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12 令嬢、出陣

そろそろ花粉の季節ですね・・・。つらいです・・・。マスクして、薬飲んで、目薬をして頑張ります。

 人間の王国「エンゲラーナ王国」は、今日は一段と活気があった。


 今日は「料理大会」。新たな天才料理人が生まれる日。人々はそれが楽しみなのだ。


 王国の中心に位置する広大な広場。ここで大会は開催された。


「本日の大会にはなんと、六人の方が出場します!今年の出場者は本当に少ないですが、この中で一体優勝するのは誰なのか!?」


大会の司会がそう言った。アデライードを含めて六人、今年はかなり少ないらしいが、敵は少ない方が楽であろう。アデライードは、僅かに微笑む。


 出場者は広場の中心に一列に並ばされた。ジークレインは、観客席からアデライードを見守っている。


「審査員は国王様と過去の優勝者の方々、そしてなんと今年はあの方が審査員としてやって来ます!」


司会は興奮気味にそう言った。今年は特別に凄い人を呼んでいるそうだ。


「史上最年少の料理家として話題のロキ・トリス!」


観客席からは主に女性の黄色い歓声が聞こえる。それと同時に一列に並ぶ出場者の目の前に少年が現れた。


 少年は気高く胸を張ると紳士らしいお辞儀をする。その姿に鼻血を出す観客者までいた。


「……あの少年って」


アデライードは、少年の姿を見て息を飲んだ。


 この少年。以前、王国で着ぐるみを着て露店を開いた時に会ったことがある。


 たしか少年はヒロインの家のパン屋の行列に並んでいて、アデライードは、試食として彼にパンを一口あげたのだ。そして、


「美味しい!やっぱ僕、こっちの露天で買おうかな。お腹すいて限界だし」 


と言ってパンを買ってくれた少年だ。


「……詳しくは十話参照ということで!」


アデライードは、ドヤ顔で誰もいない方向に言った。


「それでは、出場者の紹介です」


司会者は名簿を読み出す。


「エントリーナンバー 一番。セシルさん」


セシルと呼ばれた女性は「は~い、ウフフ」と笑った。白がかった金髪は毛先が緩く巻かれていて、気前の良さそうな女性だ。


「エントリーナンバー 二番。ハープさん」


「僕の名前を呼んだかい?」。纏っている雰囲気からしてキザな男だ。彼の長い自己紹介により、東に位置する国から来たそうだ。かなりどうでも良い。


「エントリーナンバー 三番。ローデルさん」


小柄で目が猫のように鋭い少女。同じニオイがする。


「エントリーナンバー 四番 ガジルさん」


褐色の肌を持ち、大柄で筋肉質な男だ。南の島出身らしい。


「エントリーナンバー 五番 エルシアさん」


「はぁ~い」と女はだらしない返事をする。


(いたわね!ぶりっこヒロイン)


ぶりっこヒロインの存在に観客達はざわつく。新聞で大きく記事にされたからな、仕方ない。


「エントリーナンバー 六番 アデラさん」


本当は自分の名前はアデライードだが、偽名を使わせていただく。観客達、審査員達までもが、アデライードを注目した。


「よろしくお願いします」


アデライードは、昨夜に練習した「紳士」のお辞儀をした。


 そう、アデライードの考えた変装。それは……


(男装よ)


真っ赤な髪の毛は、ニコラに魔法をかけてもらいショートカットに。ちなみに、髪の毛は、魔法により短くした為、直そうと思えば直すことが可能だ。


 服装は、黒色のシャツに真っ赤な薔薇のように赤いジャケット。紳士的な服装だ。


 アデライードは女性にしては長身だ。また、ショートカットにしたことで中性イケメンの完成である。よって、全く違和感がない。


 観客席や審査員席からは、黄色い歓声が後を絶たない。


「ちょっ……何あのイケメン!」


「あんな人、王国にいたっけ?」


特に女性に人気があるようでして。良かった、幸い「違和感」が仕事をしていない。アデライードは、そうっと胸を撫で下ろした。


……フゥ、だが、胸がバレないように色々と工夫している。胸部が絞められていて苦しいな。魔法で何とかできなかったのであろうか。


 なぜ男装をしたかというと、女性達を虜にしたかったから。


 勿論、お店の常連客にもしたいが、ヒロインに立ち向かう為には女性を味方につけたかったのだ。


(ぶりっこは、女の敵ですものね!)


ずる賢いって?こんなの序の口ですよ!


「それでは早速、皆さんの料理を見せてください!」


そして、大きなテーブルが用意され、料理の品々が並んだ。


 一方、審査員である最年少天才料理家「ロキ」は、横目で男装で女性達を虜にしているアデライードを見た。


次回、出場者達の料理とは!?

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