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VRMMOでアイテムの全自動量産体制を整えてみた  作者: 恵笛
生産の拠点とMPポーション
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MPポーション生産の効率化(2)

 冷やすのは火魔法陣でできるだろうか。よくある話だと火魔法は熱を操作する魔法だから熱の移動も簡単だとか。試しにIncrease to C degrees から Cool down to 10 degreesにしてやってみよう。


「魔導錬成」


 よし、取り敢えず錬成はできたな。まあどんなミスをして魔法陣を書いたときも錬成は成功してたからここはあまり問題にならない。


 さて、水を入れた瓶を置いてみると……



 冷たくなったような気がしたがこれはもともと水が比較的冷たかっただけのようで、結果的に温度は下がらなかった。温度計で見るとわかるが、この世界で手に入る水は現実の水道水よりも温度が低い。ちなみに水道は現実に近いものがある。若干世界観が崩れているがなんでも魔法を使って整備されているんだとか。


 かつて俺が飛び込んだ噴水もおそらく普通に水道管の圧力を使っていたのだろう。このクランハウスに使われている噴水も同じような仕組みだ。


 火魔法陣でだめなら次は水か?


 今の魔法陣のfireのところをwaterに変えてみる。いつもの使い方とは全く違うがこのゲームにおいては氷の魔法攻撃も水属性に入るというからそれで大丈夫な可能性も高い。



 今度は成功した。とても庫とは言え無いような設備だが合金板の上に乗った水入りの瓶は徐々に冷えていき、冷水となった。


 これで時間を9分50秒に設定して……と。


 熱に関する調理器具はこれで完成だな。早速これら3つを使ってMPポーションを作ってみる。


 HPポーションを作るときと同じ要領で温度に関する作業になったら放置をする。出来上がったものは――


「MPポーションC+」「MPポーションC+」


 よし! これで完璧だ。取り敢えず効率よくMPポーションを作ることはできるな。


 さて、ここからいよいよ他のことも自動でやっていきたいが……なんだか前途多難な気がする。


 取り敢えず簡単そうなHPポーションの方の加工から考えてみよう。もう一度おさらいすると手順は


8,HPポーションを2とは別の容器(耐熱性)に入れる

9,マナタケの軸に細かく切り込みを入れる。

10,それをHPポーションの中に入れる

11,魔石をハンマーを使い細かく砕く

12,砕いたものを乳棒などで細かくすりつぶし、粉状にする

13,粉状の魔石を10の中に入れながら加熱していく

14,きれいな灰色になってきたらマナタケの軸を取り出す

15,ゆっくり温度を下げていく


 こんな感じだ。14のマナタケの軸を取り出す作業さえできれば13から15は自動化できるわけだ。


 軸はアイテム登録されていないため転移でインベントリに移動することはできない。何か他の手立てを考える必要がある。


 どうしたものか……全く思いつかない。ここを考えるのは相当難しそうだ。まずは出来そうな11と12からやっていくことにしよう。


 といっても魔石は粉々にすると魔石粉というアイテムに変化するのでそこまで難しくはない。円筒形の長いつつを用意し、転移の魔法陣で上から落としてみたら結構きれいに割れた。


 同じことを3回ほど繰り返し、ある程度砕けたら転移でミキサーのような魔道具の中に入れる。


 これも俺の自作だ。これは風魔法陣で動いているが、思っている以上に風魔法陣の空気を動かす力は絶対的で、空気がある程度入った状態でものを入れるとそれごと動かそうとするために粉砕する事ができた。


 流石に金属や液体などの中に空気がないものは全く砕くことはできたかったが。


 原理はよくわからないがこれで動くので、粉砕機の基礎は完成だ。最後にミキサーから魔石粉を取り出す魔法陣を作って取り敢えず良しとしよう。


 粉や液体のアイテム判定は少し複雑だ。液体、粉末ともに容器などはなくてもインベントリに入れることができる。粉末はアイテムの上のアイコンを見て、インベントリを開けば入れることができるのだ。液体は何らかの容器ですくい取ってからインベントリに入れることになる。


 ただし出すときには液体の場合は容器、粉末の場合容器または皿のようなものが必要になってくる。出す量などはどちらもグラム数で指定することができる。そのため液体は少しややこしい。




 と今考えていたらマナタケの軸を取り出すための案を唐突に2つ思いついた。


 一つ目に思いついた案は転移の対象を「上にあるアイテム」としてマナタケの軸を外に放り出す案だ。


 早速魔法陣を書いてやってみる。取り敢えず水にマナタケの軸を入れて実験して見よう。


「バシャッ」


 うわ!! 急に中の水が溢れ出し、地面に溢れて消えていった。転移陣が書いてある合金板の上にただ一つマナタケの肌色っぽい色の軸だけがおいてあるというとても奇妙で寂しい光景が残ってしまった。


 どうやら合金板の上に置いてある瓶が転移されてしまったようだ。予想外と言うかなんというか……



 とにかく二つ目の案を実行してみる。水を瓶の中で()()()()マナタケの軸を取り出したという判定を受けようという試みだ。


 そもそもアイテムを取り出す、という行動がゲームのシステムに承認される原因となる事象は何なのか

ということを考えてみた。


 そこで真っ先に思いついたのが「物体が液体から完全に離れること」だったのだ。ということは逆に物体から液体を離しても良いのでは? という発想だ。



 結果から言えば成功した。予想通りに動いてくれた。


 さっきと同様に転移魔法陣を使ったが、「対象を上にある液体」にして、転移させる場所を上方4cmにした。これなら瓶からギリギリ液体が溢れない。


 実際に転移魔法陣を使用すると一瞬のうちに液体が現実では絶対に有り得ない動きをしながら水が上に動き、瓶底と水との間に空間が生まれる。


 しかしそこには液体ではないマナタケが取り残されており、かつそれは液体には触れていない。そうするとマナタケは取り出されたという判定を受けて消えていった。



 もうなんともゲームの仕様をふんだんに使った結果になったが成功すればなんでも良いのだ。これができなかったら瓶をひっくり返して網を通してマナタケの軸を取り出すとかいろいろ考えていたがまあ結果的にその手間もなくなってよかった。


 これでついにHPポーションを容器に出して、刻んだマナタケをそこに入れたらあとは自動で加工をしてくれる、というところまで進んだな。


 とは言え此処から先は相当な困難が待っていそうな予感がする。というか無理な可能性も高い。



 どう考えてもきのこの斑点をえぐり取るとか魔道具じゃできなくね??



 そんなことを思っていたらみんなが帰ってきた。


「ただいまー!」


「おお、お帰り。 ダンジョンどうだった?」


「今から全部話すぜ」


 こうしていつもの作戦会議……のようなものが始まった。


「思っていたよりも入っている人が多くて5階のボスまでは小走りで進んでいくだけだな。そんで5階のボスは難なく倒せた。


 そこから先はたまーに敵を見かけるようにはなったけどやっぱり少ないし弱い。10階のボスはマッドゴーレムだったな。初めてこの世界でゴーレムを見たけど物理攻撃も効いたから問題なし。ただ前作と同様に状態異常はかなり効きにくいようで毒状態にはできなかったな。」


「11階から少しずつ敵が強くなっていきましたね。それから解除されていない罠が増え始めて私の仕事が増えました。


 それから宝箱なんかも時折見つかるようになりました。ほら、今回見つけたアクセサリーはロージェさん専用のものですよ?」


 エリウムとべリリーがいろいろ報告してくれた。ところで道具使い専用アクセサリーか。効果を見るのが楽しみだな。


「はい、どうぞ」


 受け取ったものは効果を見てみると「投擲速度上昇3%」というものだ。これは普通にありがたいものだ。ありがたく受け取っておこう。対価はしっかりと払ったが。


 みんなログアウトしていっているので俺もHPポーション製造機の様子だけ確認してから自室でログアウトした。



 多種多様で壮大なダンジョンを攻略していくファンタジーゲームの世界で拠点にこもっている男子はここにいます。



 

MPポーションで暴れるようになるまで数話お待ち下さい

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