表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOでアイテムの全自動量産体制を整えてみた  作者: 恵笛
生産の拠点とMPポーション
26/72

MPポーション生産の効率化(3)とレベリング

「ロージェも準備はできたか?」


「ああ、大丈夫だ。」


 今日もMPポーションの研究を続けたいところだが、流石にそろそろパーティーのみんなとLvの差が開きすぎてしまうという事でみんなのレベリングに付き合うことになった。


 このゲームはダンジョンの探索、攻略がメインなだけあって経験値を効率良く得るためにはボスを倒すしか無い。


 結果的にダンジョンを周回する必要が出てくるわけだ。最も素材集めだけが目的であれば一つのダンジョンに長時間こもって、ザコ敵を倒し続けるのもありだ。


 俺達は前に王都に来るときに通ったレメント山地のダンジョンに挑むことになった。



 ちなみにみんなのLvは――


 エリウム 26Lv

 ティウ  25Lv

 ベリリー 29Lv

 ボーロン 34Lv

 ノブラック27Lv


 ロージェ 9Lv


 といった感じだ。大体プレイ時間に比例している感じだ。ボーロンはよくみんながプレイしていない時間にもINして野良パーティーと組んでダンジョンなどに行っているらしい。


 パーティーとなる相手が見つからなければ冒険者ギルドで探すことができる。そこを見ればわかるが最も需要が多いのは騎士、次に神官となっている。ちなみに一番需要がないのは狩り人だ。


 まあこれはフィールドでの探索に特化している職業である分生産職向けだろう。この職業は唯一フィールド上の敵を倒して低確率でアイテムを獲得することができる。



 というわけでみんなかなりのハイペースでLvを上げていたわけだが俺だけ全くプレイ時間がLvに比例していないな……


 薬剤師Lvだけならまあまあ自信はあるけれども。



 今回俺の役目は……


「ロージェに魔法が行っているぞ!! 」


「了解!」


 ティウが相手からの土魔法に風魔法を当てて相殺した。そして俺はひたすらポーションを投げるだけである。いつも通りだ。


 これでも神官のノブラックがMPを節約できて、手が空くことが多い分バフを効率よくかけられるので役に立っているのだとか。


 取り敢えずみんなについていきながらポーションを投げていればいいか。





 そしてボス戦に入る。ここではロック・スネークという硬い蛇が出てくるようだ。そして相手の攻撃は強くないもののひたすら時間がかかるという厄介者らしい。


 それでも経験値効率は良いそうだ。


「じゃ、ロージェはさっき言ったとおりで。」


「おう」


 俺はボス部屋の端にある大きな岩の後ろに回って合金板を取り出した。


 さあ、MPポーションの研究の続きをしていこう。


 みんなが様々な技を使って敵に攻撃を仕掛けているのだろう。時折轟音が聞こえるのは何なのだろうか。それに座っていると思っている以上にあの蛇が動くときの振動が伝わってくるな。


 さて、学校で考えてきたことを実験してみよう。今回はマナタケの軸に自動で切込みを入れる作業だ。


 これには心当たりがいくつかある。攻撃魔法にエア・カッターと言うものがあるし、現実にはウォーターカッターと言うものもある。どちらかを使えばなんとかなりそうな気がするのだ。





 にしても土魔法陣は使い道ないな。土の生成とかいろいろできるらしいが全く使う場面が来ない。


 取り敢えずエア・カッターを使用する方向で行こう。たしか魔道具は魔法攻撃の技を使うこともできるのだ。ただし消費MPは莫大であり、誰でも簡単に使えるものではないが。


 魔法陣に記述する効果を「対象にエアカッター」にでもしとけばいいだろうか。合金版に合成して、と。


「LvUP」


 おお! びっくりした。そういえばみんなボスと戦っていたんだったな。なんだか掃除当番をお腹がいたいことを理由に一人だけサボっているみたいだな。


「よし! とっとと次行くぞー」


 二周目に突入していく。このダンジョンを周回するメリットは経験値もさることながらマナタケをドロップする、というメリットも有る。おれがマナタケを高額で買い取っているし、女子も「触らなくて済むから良い」と言っている。


 このダンジョンのお陰でなんとか実験用のマナタケを確保できている。


「ロージェ! MPポーションちょうだい!」


 魔法使いのティウが一番MPを消費するもんな……


 いままではMP効率重視で魔法を打っていたが今回はMPポーションがあるので時間効率重視で魔法を打っていたらしい。


「すごい! 最大MPの半分まで回復した!」


 思っているより回復量は多いな。たしかにこれなら値段が高いのにも頷ける。





 その後俺達は二周目、三周目とダンジョンを周った。もちろん俺はボス戦では座って研究していたが。途中一度だけ敵の岩石砲なる技を食らって死にかけた。あのでっかい岩も壊れるんだなぁ。


 そんなこんなで俺もLv14まで上げることができた。いつもならみんな二周するごとに拠点に帰り、休まなければならなかったがMPポーションが使えるようになってからは4周くらいは持つとのこと。


 作ったかいはあったようだ。これももう少し値段が下がればHPポーション並みに買い手が現れるだろう。


 ところで俺も無事にきのこの軸を自動で切ることができた。エアカッターでもウォーターカッターでも切ることができたがエアカッターは魔法攻撃の技であり尋常じゃないほどMPまたは魔石を消費していくので実用性は低かった。


 それに対してウォーターカッターの方は極細の水を何本も強めの勢いで噴射するだけであって魔法攻撃の技では無いため比較的低コストで動かせた。


 クランハウスに戻ったら最後にHPポーションの中身を鍋に移す魔法陣を作る。これは蜂蜜と同様に物体を重ねて割るだけだ。



 そしてついに

8,HPポーションを2とは別の容器(耐熱性)に入れる

9,マナタケの軸に細かく切り込みを入れる。

10,それをHPポーションの中に入れる

11,魔石をハンマーを使い細かく砕く

12,砕いたものを乳棒などで細かくすりつぶし、粉状にする

13,粉状の魔石を10の中に入れながら加熱していく

14,きれいな灰色になってきたらマナタケの軸を取り出す

15,ゆっくり温度を下げていく


 というこのHPポーション加工に関するすべての工程が完全に自動化された。これはかなり嬉しい。残った時間はMPポーションの生産に充てよう。


 前には2つ作るのに30分近くかかったが今は10分程度でできる。なにせより時間の掛かるHPポーションの加工が自動化されているのだから。


 もう一つの毒耐性持続薬の加工の方は手作業だがこれの最も時間のかかる工程である10分間の冷却は何本か同時に行える用意をしたのでそこまでの時間はかからなくなった。


 いやこれはかなり早い。自分でも満足するスピードで作ることができている。




 しかし……、できれば完全に自動化しておきたいというのもある。やはり空き時間にも生産を続けられるというのは非常に大きい。いまの俺の資金源はHPポーションだが、価格が日に日に落ちている。かと言って利益が減った分を生産量を増やして補うわけにもいかない。


 故に利益も減ってきているのだ。今はそれでもまだ一日に27万Gほどの収入はあるがこれがもし一日22万Gを下回ってくるとあの住宅ローンが払えなくなってしまう。


 ゲームで違反はしたくないしな。なんとかMPポーションの方を頑張っていこう。



 俺はひたすらマナタケの傘と軸を切り分け、マナタケの斑点を抉る作業をしていった。



 マナタケにひたすらお世話になっている気がする。



 マナタケに感謝しながら俺はこのゲームからログアウトした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ