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VRMMOでアイテムの全自動量産体制を整えてみた  作者: 恵笛
始まりのHPポーション
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生産の楽しさ

 なぜ失敗したのだろうか。俺はその原因を薬剤師の人に教えてもらった。


「まず君は薬草をちぎりすぎだ。それじゃあまるでペーストみたいだ。さらにポーションを煮込む時間が少し長いんじゃないかい?」


「分かりました、ありがとうございます。」


 初級薬剤の本に書いてある粉砕を拡大解釈しすぎたようだ。しかし煮込む時間が長いってどういうことだ。


もしかして四分をオーバーしたら強制的にランクが一つ下がるような仕組みにでもなっているのだろうか。


 そんなことを検証するために今度は大きめに薬草をちぎり、すりつぶさずにポーションを作ってみる。そして今回は四分を過ぎないようにするために3分40秒当たりで煮詰めるのをやめ、取り出す。


 最後に


「薬剤錬成」


詠唱を終え、出てきたアイコンは――




『HPポーションC+』


「よっしゃああ!」


「おお、よくやったじゃないか。今回は煮詰めるのをやめたタイミング、葉っぱの粉砕、全工程にかかった時間どれも最高によかったぞ!」


 どうやらゲームの仕様上その三点の総合でポーションの質が決まるようだ。


言い方からしてB-以上の質のポーションはこの素材、作り方では作ることが出来ないのだろう。


 その後細かく条件を知りたくて数回ポーションを作ったが、二回目より少し細かくちぎった方がよりよく、時間は3分40秒が最適といったところだろうか。


全工程に掛ける時間は特に関係なさそうだった。あんまり長くやりすぎると減点になるのだろうか。



 今はIL全体で慢性的にポーションが不足しているから市場で比較的高く売れるみたいだが、うちのパーティーでも恐らく足りなくなってくるだろうから持っておくことにした。


 そろそろリアルでの時間が22時を過ぎる。このゲームではログアウトはどのようにするのだろうか。とりあえずボーロンとエリウムに会うことにした。



 集合した場所は宿屋だ。


ボーロンによるとログアウトは一応どこでも可能だが、敵が出てくるフィールドやダンジョンだとほぼ間違えなくログアウト中にダメージを受け死亡し、町の中だと道端などで寝ている、という扱いを受け冒険者ギルドに引き取られる。


 その状態でログインすると長ったらしい忠告がなされとても面倒くさいようだ。そういうわけで宿屋に部屋をとることにしたようである。


建物はそこまで大きく無いがこちらもやはり通常のフィールドとは分断されており、実質無限に人が泊まれるようだ。





「すいません! 三部屋空いてますかっ??」


 エリウムが入ってそうそう空きを確認している。行動が速いな、いつも。


「別に…三部屋じゃなくても一部屋でもいいんじゃない?」


 ボーロンがそういうと


「あっ 確かに! すいません、やっぱり一部屋で!」


 もう少し考えろって。そんなこんなで俺たちは無事に部屋に入ることが出来た。中は思っていたよりも豪華な感じがする。


寝るとなると割と狭いだろうが、ログアウトするためだけなら問題はない。


 「インベントリから宿にある押し入れにアイテム移せるからインベントリがいっぱいだったら移した方がいいかもな。」


 ボーロンが言った。このゲームではアイテムは一部を除きスタック式で、一種類のアイテムを99個までスタックできる。


しかし、装備品や料理、魔道具などはスタックできないためアイテムを保存するためにはどこかに預けなければならない。




 宿は金がある限り何日でも連続で泊まることが出来るため、宿の押し入れも倉庫として使うことが出来る。そこに 木の杖D 魔法攻撃力上昇+3% のみ押し入れに預けた。


「お! さっそく魔道具作ったのか!? なぁ! そうなんだろ」


「ああ、そうだよ」

急に反応してきて驚いた。


「すげえ!! あんな魔法陣書ける奴いるもんなんだなあ」


「もっと高Lvなったら楽器にも魔導錬成してやるよ。」


「おお!! よろしくな」


さてさて…


「そしたら残りの時間で軽く今日あったことについて話し合おうぜ」

と俺が提案する。まあいつもこのPTは最後に時間があれば情報交換、作戦会議、雑談など……をしているのだ。この時間が俺らの連携を生んでいるのかもしれない。



「それじゃまずオレ!! 吟遊詩人について聞きまわったり楽器見たりしたけどやっぱり6人パーティーにおける立ち位置は前作と変わっていないな! 複数人に掛けるバフは神官より強い。


 まあβテストである程度分かっていたが。そして歌う系のスキルでは声が大きい方が効果が大きい! だからオレに向いてるぜ」


 自分で向いてるとか言ってるし。まあ実際向いているけどな。前衛も兼ねることがあるしちょうどいいだろう。


というか、六人ともまさに適材適所といった感じで職業についていると思う。


「次は俺から……でいい? ええと……やっぱり騎士は大盾を使うのが一般的みたいだ。でもっていまのトッププレイヤーは大盾に強力なエンチャント……魔導付与をして敵にダメージを与えつつヘイトを集めチームの防衛をするっていうのが定石みたいだね。」


「おお、じゃあ最後に俺ってことで……。 まず今でた魔道具だが魔法陣を書くのにNPCの魔導師によると長い人では1時間、俺が割と早い方だったみたいで40分かかった。」


 二人とも声にこそ出さないが結構驚いているな……


「そして魔法陣には謎の記号が使われているがコレの意味は分からなかった。」


「あ、だったら明日までにそれの情報漁っとくよ」


「おおう、よろしくな」

ボーロンが情報を探ってくると高確率で何かしら見つけてくるからすごいもんだ。


 そのあと、初級魔道具の書を受け取ったこと、薬剤師のところに行ったことを話した。ボーロン曰く


「ポーションは薬草と違って雑貨屋に売ってないから価格が結構上がっている。HPポーションD-が100G、HPポーションDからHPポーションC-が130Gから260Gをさまよっていて、HPポーションC+が300Gってところかな。」


「思ったよりも高いんだな」と俺が言うと


「いや、でも恐らく作るのに5分近く掛かるでしょ。五分あればゴブリンとの戦闘三回は出来る訳だしもっと高ランクのダンジョンであればもちろん稼げるし効率はどんどん上がる。


 だから今のところ生産を金策としてやるのはあまり効率的ではないのかもしれないな。」


ボーロンは集めた情報から考察し、それを話す時にはやたら口が回る。だがそれは俺も似たようなものだ。


「もしかしたら今あるポーションの供給は俺みたいに試しにポーションを作っている奴らの物が大半なのかもしれないな。だとすると――」




 俺らは十分くらい話合いをした後、一斉にログアウトした。




 あっ 飯落ちするの忘れてた!



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