表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOでアイテムの全自動量産体制を整えてみた  作者: 恵笛
始まりのHPポーション
6/72

生産の厳しさ

※作者の諸事情、ミスにより1~4話の人名、会話文に変更がなされています。今回の話には影響はございませんがご注意ください。


文章中のお金の単位が円になっているところをGに修正 1/05

 魔導の館に着いた。ここにはいかにも魔導師っぽいお婆さんがいる。建物に入るとフィールドと分断され、俺以外のプレイヤーは見えなくなる。


「すみません、魔道具の作り方について教えていただきたいのですが……」


「魔道具の作り方を教えることは慣れているからいいのだけれど―― 、いま魔道具の材料が無くてねぇ、これ取ってきてくれるかい?」


 げっ、お使いクエストだ。RPGの序盤に多いのをすっかり忘れていた。一人でダンジョンとか行きたくねぇもんなぁ。


「クエスト 魔導師のお願い を受けますか?」


 詳細を見てみると…… どうやら魔石を納品すればいいようだ。入手方法などは書いていない。ということは……。さっそくクエストを受けた。と同時に


「これ、すでに持っていますけど。」


「おお! そうかい、そりゃちょうどよかったわ。じゃ、さっそく教えたげるね」


 ウィンドウが現れ、「クエスト達成」とでた。ちなみに報酬は「魔導師の指導」みたいだ。


「あんたは……魔道具を作るのは初めてかい?」


「ええ、そうです」


「そしたら、まずは魔導の基本から知らないとね」


と言って何かを説明しようとするがすかさず


「大体分かるんで大丈夫です。基本的なことは本で読んだので。」

 実際はネットの攻略サイトだが。


「そうかい、ならさっそく魔道具を作り始めようかね。一番初めに作るのは……これだよ。」


「これは……杖ですか。」


「そう。これには『魔法攻撃力上昇+3%』が付いているよ。まず初めにこれを作りなさい。詳しくはこの初級魔道具の書に乗っているわ。そこの机に置いてあるものは自由に使っていいからね。」


「ありがとうございます」

 ゆっくりとした口調ながらもはっきりと伝わってくる。こうして長年教えてきたという設定なのだろう。


 その本によると、魔道具制作に使うのは魔法を付与する対象と紙、あと魔石と魔石を溶かして作る魔導インクである。。紙の質は何でもいいそうだ。


 大まかな手順としては魔法陣を紙に書き、それを武器に付与する、という流れらしい。


というわけでさっそく紙とペンは……この羽ペンを使うのか。


 容器に魔石と同じ灰色の液体が入っているためそれを手元に持ってきて、羽ペンを浸す。そして本に書いてある通りに写す。縦横15cm程の正方形のわら半紙に羽ペンをあてて書くと思ったよりは滑らかだ。それに一度ペン先にインクを付けると長く書くことが出来るため頻繁にインクにペンを浸す必要が無い。しかし……





 これ、めっちゃむずくね?




 まずきれいな円を羽ペンで書く。そこまでは何度もなぞるようにしながら書けばいいのだが問題はその後。魔法陣に書く円は三重になっていてその間に見たこともないくさび形文字のような文字を書いていく。楔形文字というよりは単なる線の集まりか。


 それを間違えずに写さなければならない。全部で100文字はあるぞ……


 四十分間くらいやっただろうか。ようやく全て写し終えた。


 武器の上に紙をかぶせ、魔法陣の中心にうまく魔石を置き、


「魔導錬成!」


と詠唱すると完成である。長かった……


木に杖の上のアイコンは木の杖Dから 「木の杖D 魔法攻撃力上昇+3%」に変わっている。手で持つところに小さくなった魔法陣が張り付いている。なんだかかっこいい。


 ウィンドウが現れ「魔導師Lv1になりました」と表示される。このゲームではサブ職業のようなものは設定されて無く、自分で今みたいな形で師匠に教わっていく形である。そのため人によっては二つも三つも生産系の職業を掛け持ちするようだ。


 しかし思っていたよりも難しかったなあ。


「おおお、完成したかい。お前さんは割と筋がいい方だ。中には1時間以上かかった人もおるからねぇ。さてと、あとは自分でひたすら魔道具を作っていけば上達していくさ。これからも頑張ってね。もし作業する場所が無かったり、聞きたいことがあったらここに遠慮なく来なさい。わかる範囲なら何でも教えてあげるよ。」


「すみません、一ついいですか?」


「なんだい?」


「この魔法陣にある文字の意味って何なんですか?」


「それは……まだちと教えられないねぇ。もう少し腕を上げたらまた教えてあげるよ」


 えええええええ。さっき「何でも教えてあげる」って言わなかった??嘘だったのか?

 まあ教えてくれないことはすでにネットで知っている。


 さて、他にもいくつか武器を強化してみたいが……時間がかかるから今度にしよう。


 初級魔道具の書と木の杖Dをしまって、おれは薬剤師のいるところに向かう。



  薬剤師のいる建物「薬剤研究所」は魔導の館のすぐ近くだった。ここには中年っぽいおじさんがいる。さっきと同じように薬を作りたいと言うと今度は薬草を求められた。平原のさらに北の森に行ってもいいが時間も無いので市場に買うことにした。


 市場には二種類ある。一つ目は地元市場でもう一つは総合市場だ。地元市場はその町の人しか売ることも買うこともできないが出品時の手数料は出品額の2%だ。それに対して総合市場はこのゲームのどこの市場からでも出品、購入ができるが手数料が出品時の10%+100Gだ。


 そのため消費アイテムなど需要、供給共に多いものは主に地元で、装備品やレアアイテムなどは総合で、という大まかな住み分けがある。


 ちなみに出品の価格は自由だ。つまりその時の相場に合わせて商品の価格を考えなければならない。もちろん同じアイテムは価格の低い順にソートして安い方から買っていくのが普通だ。


 俺は地元市場で薬草を見てみた。すると77Gが最安値でずらりと並んでいる。これを10個買って市場を出た。市場は建物が大きいが、中に入るとウィンドウが表示されて、アイテムのやり取りをするだけだ。なんとなく虚しい。


 後で知ったが、薬草は雑貨屋で75Gで売っていたようだ。


 俺は薬剤研究所にもどった。こちらも同じように初級薬剤の本を渡され、自分で作る形のようだ。さっそくHPポーションDの制作に取り掛かる。


 作業工程はさっきよりも多く、薬草二つを粉砕し、粉々にする。まだ水分を含んでいるので粉々というよりペースト状の方が近いかもしれない。その後に水に溶かし、お茶のようにする。そしてそれをおよそ四分間煮つめて、瓶に詰める。最後に薬剤錬成、と詠唱すると完成である。


 さっそく俺は言われた通りに試してみる。魔道具よりも全然手間がかからない。これは楽に済みそうだ、と思いながら手順をこなしていき、最後に瓶に出来上がった桃色の液体を詰めるとアイコンが現れた。


 そこには――――





「HPポーション D-」




 何をやらかしたんだ、俺は。D-なんて初めて見たぞ。


 生産系職業の難しさに気が付きながらも、俺はもう一度やってみることにした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ