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VRMMOでアイテムの全自動量産体制を整えてみた  作者: 恵笛
始まりのHPポーション
5/72

初めてのダンジョン

諸事情により ローゲン → ロージェ となりました。

ご注意ください。12/20


キャラクターの性格の差が分かるように少し会話文を変更しました。12/31

 ダンジョンは北門から出て結構進み、平原の半分を超えたあたりから小高い丘になっている所にある。


 丘の一部が欠け、そこから下に階段が続いている。天井にオレンジ色に光る小さい石が埋め込まれている。ちなみにもちろんエリウムはβテスターだったので既にクリアししているのでダンジョンの詳細を知っている。


 ゆっくりと中に入っていく。通路の幅は5mくらいだろうか。平原で戦っていた時よりは行動に自由が利かなそうだ。エリア名は『ゴブリンの洞窟』だ。


 ダンジョンは基本各フィールドに最低一つある。このゲームはダンジョン――正式には迷宮――を攻略していくのがメインのテーマなので、かなり仕様も細かくなっている。


 ダンジョンは冒険者ギルドと同じように各PT毎に世界を分断される所が多い。一部の高難易度ダンジョンは違ってくるみたいだが。


 そして出てくる敵の種類は多くて5種類。この『ゴブリンの洞窟』は基本的にゴブリンしか出てこない。


 各フロアには階段があり、5フロアごと、または最終フロアにはボス部屋が設置されている。ボスを倒すと独特のアイテムをドロップするようだ。




 少し緊張しながらしばらく歩くと一体のゴブリンがいた。戦闘が始まった――



 俺はすかさず投げナイフを投げた。相手のHPはさっきと同じように5割ほど削れる。その後エリアルが相手を殴りつけ、戦闘不能となり消えていった。


「えっ」

 思わず声を出した。


「吟遊詩人の意味もなく短剣で殴りつけて終わりかよ! 吟遊詩人って何する職業だよ!」

と俺が言うと

「ここの敵が弱いだけだって。ボス戦では使うから気にすんな! そのためにこいつ……おいしょっと。 これを買ってきたわけだし」


 取り出したのはバイオリンのようなもの。あれ戦闘中に弾くのかよ……


 「とりあえずオレのレベルなら短剣である程度火力が出るからどんどん先に進むぞ! 」


 エリウムはいつも通りテンションが高い。





 俺たちは第一階層、第二階層を難なくクリアした。ちなみに迷宮とだけあって迷路のように道が分岐しているが、まだ難易度の低いダンジョンなのもあって、右手伝いで何とかなる。ダンジョンの構成はゲーム内の一日ごとに変わるようだ。


 第三階層にたどり着くとさっそくゴブリンが同時に二体出てきた。


 ボーロンは騎士なのでヘイト上昇スキルを使いたいところだろうが、このゲームではどの職業もLv2に上がらないとスキルを取れない。


 とりあえず俺とエリウムで片方のゴブリンを倒した。その間にボーロンがもう片方のゴブリンの攻撃を受け、短剣で切り付けていたようだ。その後俺がブーメランで攻撃し、エリウムが切り付けて戦闘は終わった。




 このダンジョンは敵の種類が少ないせいで探索もワンパターンになりがちで面白みが少ない。とは言っても第三階層が最深フロアなのでそう飽きることもないが。


 いよいよボス戦だ。ボスを倒すと普通の敵と比べてかなり多めの経験値がもらえるため楽しみだ。


 ボス部屋の前にある大きな大きな扉を開けるとそこにはゴブリンナイト、その後ろにゴブリンアーチャーが現れた。


「ボーロンはナイトを攻撃、ロージェは投げナイフをアーチャーに投擲! 」


 エリウムからの指示が飛んできた。俺はその通りに投げナイフを投げる。そしてエリウムはさっきのバイオリンを取り出して

「フォルテ・ディソネンス! 」


 そう叫ぶと弦楽器を弾き始めすごい嫌な音を出し始める。いわゆる不協和音だろう。しかし敵は動きを止めている。今がチャンスだ。


 俺とボーロンはゴブリン、アーチャーの近くまで走り、俺は投げナイフで攻撃し、ゴブリンアーチャーの気を引いているうちに短剣の刃で相手の弓の弦を強引に切った。


「ボーロンは下がってナイトの相手! ロージェは距離をとってブーメランでアーチャーを攻撃だ! 」


 指示が早い。俺もだんだん勘が戻ってきた。言われた通りすぐさま下がり、ブーメランを放ち攻撃を加える。ヘイトがこちらに向いた。ブーメランはヘイトを貯めやすい。そのことをエリウムもよくわかっているようだ。


 この後俺は投げナイフを投擲し、相手の攻撃をかわそうとするがうっかりよけ損ねてまともに食らってしまった。とはいえ弓で殴られているのでそこまでダメージは喰らっていないが。


「ロージェ! ポーションをボーロンに投げてくれ」


「了解」


 スキル 投擲精度上昇 があるので放物線を描きながらボーロンにしっかりとHPポーションが当たる。エリウムも短剣でゴブリンナイトに応戦しているが、騎士であるボーロンにダメージが集中していたようだ。


 俺が再び投げナイフを投げるとゴブリンアーチャーは倒れた。


「ストロング・ビート」


 と言い、エリウムがスキルを発動……


「ラーラーラーララーラーラー」


「何だよその歌は」

 思わず声に出して笑ってしまった。まさか本当に歌うとは思っていなかった。しかし思っているより歌がうまい。音程も取れているようである。ゲームシステムのスキルアシストのおかげだろうか?


 とにかくパーティー3人に『攻撃力上昇+20% 60sec』がついたところで俺は投げナイフ、ボーロンは短剣で切りかかった。さいごはもはや作戦や統率もなく、強引に倒してしまった。


「レベルUP」というウィンドウが唐突に現れた。その下に「スキル 同時投げ を習得しました」と表示されている。どうやらこのスキルは2つ前のアイテムを同時に投げることが出来るらしい。ボーロンは……


「俺はヘイト集めスキルの 『叫び』を習得した」


 叫びって……。とても単純な名前だ。もう少しひねれないのか。まあ何をするのか分かりやすいから良しとしよう。叫ぶ内容は何でもいいらしい。


 「上質な弦を獲得しました。」


 ドロップの存在を忘れていた。戦闘中に切ってもしっかりドロップするんだな。ちなみに戦闘中に相手の武器を使えなくする戦法は前作からあり有名だ。エリウムの弦楽器も気を付けないと……。


 その後ボス部屋の中心に白く光る魔法陣のようなものが現れたのでそれに乗ってダンジョンの外に脱出した。


 とりあえず冒険者ギルドに戻り、クエストであった『ゴブリンの討伐』と『ゴブリンアーチャーの討伐』の報告をした。ゴブリンアーチャーの討伐証明には上質な弦を渡し、報酬は1500Gだった。



「六人集まるまではレベリングはやってももったいないから今日は――解散!!!」


ここにいる三人以外はVRギアを注文したのが遅く、届くのは明後日ごろになりそうだ。それまではぼちぼちゲームの世界に慣れながら各自やりたいことをやっていくことになった。



 六人がそろうと恐ろしいくらい効率よくダンジョンを進んでいくからなあ――――




 俺は前から気になっていて、学校でも休み時間に攻略サイトで少し覚えてきた魔道具についてみていくことにした。


「じゃ、オレらは短剣の代わりか、もう少しいい武器を見てくる。」


「俺は魔道具の方見てくるわ」


「じゃなっ」「またね」


 と言ってエリウムとボーロンが歩いて行った。ボーロンは歩きながらウィンドウを見つめて何か操作している。



 俺はさっきのダンジョンから脱出したときの魔法陣がしっかりスクショ出来ていることを確認しながら魔道師のいる魔道の館に向かって歩きはじめる。




そろそろ日が出てきそうだ。





登場人物三人をまとめておきました。

本名(ふりがな) キャラ名 職業 (備考)

               

水谷 広幸(みずや ひろゆき)  ロージェ   道具使い  主人公

軽部 裕太(かるべ ゆうた)   エリウム   吟遊詩人  チームリーダー

宝蔵 繁(ほうぞう しげる)  ボーロン   騎士    情報集め

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