初めてのクエスト
※諸事情により ローゲン → ロージェ に編集しました。
ご注意ください。12/30
キャラクターの性格の差が分かるように少し会話文を変更しました。12/31
気が付いたら俺は木でできたような部屋にいた。畳二畳分くらいの狭さである。外が見える窓はないが恐らくここは船の中のはず。というのもこのゲームが始まってから1週間が経ち、攻略情報などが出回っているためそれくらいの情報は知っている。
さらに言えば、軽部だけはβテスターに当選しているためある程度の情報は教えてくれた。無論口外禁止のお触れは出されているが。まあ少しくらいなら何も影響はないだろう、ということでさらっと教えてくれた。
それにしても窓すらないのは少しどうかと思う。船独特の揺れが次第に気分を悪くしている。ドアに鍵がかかっているためここから出ることは出来ない。始めて1分したら陸に着くらしいが……
お、揺れが収まった。ガチャっと音がした。鍵が開いたようだ。船室の扉を開け、外に歩くと突然気持ちのいい風が吹いて来た。海風のようだ。
こんなところまで再現されているのかと思いながらタラップらしきものを渡り桟橋のようなところに降りた。どちらも木と石で構成されており現代の物とは比べ物にならない。同じように出てくるプレイヤーが3人ほどいるが、特に声をかける気もないのでスルー。
さて、俺よりも学校から家が近いであろう宝蔵――おそらくゲームの中での名前はボーロン――に連絡をしてみるべくチャットを開く。ってかこれよく考えたら船の中でやっときゃよかったんじゃね? まあいいか。お、検索したら出てきた。ボーロンに「いま港に着きました」っと。
さてそしたら少し港付近を見て回ろう。ボーロンが来てくれるようだし。
ちなみにこの町の名前はハーロブと言う。要はここがRPGでよく言われる始まりの町、といったところだ。ちなみにこのゲームでは半分以上の町が碁盤の目のように道が通っているそうだ。
お、そんなこんなでボーロンが来たみたいだ。明らかにこちらに向かって走っているし、見た目がいかにも静かそうなあの感じ。うん、間違いなくボーロンだ。
「ロージェか?」
ボーロンが全く疑わずに聞いてくる。
「そうだ。」
そう、おれはどのゲームでも自分の名前はロージェにしている。
「思ったんだが、これどんな人にでもメッセージを飛ばせるんだったら有名人とかありえないほどメッセージが飛んでこないか?」
おれが疑問に思ったことを聞いてみた。
「えっと……その辺は大丈夫。。メッセージの受信対象を全員、ギルドメンバーとフレンドだけ、フレンドだけ、受信拒否に自由に設定できる。」
そういうことか。
「わかった。ところでさっそくフレンド登録とPT登録をしようぜ」
忘れると困るからな。そしてフレンド登録とPT登録をした。このゲームではPTに登録した相手のステータス、大まかな装備を見ることができる。もちろんこれらも隠すかどうか自由に決められるが。またPTはひとり増えるごとに獲得経験値が1.1倍されていく。
乗算だから6人パーティだと大体1.77倍になる。PTの上限は6人のようだ。俺達にはピッタリである。
「時間もないし二人でクエストを受けて敵を倒しに行ってみよう」
ボーロンが急かしてくる。しかしこのゲーム、サーバーの処理の問題、ヘビープレイヤーとライトプレイヤーの格差是正、現実世界の活動への影響などの理由により一日に6時間以上INすることは出来ないのである。
まあもちろん忙しい高校生にそこまでINしている時間はないが、土日などたまに空いている日にまとめてプレイすることは出来ない。
今日は学校が終わるのが早く、もしかしたら6時間以上プレイすることになるかもしれないから急ぎたいのも納得がいく。
俺たちはヨーロッパの中世風の、レンガ造りの街並みの中を走って冒険者ギルドに行った。
この建物だけ明らかに他よりもでかいな……
中に入ると人でごった返しているかと思いきや俺たち以外誰もいなかった。
「どうしてこんなに人がいないんだ?道は人で混んでたのに」
「たぶんだけど、こういう一部の施設は混雑防止のために即席のフィールドが作られてそこでNPCと対話したりするんじゃないか? 」
「なるほど、納得」
前作はそもそもクエストを人から受けるわけでは無かったので知らなかった。静かに待ってくれている受付嬢さんにボーロンが話しかけていく。
「あのー、すみません、冒険者クエストを受けたいのですが…」
「冒険者クエストを受けるのは初めてですか?」
「はい、そうです」
「ではクエストの説明を聞きますか?」
「はい、お願いします」
「それでは説明をします」
少し長かったのでまとめるとまずクエストというのは町の中にある店や、冒険者ギルド自体が依頼主となって作成される。うけると依頼主から報酬がある。
受けられるクエストはギルドランクによって変わってくる。達成したクエストに応じてギルドポイントがたまり、一定に達するとランクが上がっていくらしい。初めはFだ。
「まずはお試しのクエストを受けてください」
明るい声でそう言われると目の前にウィンドウが表示され、そこには
「クエスト : ゴブリンの討伐 ゴブリンを五体倒し、魔石Dを持ってくる」とある。
受けるボタンをボーロンが押すと、ウィンドウが消え、受付嬢さんが
「それでは行ってらっしゃいませ」
と言ってくれた。
町から出ると広大な草原に出た。現実では見られない見事な草原だ。気候も春のような感じで気持ちがいい。奥には森林らしきものが見える。向こうまで歩くのに15分はかかりそうだ。
ところどころでプレイヤーとゴブリンが戦っている。実際かなり人数が多いのだろうが、広すぎて少なく見えてしまう。
さっそく俺たちは一番近いゴブリンに走っていった。