転移魔法陣の実用化
すべての修正をしていたら結局作り始めてから1時間が経ってしまった。まあ完成したので良しとしよう。初めて転移魔法陣を見たときから作ってみるのは憧れだったもんな。
やっぱりどのゲームでも空間魔法というものには憧れを抱く。と言ってもこのゲームでは四大属性の他に属性は無い。しかし運営からの告知を見る限り次の大型アップデートで属性が追加されそう、とかボーロンが言ってたな。
取り敢えず試運転だ。まずはクランハウスの庭の隅っこに転移魔法陣付きの合金板を置く。ブーメランに使われている軽合金と違ってこちらは銅とか鉄とかが混ざっているため相当重い。なにせ効果詳細に「アイテム枠を5つ、重量枠を30個分取る」と書かれている。大きなアイテム、重いアイテムは基本的にインベントリに入れると普通より多くの枠を取ることになり、重量制限などにも引っかかりやすくなってしまう。
まあ今は特にダンジョンに入るわけでもなければフィールドを探索するわけでもないので特に問題はない。インベントリに入れて敷地の端まで歩いていった。
端まで歩くのに5分かかった……
やっぱりかなり広いな。ここの敷地は。ちなみに今はまだ道路から家の途中にきれいな庭があるだけでその横や家の裏――川に面しているところ――なんかはほとんど空き地のような状態だ。
「ゴトン」
大きな合金板を地面においただけで凄い音がする。さて、早速乗ってみよう。経験からすればクランハウスの前に転移すると噴水の前、または家のドアの前につくはずだ。
大きな魔法陣の描かれた板……と言うより台にそっと足をかける。なんだか不思議な感じだ。そして両足を乗せた。
あれ? なぜか魔法陣が動かない。これはあれか、中級魔法陣はプレイヤーのMPを使って動かすことはできないというころか。
仕方がないので適当に数個魔石を魔法陣の端に置いておく。
もう一度乗ると――
一瞬気を失ったような気がして、気がついたら家のドアが目の前にあった。成功だ。
と思ったのもつかの間、自分のMPバーを見てみるとMPが空になっているのが見えた。あれ?
不思議に思って転移魔法陣の合金板のところに戻ってみると置いておいた魔石が2つだけ減っていた。ということは俺のMPだけじゃ足りなくて、それを魔石に含まれる魔素で補った、ということか。
これはかなりコスパが悪いな……なんとか改良できないのだろうか。魔道士のところに行ってみる。
「すみません、魔道具を作るときに適正の高い合金板ってこれ以外にないんですか?」
と言いながらいつもの合金板を見せる。
「ああ、それなら……ミスリル合金板なんかはかなり効率がいいねぇ。」
「ここで売っていますか!?」
「申し訳ないんだけど、かなり貴重なものでねぇ。売る分の金属が確保できなかったの。」
「わかりました。ありがとうございます。」
やっぱり自作しか道はないか。しかしもし本当に適正の高い合金板を作れるとおそらく魔素の消費量が減るから、今動かしている自動ポーション製造機を更にコストを下げて動かせるようになるかもしれない。
さて、ミスリルの取れる場所をボーロンに聞くとするか。
……あれ、チャットの返事が来ない。これはあれだな、多分ボス戦なのだろう。そう思っていたら
「レメ鉱山 山地の東 ツルハシ」
と帰ってきた。
ボスと戦っている最中に何やっているんだ……。取り敢えず意味は通じるので行ってみるとしよう。
市場で鉄鋼のツルハシを買い、風属性の魔法陣を付与しておいた。意味があるのはわからないが。
場所はレメント山地の東ってことはここから見ると南東に当たるのか。一人で大丈夫かかなり不安だが他に頼れる人もいないし仕方ない。
HPポーションとMPポーション、そして投げナイフを多めに持っていっておこう。
早速ウィンド・モールが行く手を阻む。しかし確かこいつはあまり足は速くない!
ということで全力で走って逃げる。後ろから風魔法を食らったのでHPポーションを使った。すぐにまた別のやつに見つかり、追われる。
しかしある程度走れば逃げ切れるため魔物のトレインとまでにはならない。ひたすらHPポーションを使いながらレメント鉱山を目指した。
15分位したらようやく着いた。走っては休憩しながらHPポーションを使い、走っては……の繰り返しだ。途中で牽制のために投げナイフも数本使った。
取り敢えず鉱山のマップに入ると、道の先に洞窟のようなものが見える。あれが鉱山の坑道らしい。
もちろん坑道はダンジョンになっている。追加でチャットを使ってボーロンに聞いたところここは全部で15階層まであり、ミスリルが出るのはその最奥なのだとか。
行けるのだろうか……まあ死んでもそこまで失うものも無いから良いか。それにボスは人数に応じて強くなるシステムだからそこまで強くは無いはずだ。
ダンジョンは本当に普通の洞窟の様相だ。周りは土で、壁に触ると少しだけ土が崩れてくる。松明で視界は保たれているがこんな環境で戦闘して良いのだろうか。
早歩きで進んでいくとマッドゴーレムが現れた。はい無視無視。
倒せるはずもないのでどんどん下の階に進んでいくと採集ポイントが見つかった。試しにツルハシを地面に突き立ててみると不自然なくらいに地面が削れ、「鉄鉱石D」が出てきた。
採掘はこうやるのか……。しかし一人だとほっている間にモンスターに襲われないか心配だ。
鉄鉱石も一応採りながら俺は進んでいった。そしてボス戦である。
ボス部屋のドアを開けると――
とても大きなマッドゴーレムが立ちはだかる。一歩くごとに地響きが足を伝って全身を揺さぶる。帰りたくなってきた。クランハウスで魔道具の研究したい。
取り敢えず投げナイフを使う。しかし相手の泥に刺さると言うより入り込むといったほうが良いだろうか、全くHPバーが動かない。
ブーメランも試してみる。前に作った有属性のブーメランがあったので風属性を付与したブーメランを使って見る。
空気を切る音とともに相手に向かっていったブーメランは僅かに相手にダメージを与えることができた。これを繰り返すしか無い。
幸い相手の泥のせいでブーメランが戻ってこない――ということもないのでなんとか攻撃を続けられた。しかし相手からのマッド・ショットを躱すことができない。
仕方がないのでポーションを使う! とにかくダメージを喰らったらすぐにポーションを使っていった。C+であればHPの7割ほどを回復する事ができる。
なんとか同じことを続けていった。かなり疲れを感じ始めたとき、ようやく相手のHPバーが消えた。長かった。巨体が無数の光の粒になって消えていく。
実際は5分しか経っていないなんて信じられないほどの疲労感を感じる。しかし同時に満足感
も感じた。たまには戦闘もいいかもしれない。
取り敢えず次に進んでいく。次の階に進む道に採集ポイントがありここでは銅を採掘できた。これもいつもの合金板に使うのでありがたい。
6階からはストーンゴーレムが出現するようだ。相当重量があるのか、常に地面から微動を感じる。よくこの坑道潰れていないな。
いままでと同じように小走りで進んでいくが今度は後ろからストーンショットなるものが飛んで来る。このゲームではある一定以上の痛みは現実ほど感じないようになっているがそれでも結構痛い。
途中に罠などもある。多くはダメージを食らうものなのでこちらもHPポーションでゴリ押し。HPポーションは神官のヒールよりもCTが短いためそれでどうにか対処できた。
ひたすらHPポーションを使いながらなんとかボス部屋までたどり着く。何が出てくるのかなぁ……
さっきストーンゴーレムに試したところ風属性付与のブーメランは相手に効くようだったのでボスがそれに近い系統であればなんとか倒せるだろう。そう思って扉を押す。
目の前で構えていたのはブロンズゴーレムだった。やっぱり帰りたい……。




