朝食
「リュリアーナ様、おはようございます。起きてくださいませ。今日は街に行かれるのでしょう?」
メイドのミリアの声で起きる。
すっかり寝てしまった。
「・・・おはよう、ミリア」
眠い目をこすり、ベッドから身を起こす。
名残惜しいがベットから抜け出てミリアに身支度をしてもらう。
「ミリア、今日の服はあれにしてほしいわ!選んでおいたのよ!」
ソファに用意しておいた服を指差す。
「かしこまりました。では、髪型はリュリアーナ様がお選びになった服に合わせましょう」
ミリアはソファから服を持ってきてリュリアーナに着せると、髪を結ってくれる。
今日は庶民風の服に合わせて、緩めの三つ編みが両サイドに出来上がった。
これなら帽子をかぶっても大丈夫そう!
「ありがとう、ミリア!今日はお兄様とミリアとお出かけだからとても楽しみよ!」
にこにことミリアを見ると、「私もです、リュリアーナ様」と嬉しそうな顔をしていた。
そこに、コンコンとノック音がする。
はい、と返事をするとお兄様が入ってきた。
「リーナ、支度はできたかい?そろそろ朝食に行こう」
どうやらお兄様が迎えにきてくれたようだ。
「まぁ!ありがとうですわ!さっそく参りましょう、お兄様!」
お兄様に駆け寄ると、ほわっとした柔らかい笑みが返ってきてリュリアーナは眩しそうに目を細める。
お兄様も容姿がすごく整っているから笑顔を見ると眩しいのよね・・・。
尊いわ・・・。
そんなことを考えていたら目的地にたどり着いたので、いつものようにお兄様の隣に座るとお父様が食事の挨拶をする。
それに合わせて全員で両手を胸の前で祈るように握り、同じ言葉を続ける。
「大地の恵みに感謝します」
それから朝食を食べ始める。
今日はパンとオニオンスープ、サラダにベーコン、オムレツとザ!朝食!な感じの献立。
オムレツは中が半熟トロトロですごく美味しいのよ!
美味しい食事に舌鼓を打っていると、お父様が「レイ、リーナ、二人とも今日は気を付けて行ってくるんだよ」と声をかけてくれた。
お兄様と顔を見合わせて、笑顔で「はい!お父様!」と返事をする。
くすくすと笑い声が聞こえてそちらに目をやると、お母様が笑っていた。
「ロイったら、昨日からずっとあなたたちの心配をしているのよ?迷子になったら、とか、暴漢に会ったら、とか。もうレイもリーナも大きくなったのだし、ミリアも行くのだから大丈夫と言ってるだけれど」
「困ったわ」と頰に手を当て首を傾げるお母様は、困るというよりはとても楽しそうな、お父様が可愛くて仕方ないような顔をして微笑んでいた。
夫婦仲良くてなによりですね!
リュリアーナはお兄様と顔を見合わせ、二人で「ふふっ」と笑い合った。
和やかな朝食を終え部屋に戻ってきたリュリアーナは、いよいよ出かける魔の森のことで胸がいっぱいになっていた。
お兄様の了承を得てないことをすっかり忘れて。
絶対に魔王の息子に会うわよー!!