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ここは福岡、破落戸ランド  作者: 中洲の住人
6/6

ケース6 マーケットリサーチ



「さてさて、なんかどっかに美味い儲け話はないもんかねぇ。」


「いや、そんな簡単に儲け話なんかないっすよ〜。」


いつも通り、昼ごろから出勤して重役椅子にどかっと腰掛け、ユキちゃんに淹れてもらったコーヒーを飲みながらケイジに話しかける。


「そうなんだよなぁ。ま、ちょっくら行くか。

ケイジ、車出してくれ。」


「ウス。」


「行ってらっしゃい。」

ボーナスを奮発したのでユキちゃんも機嫌がいい。


店舗の裏口で待っているとケイジが車に乗って駐車場から出てきた。

先月大儲けしたので購入したベントレーミュルザンヌスピードに乗って店子さん廻りをする。


「ケイジ、もうこの車慣れたか?」


「いや、慣れないっすね…。

ハンドル握るだけで緊張感が…。」


それもそのはず、この車は4000万を超える超が付くほどの高級車。

まともな会社では社用車にするなど考えられないだろう。


「まぁそうだよな、俺も運転したくねぇもん。」



そんなどうでもいい話をしながらお店を何軒か回る。

そこでちょっと美味しい儲け話を聞くことができた。



「ママ久しぶり〜。」


「あら〜!ゆうちゃん!

どうしたの!?」


伺った先は今中洲で1番勢いのある高級クラブの翔子ママのお店。


「いやね、なんか困ってることなんかないかなーって。」


「うーん、そうねぇ。

あ!そうそう、うちの子の麗香っているじゃない?」


麗香ちゃんとは翔子ママのお店でナンバーワンを数年間張り続けているエース中のエース。


「お、てことはついに?」


「そうなの!いよいよいいかなって。」


麗香ちゃんにはここ最近独立の話が持ち上がってて、本人はあまり乗り気じゃなかったと聞いていたのだが。


「でも乗り気じゃなかったんでしょ?」


「だからね、暖簾分けって形でお店を預けようかなって。」


「なるほど。してどこに?」


「歌舞伎町!」


「ほぇー!やることが派手だね、翔子ママは!」


「私たちは明日も知れない華なんだから上げられる時にドーンとでっかい花火打ち上げなきゃ!」


「なるほどなるほど。」


「でね、ゆうちゃん歌舞伎につてないかなーって聞かなきゃと思ってたの思い出したの!」


なるほど、ビジネスチャンスではある。


「俺のこと思い出してくれてありがとね、翔子ママ。

一応ツテは持ってるから大丈夫だよ。

任せといて!」


「良かったわぁ〜!

じゃ麗香ちゃんにも連絡しとくわね!」


「よろしく〜!」


店を出た後、ケイジに伝える。


「会社帰ったらすぐ東京行きのチケット取れ。」


「ウス。」



そして、翌日。



「着きましたね。」


「そうだな。」


「なんで私まで…。」


お店は休みにして3人で市場調査の名目で東京にやってきた。


「とりあえずホテル行こうか。」


「ウス。」


羽田空港でタクシーを捕まえ新宿のパークハイアットホテルに直行する。

俺らが東京に来る時は大体歌舞伎町に用事があるので新宿のホテルということが重要になる。

あと、中洲の端っこというか住吉にグランドハイアットがある関係でメンバーシップに加入しているためハイアットだと何かと都合が良い。


タクシーで車止めに乗り付け、ドアマンに名前を言うとすぐにベルボーイがカバンを持ちにやってくる。

部屋はもちろんスイートなので、ラウンジでチェックインできるため41階まで上がる。

ちなみにグランドハイアットだとクラブラウンジといってグランドクラブというラウンジでチェックインできる。


「山下様、いつもありがとうございます。

本日パークスイートのお部屋でのご宿泊でしたが、プレジデンシャルに空きがございますのでそちらのご案内でもよろしいでしょうか?」


「もちろん。よろしくお願いしますね。」


「かしこまりました。ありがとうございます。」


ちなみにケイジとユキちゃんの部屋はデラックスキングの部屋を一つずつ用意してある。


チェックイン手続きを済ませみんなに言う。


「とりあえず荷物置いたら貴重品持って俺の部屋集合。」


「ウス。」


「はーい。」


と言うことで30分後。


「よし、じゃまずユキちゃんにはこれ。」


渡したのはアメックスのゴールド。


「!?!?」


「これで今晩歌舞伎で好きなだけ豪遊してこい。

ほんで、中洲との違い、空気感、お客さんのお金の使い具合、網羅してきて欲しい。」


「え、いいの?」


「もちろん。

その代わり使った分に見合うだけの仕事はしてきて欲しいな。」


「わかった。」


「ヨロシク。

で、ケイジは俺と今から歌舞伎行こうか。」


「ウス。」


「じゃ各自解散で。」


「はーい。」


「ウス!」



で、やってきた歌舞伎町。


「まずここからだな。」


「そうっすね。」


やってきたのは有名キャバ嬢のいるお店。

ルマンド東京。


黒服に案内されて奥の席に。

ついた女の子は2人。


「どーも!

ミカです!」


「こんばんは!ユイです!」


「ヨロシク〜。ショウタでーす。」

こういう店では本名を名乗らない。


「ショウタさんていうんだー!東京の人?」


「いや、博多。」


「え!嘘!私も博多っちゃけど!」


「マジ!?同郷やん!

ちょっとお祝いに泡入れるわ!

信号機もってこ〜い!!!」


「きゃー!!!!ほんとに!?!?」


信号機とはアルマンドという酒のことで、ボトルの色違いで三本と言うことである。



こんな感じで話ははずんでいき、店側が上客と判断してくれたのだろう。

ついに本丸がやってきた。


「おにいさん、楽しんでるね!

どーも、二代目ゆみかおるでーす。」


このふざけた名前のキャバ嬢こそがこの店のエース。

ドンペリ社から表彰されるほどのドンペリ消費量で、日本一ではないかと言われている。


「お!ゆみちゃん!

待ってたよ〜」


「じゃ私も飲ませてもらっていい?」


「もちろん。

じゃ、コレクション行っちゃって。」


「え!?いいの?」


「もちろん。」


コレクションとはアルマンド6本セットのことである。

値段は見てない。



とんでもない量の酒量を消費し、ついに閉店時間となりお会計。


黒服が領収書を持ってくる。


「翔太様、本日は大変ありがとうございました。

こちら、お会計でございます。」


「あいよ。」

高級感のある革製の折りたたみタイプの伝票ホルダーを黒服が渡すが、俺は中を見ることもなくカードを黒服に渡す。


渡すカードはダイナースクラブプレミアム。

いわゆる限度額がないというカード。


会計を済ませ店を出る。


「メモできた?」


「もちろんす。」


「よし、ケイジ、じゃこれ。」


「えっ?」


「これでもうちょい遊んでこい。」


「いいんですか!?」


「おう。しっかりレポートあと出してくれよ?」


「ウッス!!!!」


俺はルイヴィトンのクラッチバックから帯付きを一つ現金でケイジに渡してやりその場を別れる。



ケイジがその場を離れたところで店から先程のゆみちゃんが出てきた。


「翔太さんお待たせ!」


「おう、じゃ行こうか。」


「たのしみ〜!」


私はゆみちゃんをホテルにお持ち帰りした。





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