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【番外編】正月イベント3

 四日間の中でなんとか42回ダンジョンを周回した。


 そして今から残り一時間で大急ぎで加工してお賽銭をしなければならない。


 一度に平均して餅200個分ほどのもち米の種もみが手に入ったから、餅だけで8500個ほど獲得したことになる。


 更に昨日俺が思いついた、自動で竹を切ってそれを紐の中に直接転移させて縛り上げる工法なんかで門松やしめ縄も半自動生産ができるようになったためガチャ券の枚数は1万枚を超える。


 それらを六人で手分けして、お賽銭箱の中に流し込む。


 じゃらじゃらじゃらという音が全く途切れることなく流れこむ。


 インベントリから出す操作をすれば、あとは自動で出てくるのでついでにいいアイテムが出るようにとお祈りをする姿勢でお賽銭をした。


 ずっとお賽銭箱の音を聞いていると、本当に滝の近くにいるかのような気分になる。めちゃくちゃ楽しい。気分的には線をして水を貯めた水道から一気に水を抜くときのようだ。


 コインの重厚な音が、黄金の輝きが、お賽銭箱の中に吸い込まれていく。

 遠くからの写真も欲しかったくらいだ。


「(頼むから、お守りと炬燵出てくれ……)」


 アイテムログは流れが早すぎてもはや全く読めない。後で確認するしかなさそうだ。


「おいおいおいおい、何だありゃ」

「ねえ、あの人達チートしてない?」

「ちょ、ガチ勢かよ、ってかあんなんどうやったら出来るんだよ」

「俺、秘訣聞いてくるわ」



 何回か詳しく事情を教えろということで話しかけられた。そんなに珍しいことなのだろうか。よくわからないが他人に情報を伝えるというのも馬鹿らしいためすべてさらっと流した。


 全てのガチャ券を入れ終えた。結構長かった。


 俺たちは急いでクランハウスに戻って中身を確認する。


 AランクやSランクのものはインベントリから出して机の上に置いていくことにした。


 アイテムの数も尋常じゃないからかなり調べるのに時間がかかるな……。


 片っ端からアイテムの詳細を見ていく。


「あー! お守り見っけ!」


 一番初めにお守りを見つけたのはティウだ。効果は「2%の確率で回復魔法の効果6%上昇」だそうだ。効果は他の装備との乗算のようだからかなりいいのではないだろうか。


 次いで俺が見つけた。


「会心のお守り、だってさ。1%の確率で与ダメージ25%上昇だって、へええ、すげえなこりゃ。あ、こいつAランクだわ。」


 やはりAランクというのはかなりすごいものらしい。


「着物いらねー」


 エリウムが愚痴をこぼす。そう、もはやダンジョンの周回を終えた俺たちには着物もおせちも完全に外れだった。後で全て売り叩くと決めている。


「私もお守り見つけたようだ。」

「私もです。」


 ノブラックとべリリーがお守りを見つけた。


 その後も黙々と景品を探す。




 机の上のお守りはどんどん増えていく。






 お守りの数が10個に達しようとしたとき。






「あ、俺の景品全部なくなったわ」


「私も」


 エリウムとティウの持っていた???が全部なくなったようだ。


 炬燵って、そんなに確率低かったのか?

 これだけやって出ないんじゃあ、プレイヤーは誰も手に入れられないのでは……








「あ、ああああああああああああああああったーーー」


 あった、あったぞ、俺のインベントリの中に間違いなく炬燵という漢字がある!


 喜びのあまりすぐに俺は机の上にその炬燵とやらを出した。


「おまっちょっ」


 がしゃんという音がなる。


「あれ?炬燵ってこんなに大きいものだったのか?なにかの置物かと……。」


「いや、流石に無学すぎないかい」


 驚きつつ俺は一旦インベントリに終い、横のフローリングの上に改めて出した。


「机の耐久が減ってるじゃねえかよ、全く」


「いや知らなかったんだって、すまんすまん」


 さて、一体炬燵というものはどうやって使うのだろうか。


 何か、横から布団みたいのが覆いかぶさっている。めくってみると中は空洞だ。何もない。だがすこし温かいような……


「わーいこたつー!、なつかしー!」


 ティウが炬燵に来て布団みたいなのをめくって足を入れた。

 ベリリーも続いている


「あったかーい、あー落ち着くわ―」


「え、ただの暖房器具?」


「そうよ?」


 よくわからないがとりあえず入ってみる。うん、たしかに温かいが、それだけだ。なにか特別な事があるわけでもない。


「すごい気にはなっていたが、実際使ってみるとなんか微妙だな」


「え~、落ち着かないの~? 謎だわー」


 何が謎なのかはわからないが、一先ずゲーム的になんの効果もない、単なる家具ということは無いだろう。


 そう思ってステータスを見てみると……


「うわっなんだこれっ」


 バフが大量についていた。ほぼ全種類のステータスと言っていいのではないだろうか。それらが1時間の間1%上昇するらしい。


 この類の、何かの施設でバフがつくというのは町中の施設でいくつか既に存在した。温泉やマッサージ施設などがそれにあたる。


 しかしクランハウスに持ち込めて、しかもこんなに多種類のバフがつくなんて聞いてことがない。


 しかもこれ、種類を絞って数種類に集中的にバフをかけることもできるようだ。絞るとその分合計の上昇率は大幅に減るが。


 大体どれかの上昇を2%分減らして、一つのバフを1%上げられる感じだ。



「あれ? おれも炬燵出てきた」


 どうやらボーロンも炬燵を引いたようだった。



 結局、全部でお守り16個、炬燵2個がメインの収穫だ。


 その他にも高級おせちなる消費アイテムが出て、敵に食べさせるとデバフだとか、ペットに食べさせるとバフだとかのものがあった。




「あーあー、正月ももう終わりかー。この炬燵からも出たくないしー。」


 ティウが俺の斜め向かいでぼやいている。まあ、鏡開きにもなにかあるようだし、その時におまけ程度の参加賞ももらえるようだから完全に正月が終わりというわけでもない。


「ねえ、ロージェ、結局炬燵が微妙とか言いながらずっと入りっぱなしじゃない。」


「え、まあ、別に出ても別のところに座るだけだし?このままでいいかなって。」








 数日後、クランハウスの中の俺の研究室をティウが覗いた。


「ちょっとちょっと、ボーロンが引いた2つ目の炬燵、結局あなたが使ってるんじゃない!なによ微妙とか言っていたくせにぃ」


 俺はあのあとなんだかんだ気に入ってしまい、初めに引いた方はみんなとの共用として使い、もう一つは俺の研究室で借りることにした。


 この間みんなが手に入れたオニキスを使って、闇の魔導円環を作成している最中だ。炬燵に入って。



「まあ、ね、結局こたつから出ても机に座るだけだし?このままでいいかなって」


「じゃあアタシも装備の点検ここでやるわ」


「え、いや、ちょ、スペースが、あー!こら、貴重な宝石を床に置くなって!」




 まあ、何はともあれ、年明けは幸先のいいスタートだったと思う。

 


続きます

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