アイテム転送
前話の最後の方で、転移魔法陣の扱いについて変更していますのでご注意ください。
今日は日曜日か。土日は本当にゲームがどんどん進むよな。やっぱりこれはどの人も共通のようで、明らかに土日と祝日の方が平日よりもゲームにログインしている人の数は多いように思う。
みんなと同時にログインした。
さっそく転移魔法陣を使って、みんなをダンジョンに転移させる。ちなみに今のこのプレイヤーが使う転移魔法陣はいつも俺がアイテムの自動生産に使っている転移魔法陣とややこしくなるので、「プレイヤー転送機」と呼ぶことにした。
実際内容としては何も変わらないが。
みんなにMPがごっそり持っていかれることを伝えたらさっそく一人ずつ乗ってもらった。
最後にノブラックがプレイヤー転送機の上から消えるとエリウムからチャットで「全員無事に到着。問題なし」と送られてきた。一安心だ。
俺は次の装置を研究していく。次に研究するのは「アイテム転送機」だ。
どうもみんなが言うには、五人全員が持ち物ゼロで戦っていた方がより探索の効率が良いのだとか。
まあ移動速度の大幅な上昇は馬鹿にならないのだろう。今回作る「アイテム転送機」は今までのアイテムを転移させる転移魔法陣と何が違うかと言うと、プレイヤーのインベントリにアイテムを転送する装置である、と言うところか。
俺のインベントリからアイテムを取り出すことが出来たから、他のプレイヤーにもアイテムを入れることが出来るのではないか、ということだ。
しかしこれが出来てしまうと例えば嫌いなプレイヤーにゴミアイテムを大量に送り付けるなんてこともできてしまうからな……。
何かしら対策はされていると思う。ひとまず作ってみよう。まずは俺宛だ。
転移魔法陣を書いて、と。転移先を「Rooje」にする。
そしてHPポーションを魔法陣の上に置くと……
しっかりと自分のインベントリに転送された。成功だ。
次に対象を「Eriumu」にしている。さっきと同じようにHPポーションを置いてみると――
何の反応もなかった。普通に魔法陣の上にHPポーションが乗っている。
やっぱりだめか。しかし希望はある。自分のインベントリには転送できているのだ。
本人が魔法陣に書き込めば魔法陣が有効になるとか?
これまた十分にあり得るな。現実性は薄いけども。
みんなが帰ってくるまで他の事をやっておくか。昨日ゲームをログアウトしてから考えたのだが、転送機自体を転送することもできるのではないだろうか。
それが出来れば帰る時にも、転送魔法陣を使うことが出来るようになる。要は誰かに俺がアイテム転送機を使ってプレイヤー転送機を転送すればいいのだ。
そして五人の内4人はプレイヤー転送機でクランハウスに帰り、残りの一人が手持ちのアイテム転送機を使って俺にプレイヤー転送機を送り、走って帰ってくる、と。
そんなやり方が出来るな。
試しに実験したが、アイテムを遠くから引き寄せることはできなかった。アイテムを引き寄せる事ができるのは近くのプレイヤーまたは施設のインベントリだけということだろう。
さて、アイテム転送魔法陣で対象を俺にして、と。
いつもの20cm四方くらいの大きさの魔法陣の上に巨大なミスリル合金板をおいてみる。そして使用してみる。
MPが結構持って行かれたがなんとか転送に成功した。これでよりダンジョンと拠点の行き来が楽になるな。
そうしたらこのことを5人にチャットで伝えて……と。
五人が自分から少し離れたところにワープしてきた。俺がそこまで走っていく。
「よし、そうしたら最も素早いベリリーが最後にアイテム転送魔法陣を持って帰るんでいいんだな?」
確認を取ると
「ええ、それで大丈夫です。」
早速ミスリル合金板を地面に置く。ちなみにレメント高原はまあまあ土地の起伏が比較的あるため俺達は他のプレイヤーに見られない位置に来ている。最悪見られても野外ログアウトということにすればいいか。
リアルで緊急の用事ができたが、どうしても町や拠点に帰れないときなどには、短時間であればログアウトしている間仲間に見守ってもらうという方法もあり、使われている。
そんなわけで俺たちはプレイヤー転送機を使ってクランハウスに戻った。おれが瞬時にレメント迷宮前に行けるようにするためにもう一台プレイヤー転送機があるといいな。
取り敢えずみんなにアイテム転送機に使う魔法陣の紙に自分の名前を書いてもらう。これでいけるか……?
試しにMPポーションをティウに送ってみる。
「あ! ロージェ! MPポーションちゃんと届いているよー!」
「おっけーー」
よし、成功したようだ。これで5人は更にハイスピードで周回できるようになるのだろうか。
「今お前たち何Lvくらいなんだ?」
「ええと……ボーロンとノブラックが40Lvで残りは39Lvだな!」
「まじかよ。俺とほとんど倍くらい違うじゃねぇか」
「まあまあ気にすんなっって! 気にしてないんだろうけどよ」
そう、俺は全く気にしていない。VRMMOではなかった旧作の頃からたった3ヶ月で、5人はありえないほどプレイヤースキルを上達させた。特に連携が上手い。
そんななか俺だけ置いてけぼりだったもんな。とっさの判断も苦手だし敵の弱点忘れるし……。
とにかく戦闘には向いていなかった。しかしその分生産を楽しめているから全く引け目は感じていなかったりする。
「じゃあ、アイテムよろしくなー」
そう言って五人はプレイヤー転送機に乗って、再び無限迷宮に分類されるレメント迷宮に再び挑んでいった。
今回5人はいままで行ったことの無い層に挑むらしい。なんでもそこは同じ場所に長くいると発動する罠があるため、常に移動しながら突破しなければならないとか。
というわけでアイテムが必要なときだけチャットで俺に申請する、ということになった。俺は自動でMPが回復するスピードが上がるベッドの上に座り、五人からのチャットを待った。
エリウム:hp
お、早速来たか。基本的にMPポーションとHPポーションは、略称で俺に請求することにしている。
ボーロン:hp
ティウ:mp
結構くるな。次々にアイテムを俺のインベントリから取り出してアイテム転送機に乗せていく。アイテム転送機を動かすのにも結構な魔力を使うが足りないMPは魔石で補えるのでなんとか足りている。
ノブラック:hp
ん? あいつ神官じゃなかったか? なんで本人がhpポーションを使うことになるんだ?
まあそれも後で聞けばいい。取り敢えず今はひたすら送っていくだけだ。
ちなみにベリリーは一時たりともアイテムを所持する余裕がなく、アイテムの使用を他の人に任せていると言ってたな。
ティウ:mp
エリウム:mp
アイテムはクールタイムがあり、これは投擲武器と薬剤と、その他で別れている。よってHPポーションとMPポーションを連続で使うことはできない。
しかし薬剤は自分にも他人にも関係なく使うことが出来るため、一人に連続して最大五回までは薬剤を使えることになる。
ティウ:mp
エリウム:mp
この二人からのMPポーションの要求が多いな。まあそれだけ多く使うということだろう。
ボーロン:mp
ティウ:mp
エリウム:mp
ノブラック:mp
おいおいおい。大丈夫なのか。さっきMPポーションを渡したばかりなのにもう四人からも来るのか……。
この調子で減るとなると一日の生産分の100個を超えてしまいそうだ。
その後もひたすらMPポーションの要求が続いた。もしかしたらHPポーションよりも回復魔法の方が一度の回復量が高く、結果的にMPポーションを集中的に消費する形になったのかもしれない。
俺は勝てるように祈りながらひたすらポーションを転送していった。
通話機能とかがあれば状況が把握できるのになあ
ノブラック:効能が高いhp
ロージェ:すまん、ない
やばい、俺の予想は当たっていたようだ。こんなことになるなら速く研究しておけばよかったな。
しばらくして……
「ただいま」
ボーロンがクランハウスの中にワープしてきた。ステータスを見ると
「デスペナルティ15分」
という表示が出ていた。




