告白
ぱちっと目を開ける。
あら、いつもと天井が違うわね。
キョロキョロと辺りを見回して見慣れない部屋にいることを悟る。
わたくしどうしたんだったかしら。
記憶を遡ってみたところで、瞬く間に全身が赤くなる。
そ、そうだわ!
わたくしユティ様から頰にキスをいただいて・・・!
あぁ!なんてこと!
なぜわたくし倒れてしまったの!
あんなに素敵な場面でしたのに!
スチル化してほしいですわー!
それにしても本当に素敵でしたわ、ユティ様・・・。
わたくしの求婚に戸惑ってらしたのに、まさか今日受け入れていただけるとは思いませんでしたわ!
やったわ!ユティ様の婚約者になれたのよ!
なんて嬉しいのでしょう!
わたくし、ユティ様の隣に立つのに相応しい女になりますわ!
きゃー!と一人寝台の上で悶えたり、ガッツポーズをしているとノック音が聞こえた。
「リーナ、入るよ」
そう言って顔を見せたのはお兄さまだった。
心配そうな顔でリュリアーナの側に立つと「目が覚めたんだね。気分はどうだい?悪くないかい?」とおでこに手を当てられる。
ひんやりしていて気持ち良い。
先程までの興奮が少し落ち着いた気がした。
「えぇ、お兄様。ご心配おかけして申し訳ありませんわ。でも今までで一番幸せですので心配なさらないで」
「そうか。それなら良かった。でも急にプロポーズするなんて・・・。事前に教えて欲しかったなぁ」
拗ねたような表情を浮かべるお兄様に「言ったら反対なさったでしょ?」というとお兄様は少し考えてから「・・・たしかに」と答えた。
「まぁ、リーナのプロポーズも上手くいったみたいだし、あとは帰ってお父様とお母様の了承が得られれば問題ないね」
「そうですわね!帰ったらすぐ相談いたしますわ!」
そこで再びノック音が聞こえたので、そちらに意識を向けると「入って良いだろうか?」と遠慮がちなユリシュティの声が聞こえる。
「もちろんですわ!」と返事をすると、心配そうな顔をしたユリシュティが戸惑いがちに入ってくる。
「その、すまなかった。まさか倒れてしまうとは思ってなかった。本当に申し訳ない」
部屋に入ってすぐの入り口付近で立ち止まったまま謝罪の言葉を口にし頭を下げるユリシュティを見て、慌てて寝台から降りユリシュティに駆け寄る。
「いいえ、誤っていただく必要はございませんわ!だってわたくし嬉しすぎて倒れてしまったのですもの!むしろもっとしていただいて構いませんわ!」
ユリシュティの両手を取り、それをリュリアーナの両手で握りこみながら嬉しかったから良いんだというのを伝えると、ユリシュティが少し頬を赤く染める。
「そ、そうか。それなら良かった、のか?それより体調はもう良いのか?」
再び心配そうな顔で問われ「ええ、元気ですわ!」と答えるとユリシュティは安堵した表情を浮かべた。
それを見てリュリアーナの胸に幸せと嬉しさがこみ上げる。
「ユティ様、大好きですわ!わたくしの求婚を受け入れてくださってありがとうございます」
握り続けていた両手をそのままにリュリアーナはとても嬉しそうに微笑んだ。
それを見たユリシュティの顔は真っ赤に染まり、勢いよく顔を逸らされる。
「ぼ、僕の方こそ・・・あ、あり、がとう」
嬉しそうなリュリアーナと真っ赤になったユリシュティがお互いに照れたように微笑みあっていると呆れたような声がかかる。
「二人とも僕がいること忘れてない?」
「お兄様!」「レイ!」
二人でレイフォードに顔を向けたあと、繋いでいた手を離し、再び二人で顔を合わせて笑ってしまう。
「ごめんなさいお兄様」
「すまない、レイ」
二人でレイフォードに頭を下げて謝ると、はぁ、とため息が聞こえたあと「しょうがないなぁ、それより僕お腹すいたよ」というレイフォードの声で、リュリアーナとユリシュティのお腹かが小さく鳴って再び顔を合わせて笑った。
「ご飯にしましょうか、お兄様!」