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VRMMOでアイテムの全自動量産体制を整えてみた  作者: 恵笛
始まりのHPポーション
4/72

初めての討伐

諸事情により ローゲン → ロージェ となっております。

ご注意ください。12/30


キャラクターの性格の差が分かるように少し会話文を変更しました。12/31

 ゴブリンに近寄ると 相手のHPとMPやLvが表示され、戦闘が開始する。この状態になると、他の人が割り込むことは出来ない。


 ボーロンが前に出る。騎士なので基本は攻撃せず、相手のヘイトを集めて攻撃を受ける役割に徹する必要がある。


 ゴブリンは木でできた棒を持っており、これをボーロンに振りかかった。

「ガンッ」


 少し軽めの金属音が鳴る。これは初期装備である青銅の盾C-だ。確か初期装備で盾をもらえるのは騎士だけであったはずである。ボーロンはほとんどダメージを受けていない。


 すかさず俺は手に持っているブーメランをゴブリンに向けて思いっきり投げつけた。現実では全くブーメランなど触ったこと……ましてや見たことすらなく、かなり適当に投げたが……


 少し鈍めの音と共に白い光の粒のようなエフェクトが出て、相手のHPの3割程度が失われた。その後現実ではありえないような軌道を描いて手元にブーメランが戻ってきた。


 ボーロンも持っている短剣でゴブリンを切りつけるとHPの二割ほどが失われた。おそらく騎士が攻撃を加えることは今後ほとんどないだろうと思いながら今と同じ一連の動作をもう一度行うと、あいてのHPはゼロになり、細かな光の粒になって霧散した。


 目の前にウィンドウが表示された。

 そこには「魔石D×1を入手しました」と書いてあった。


「おい、魔石ドロップしたか?」

俺が聞くと

「した」

とそっけない返事が返ってきた。


 どうやら一体の敵を倒すだけで人数分のドロップが手に入るようだ。これは全員が集まるのが待ち遠しくなってくる。


 続いて近くにいた二体目のゴブリン。今度は戦闘開始早々おれが投げナイフを使ってみた。すると相手のHPが五割ほども削れた。どうやらしっかりと投擲力上昇のスキルが適用されているみたいだ。


「ブーメランよろしく 」


ボーロンに頼まれた俺はすかさずブーメランを投げた。そして相手の攻撃をボーロンが盾で受けた後、短剣で相手を切り付けゴブリンを討伐した。さっきよりも戦闘にかかった時間はだいぶ短い。



同じことを別のゴブリンにもやり、俺たちは始まりの町ハーロブに戻った。




冒険者ギルドにはいると、さっそく受付嬢さんに話しかけた。


「クエストの報告に来ました」

「魔石を5個お願いします」

「はい」

「えっと、これもお願いします。」


 俺が魔石を三個、ボーロンが二個魔石を受付嬢さんに渡すと

「しばらくお待ちください」

と言って奥に行ってしまった。と思っていたらもう出てきた。まだ10秒ほどしか経っていない。もう鑑定なんかを終えたのだろうか。まあゲームの都合というものだろうから触れないでおこう。


「はい、ロージェさんとボーロンさんのクエスト、『ゴブリンの討伐』達成です。こちらが達成報酬となります。」


渡されたものは小さい銀貨のようなものが一枚だ。一円玉と同じようなサイズだが一円玉より重く感じる。


「引き続きクエストを受けますか?」


「お願いします。」


 お願いすると二人の前に大き目のウィンドウが出てきた。この中から選ぶのか……結構種類が多い。悩んでいると受付嬢さんが

「低ランクのクエストは特に達成期限はありませんのでとりあえず受けてみるのもいいかと思います」

と言ってくれた。なのでボーロンと相談して


『ゴブリンの討伐』


『ゴブリンアーチャーの討伐』


『薬草の採集』


の三つを受けることにした。そして受付嬢さんにお礼を言って冒険者ギルドを出た。


「ボーロンはこの後どうする? 」


「俺は装備を見に行きたいな。やっぱりタンク……じゃなくて騎士だと普通の盾よりも大盾を持ちたいから。」


「俺は投げナイフとかポーションを仕入れたいから、ここで別れるか。」


「わかった。そうしたら30分後くらいにいまいるこのハーロブの北門に集合でいい?」


「了解。何かあったら連絡してくれ。」


 そんなやり取りを終えて俺は雑貨屋へ、ボーロンは盾屋にいった。盾屋って初めて聞いたな……




 辺りはすっかり暗くなっている。レンガの建物の壁にガス灯らしき街灯の光が当たって美しい。時計を確認すると、リアルでは17:20だ。この世界はリアルの6時間で一日が過ぎていく。


 つまりリアルで1日たつと、ゲーム内では四日経つのだ。今は12時から18時の間ってわけだ。だが別に巷で研究されている時間加速の仕組みは塔載されておらず、太陽らしきものが現実の四倍の速さで動いていくだけである。


 さっきもらった銀貨はゲーム内の千Gらしく、十Gが銅貨1枚、百Gが大銅貨1枚、1万Gが大銀貨1枚で、その上に金貨や白金貨が続いていくらしい。



また、このゲームの前作からの特徴として、倒したときにゴールドは落とさないので敵から得たドロップを売るか、クエストを達成してお金を稼がなければならない。





 5分くらいマップを見ながら歩くと雑貨屋についた。ここには店主らしきお爺さんが一人いるだけである。人が好さそうなので話しかけてみる


「この投げナイフはいくらですか?」


「ああ、一つ50Gだよ」


 この後はたぶん初めてのダンジョンに挑む。そこでのメインの敵はまたもやゴブリンであり、一体につき投げナイフ一本を消費すると考えると魔石Dの売値が一つおよそ50Gなので赤字にはならない、と。


 そんな計算を頭の中でした後


「これ、20本まとめて買うんで少し安くできませんか? 」


と交渉してみる。あまり期待はしていなかったが


「ほんの少しならいいよ。じゃあ20本で980Gでどうだい? 」


「じゃあそれでお願いします」


 思っていたよりこの世界はゲームシステムが柔軟だなと改めて思った。




 その後、気になっていた魔道具なども見てから北門に向かおうと思ったら、急にメッセージが届いた。


 差出人はエリウム――軽部――だ。


『INしたぞ! オレは今ハーロブの楽器屋の前にいるが、どこに行けばいい?』



 あいつの職業はやはりアレか。


 そんなことを思いながらエリウムにも北門に集まってもらうようにメッセージを送った。エリウムは前作で6人PTの指揮官的な立場にいた。


 これから楽しくなっていきそうだ。ベータテスターであった彼に会って、簡易ステータスを見ると…


『エリウム 職業:吟遊詩人 Lv10』とある。


 相変わらず見た目と性格に合わず吟遊詩人か……でももう慣れてしまった。とはいえVRMMOでは歌を本当に歌うのだろうか。




 少し期待しながら俺たちは3人でダンジョンに向かっていくのだった。






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