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帰路




「そろそろ帰ろう」というお兄様の声に、とっても名残惜しいけれど「そうですわね」と頷く。


「ユティ様、婚約者としてこれから宜しくお願いいたしますわ!今日は楽しい一日をありがとうですわ!」


離れ難い気持ちをなんとか抑えて笑顔を浮かべる。

またすぐお会いできるかしら・・・。

そのリュリアーナの考えが分かったかのようにユリシュティも笑みを浮かべる。


「僕も楽しかった。良い一日をありがとう。・・・それにしても、まだ会ったばかりだというのに離れるのは寂しいものなのだな。離れ難いと思ってしまう。できることならまたすぐにでも会いたい。会えない時は手紙を送っても良いだろうか?」


笑顔から一転して、少し寂しそうな顔でそう言うユリシュティにリュリアーナは首を何度も上下させて肯定の意を返す。


な、なんてこと!

ユティ様も離れ難いと思ってくれるなんて!

嬉しすぎますわー!!


ユリシュティの言葉に内心で悶えまくりながら何とか言葉を発する。


「えぇ!えぇ!喜んで!とっても嬉しいですわ!わたくしもお会いできない時は手紙を書いても良いですか?」


パッとユリシュティの手を両手で握り、嬉しそうな顔で距離を詰める。


「あぁ、もちろんだ!リーナから手紙が来るのを楽しみに待つよ」


本当に嬉しそうに笑うユリシュティを見てホッと息を吐く。

この方をわたくしが幸せにするわ。絶対に。

笑顔溢れる幸せいっぱいな家庭を築くわ。

破滅なんて絶対にさせない。

わたくしが守ってみせますわ!


そう固く胸に刻み、決意する。


「ほら、そろそろ行くよ。一度町にも寄らなきゃ行けないから急がないと」


お兄様に促され門に向かって歩を進める。

あぁ、次はいつお会いできるかしら。

しっかりお姿を目に焼き付けておかなければ!


門まで見送ってくれるのか一緒に歩くユリシュティを穴が開くのでは?というほど見る。

そして見ている相手も同じようにリュリアーナを見る。


お兄様にエスコートされていなければ門まで真っ直ぐ進めなかっただろう。

だが今はそんなことを考える余裕のないリュリアーナだった。


「じゃあユティ、また会おう」


わたくしの隣でお兄様がユティ様に声をかける。

それに「あぁ、もちろんだ。また会う時を楽しみにしてる」とユリシュティが笑顔で返す。


「またお会いしましょうね!お手紙も書きますわ!お返事遅くても構いませんから絶対くださいませね!」


少し涙ぐんでいるのか潤んだ瞳でユリシュティを見る。


「もちろんだよ、リーナ。僕も遅くても良いから絶対返事を送ってほしい。二人とも帰り道気を付けて。また会おうね」


そう言ってユリシュティが片手を上げ、ひらひらと手を振るのを見てお兄様と一緒に歩き出す。

何度か振り返って手を振りそうになり、何度もそれを押し込める。

あぁ、寂しいですわ・・・。


感傷に浸るようにとぼとぼと歩いているとお兄様が声をかけてくる。

「リーナ、何かやりたいことはないのかい?」と。



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