に敬意を表した。終了後大島総理は首相官邸へと戻り、とある計画書に手を動かしていた。
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4月9日、この日札幌講話会議と札幌平和条約会議が行われた。参加国は世界戦争で交戦した国々である。日本からは綾部国同大使らが参加した。敗戦国のアズールからはコーセー大使が参加した。
「この度は講話会議にお集まりいただき誠にありがとうございます。さて、先の戦争で多くの犠牲者が出ました。この事に私は深い反省の意を示します。」
「日本国際同盟大使綾部範明です。今回の戦争がいかに無益であることを実感することができました。」
その後、各国の国同大使が意見を述べ、アズールの全権は深いお詫びといかなる制裁も受けると宣言した。また、講話会議で以下のことが決められた。
札幌講話会議 札幌平和条約
一,この条約が施行される日に連合国と同盟国との戦闘はこの日をもって終了とする。
ニ,連合国は同盟国に賠償金を支払う。
三,連合国軍は全ての武装を解除し、同盟国軍が駐留することを認める。
四,国際同盟は今日この日をもって解散し、新たな国際機関を設立する。
五,アズール社会主義共和国は非人道的行為を行ったことを深く反省し、被害市民に対し手厚い支援を施さなければならない。
六、同盟国と連合国との輸出入に関する貿易関係の改善。
以下の6つの規定が定められた。連合国にとってはかなり厳しい制裁となったものの各連合国の大使は「致し方あるまい」というような感じでサインした。
また、国際同盟が解体されることが決定した。理由は1つ。それは平和をスローガンとしていたもののアズール社会主義共和国との戦争が始まったことにより国際同盟の存在は意味のないもとなったからである。
「それでは会議を終了させていただきます。」
会議終了後、日本の国同大使のもとに連合国の大使が話しかけてきた。
「この度は貴国に対し極めて愚かな行動を犯したことを深く反省している。誠に申し訳ない。」
「私もだ」 「私もだ」と各国の大使が謝罪してきた。綾部国同大使は
「分かりました。今は今。過去は過去です。これからは仲良くやっていきましょう!」
その言葉にアズールの全権大使は涙ぐみながら
「ありがとう・・ありがとう・・貴国らには大変申し訳ないことをした。今後道を踏み外さないように注意していく。」
「分かりました。よろしくお願いします!」
そして国際同盟が解散されるため日本は脱退した。外務省は新たな国際機関に注目していた。
第6章開幕です。よろしくお願いします。