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VRMMOでアイテムの全自動量産体制を整えてみた  作者: 恵笛
生産の拠点とMPポーション
24/72

MPポーション生産の効率化(1)

 瓶を魔法陣を使って割ることはできる。過去に一回転移の魔法陣を使って瓶を取り寄せたら座標が低かったせいで合金板と重なってしまい割れたことがあった。


 現実なら絶対ありえないことだが、ものが()()()という物理現象も受け入れなければならない。というか大前提として魔法自体が物理法則を完全に無視しているからな。




 俺はいつもの転移の魔法陣を書き、何回か転移させて具合を調節した。蜂蜜の瓶は薬を入れるのに使うガラス瓶よりも遥かに小さいのですっぽりと入る。


 座標をミリ単位で動かしていく。3mm上に出現するようにしたらうまく蜂蜜の瓶だけが割れポーション瓶は割れずにポーション瓶の中に蜂蜜が満ちた。


 水を入れても同じことが起きたのでこれでなんとか自動化に組み込めそうだ。ガラスの破片が残らないのが嬉しいけれど少し飲むのが怖くなるな。


 毒耐性持続薬の自動生産の手順は


1,空き瓶を転移

2,蜂蜜を転移

3,薬草2つを転移

4,風魔法で薬草を粉砕する

5,水魔法で水を入れる

6,加熱する→詠唱

7,毒耐性持続薬を倉庫へ


 と言った感じだ。ちなみに毒耐性持続薬は使うと数分間毒無効状態となり、敵から毒状態にされることが無くなる、という薬だ。今はあまり毒状態を付与してくる敵がいないためこの薬の相場はそこまで高くない。利益は40Gくらいか。


 薬草は2つ必要だが対象は two yakusouD in inventory of hereでいいようだ。


 魔法陣を追加で書き、8枚の合金板を揃えた。かなり分厚い。これだけで見ると合金台といったほうがしっくり来るのではなかろうか。


 かなり時間が押してしまっているのでログアウトして勉強しに行った。





 俺がログインするとパーティーのみんなは冒険の準備をしていた。といってもそんなに準備することもない。


「じゃあなー」


 エリウムが最後にクランハウスを出ていった。今日はみんなでレメント王都から少し離れたところにある「無限迷宮」に挑んでみるらしい。


 このゲームの題名でもある無限迷宮だが、基本的に島に一つあるらしい。もっとも今はレメント国の範囲でしか移動することはできないため、挑戦できる無限迷宮は一つとなる。


 無限迷宮は普通のダンジョンとは大きく仕様が違う。一番大きいのはこの種のダンジョンだけインスタンス・ゾーンになっていない、というところだろうか。


 そのためときには複数パーティーで協力して攻略することや、プレーヤー間でトラブルに発展することも多い。


 5階に一度ボスが出るというのは同じでこれはインスタンスゾーンだ。また、一度クリアした階層の20階層分戻ったところから再開することができる、という特徴などもある。


 旧作では俺もみんなと一緒にかなり深くまで行った。初めて無限迷宮を突破するとそのパーティーの名前がダンジョン内にあるボス部屋の前の石碑に刻まれる。



 あの石碑……すごい綺麗なんだよな。50階層くらいまでは普通の花崗岩だがその後からは水晶になっていく。水晶の中に光源となる石があり、掘られた文字が浮かび上がってくるのだ。


 いつか俺たちもあの石に名前を刻みたい。もし深くまで潜ることになるなら俺も荷物持ちとして参加することになるだろう。



 当分の間は五人で活動していくようだ。もしも五人できつくなったらもう一人くらいクランにメンバーを入れても良いかもしれない。もしくは魔物を捕まえてパーティーに入れるとか……


 まあそのあたりはエリウムを中心にみんなで決めるのだろう。


 さて、無事に毒耐性持続薬がクランハウスのインベントリに200個ほどあることを確認できたので次の作業に入る。


 MPポーションの評価をC+までもっていくための実験だ。流石に掲示板にはMPポーションが作成できること以外何も情報はなかった。


 これはもうひたすら実験を繰り返すしか無い。と言っても何十回もMPポーションを作る時間はないので同じ材料で加工を数種類していく。


 まあマナタケの傘のすりつぶし方、軸の切込みの入れ方、魔石の砕き具合をそれぞれ3通り、27の組み合わせで作ればいいだろう。


 早速やっていく。かなり時間が掛かるし、何と言っても他の作業もある。





 無心に作業をしていって2時間ほどでようやくすべて作り終わった。冷蔵庫に一気に数個のアイテムを入れることができるのが助かる。


 加熱台もこうならないかなぁ


 アイテムのアイコンを見ると……


 大体はランクD+だ。一つだけ失敗した。あれは確か魔石を粗く砕く、軸に切り込みをあまり入れない、傘をかなりすり潰す、の組み合わせだったかな。


 一つだけランクCがあった。これを採用しよう。



 HPポーションを作ったときの経験からすれば次に重要になってくるのは加熱時間だ。この場合冷蔵庫で冷ます時間もあるかもしれない。本にある記載は曖昧なのだ。


 取り敢えず今度は毒耐性持続薬を加工するときの冷却時間、HPポーションを加工するときの加熱時間について本の記載の通りと、40秒前後のパターンでそれぞれ3通り、合わせて9通りを試してみよう。



 徐々に作業に慣れてきた。初めのうちは抵抗のあったマナタケの斑点をえぐり取る作業ももう何も感じない。ただ、マナタケの在庫はかなり薄い。そろそろ採ってこないとまずいな。まあ最悪市場で購入すればいいか。


 40分ほどで作業が終わった。


 2つのポーションのアイコンが「MPポーションC+」となっている。成功だ。


 どうやら冷却時間は10分でも、9分20秒でも変わりはないようだな。


 それがわかったら早速魔道具作成だ。時間を測るのはミスをしやすくて手作業ではやりたくないので魔法陣の中に記述することで動作時間を固定できるマイ加熱台はとても役に立つ。


 おもえばここから俺の魔道具づくりが始まったんだよな……。そう思うとなんだか感慨深いものがある。


 取り敢えず魔法陣の中の記述を考えなければならない。今回作るものは温度を変更することができる加熱台と普通の加熱台、そして冷蔵庫である。


 普通の加熱台はいつもの要領で容易に作ることができた。



 温度を変更することのできる加熱台はどう書いたらいいだろうか。まず普通の火属性魔法陣の記述は


Lower grade fire magic circle If[someone use this],Over the this,Increase to CCC degrees,If [it reaches over CCC degrees or After II minutes] Endif,Endif


となっている。日本語で「下級火属性魔法陣、もし誰かがこれを使ったら、これを、300度まで上昇、もし300度に達するか2分経ったら終了、仮定終了、仮定終了」といった感じだ。


 どうしようか。薬剤研究所にあったものと同様の効果を得るのであれば二枚の魔法陣をつなげればそれで終わってしまう。しかしそうするとあの魔法陣の仕組みは解明できないまま終わってしまうな……




 プライドなんて捨ててしまえ。薬剤研究所の加熱台の再現より、MPポーションの生産を優先させよう。


 とはいってもおそらくわざわざ二枚も合金版を使わなくてもできる気がする。というわけで2つの効果を両方記述していく。


Lower Magic fire magic circle If[someone use this],Over the this,III minute and XL second,Increase to C degrees,Over the this,heating to XL degrees,II minute,Endif


 日本語で「下級火属性魔法陣、もし誰かがこれを使ったら、これを、100度まで上昇、3分40秒間、50度に加熱、二分間、仮定終了」のような感じだ。


 だいぶ砕けた文章になってきた。しかし今までの経験上ある程度適当な英文を並べておけば期待していたとおりに動いてくれるんだよな……


 プログラム言語にしては柔軟性があるという感というか。取り敢えず温めてみよう。水を。


 温度計を見ながら温めると……しっかりと薬剤研究所のときと同じように温めることができたようだ。これで一番気を使っていた作業は自動でできるようになったな。




 次は……冷蔵庫か。


 

 

しばらくMPポーション生産が続きます。

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