薬剤師としてのレベリング
おかげさまで日刊ランキング3位になりました!
これからも自動量産をよろしくお願いします。
一階には洗面所と風呂場まであった。ゲーム内で風呂ってなんか不思議な感じだな。まあいつか入ってみたいところだ。
二階に行くと個室が2つあった。鍵がかけられるようになっている。これまたとても広い。
更には図書室らしき本棚がぎっしり並んだ部屋まである。全て空なので寂しい光景になっているが。生産の職業以外にも本は存在するのだろうか。
他にも部屋がいくつかあるが三階に行く。ここにはサンルームがあるようだ。天気が晴れのときには気分が良さそうだ。あいにく今は曇っているが。
みんなでクランハウスを探索し終わり、ログアウト時間が近づいてきたのでリビングに集まりちょっとだけ話し合ってからログアウトした。
ログインしたらまずやることは王都~ハーロブ間の船に乗れるようにするためにクエストを行うことである。
俺が部活を終えてから帰ったので今は6人が揃っている。まず船着き場のおじさんに声をかける。
「すみません、ハーロブに行く船ってありますか?」
「乗船パスポートを持っているかい?」
「いえ、ありません。」
「じゃあだめだ。パスポートを取ってきなさい。」
「わかりました。」
俺達は掲示板で見たストーリー通りに進めていく。そのあと冒険者ギルドに行き、乗船パスポートを受け取るクエストを受けた。
内容はハーロブにいる王都のギルドマスターの友達に荷物を届ける、と言うものだ。言わばお使いクエストだ。なんでもその荷物が水気を嫌うため船に載せたくないのだとか。完璧に包んであるようにみえるんだけどなあ……
俺達はすぐにハーロブに向かった。行きと違って帰りは下っていくだけなのでスピードも早いし、敵から逃げるのも容易であった。
採集だけはしっかりしていったが。本当ならレベリングもしたいが俺の事情で今回は速く移動することにした。
「これ、王都のギルドマスターさんからの荷物です。」
「おおお、ありがとう。助かるよ。」
「それで、これにサインしていただけますか?」
「あいよ。」
しっかり契約書のようなものにサインを貰って俺達はハーロブの冒険者ギルドに向かった。
「はい、これが乗船パスポートになります。くれぐれもなくさないように注意してくださいね。」
「「「「「「ありがとうございました。」」」」」」
よし。これで今日やることのうちの一つは終わった。俺達は前に借りていたクランハウスに行った。
とりあえず夕食を食べるために飯落ちする。
戻ってきたら早速ここを引き取るための準備をする。まず俺のポーション製造機が作ったポーションはインベントリに入り切らないので半分以上を市場で売って、と。
そして機械も持ち帰る。市場で買った机や椅子などの家具も各自で分担して持っていく。
最後にエリウムが忘れ物が無いかを確認し、冒険者ギルドにて借用の解除をお願いした。
そして船に乗って王都に帰る。船は俺がゲームを始めたときに最初に乗っていた船と同じ形である。あの時がとても懐かしく感じる。大したチュートリアルもないこのゲームでは初めはかなり不安だった。
船に乗るとエンジンも帆もないのにゆっくり動き出した。船員さんに仕組みを聞いてみると
「なにかの魔道具を使っていると聞いた気がするな。確か水の魔法陣……だったかな。」
「なるほど、ありがとうございます。」
良いこと聞いた。水の魔法陣は応用すると水中で推進力を生み出せるのか。俺達はいろいろなことを話し合いながら10分ほどすると、王都の船着き場に到着した。
最も俺はみんなと話しながらポーションを作っていたが。
船から降りたら早速王都の地元市場でもポーションを売る。ここからは5人とは別行動をする。噂だがNPCも市場でものを買うことがあるらしい。ということは王都のほうが人口がハーロブよりも多いから、ポーションも高く売れるのではないだろうか。
そんな期待を持って相場を見ると予想通り20~30Gほどハーロブよりも相場が高かった。練習用にポーションを作る人も減っているのだろう。
そして俺は王都にもある錬金屋敷に行き、金属板を5枚ほど作ってきた。
そして新クランハウスの地下に行き、作業用の大きなテーブルを置き、そこにいつもの機械を並べる。そして詠唱と加熱の魔法陣を抜いて発動条件を書き換えてと。
俺は加熱用の魔法陣を五枚書いて金属板に錬成した。さて、予定通り作業を開始するか。
まず自動でガラス瓶が運ばれ、薬草が入り、細かくなって水が入る。その後からは手動だ。まず6台のポーション製造機に対して11台の加熱台と短剣による加熱で倍の12台分のスピードで生産できる。
加熱が終わったものから自分で詠唱し、その後に転移の魔法陣にそれを置く。
そう、わざわざこんなことをやっているのは薬剤師Lvを上げるためだ。
昨日の最後の6人での話し合いや、船上での話し合いからもMP不足が深刻だという話がでている。そして市場を見てみるとまあまあの数のMPポーションが出回っていた。
ということはおそらく薬剤師が作れるようになるはずだ。ただしポーションよりは遥かに数が少ないが。
そこで俺は薬剤師Lvを上げるために手動で詠唱をする必要があるから効率よく下準備をし、詠唱を短時間で多く行えるようにした。
ひたすら無心に同じ作業を続けていく。
「カタッ」「薬剤錬成」「コトッ」
加熱された瓶を耐熱手袋でとり、薬剤錬成と詠唱しながら転移の魔法陣へ場所を移す。
1時間位続けただろうか。ようやく
「薬剤師Lvが20に上がりました」
というメッセージが出てきた。後半はかなりLvが上がりにくくなってきたと感じたが思っていたよりは早かったな。まあそれもこいつらのおかげだろう。
かなり残っている時間が少ない。俺は急いで薬剤研究所にいった。生産施設はどの街でも似たような人がいる。ただし顔は違うので別人だろう。
「最近薬を作るの頑張ったんですけど、新しい薬剤の本とかってありませんか?」
ダイレクトに聞いてみると
「おお、結構頑張っているようだね。そんな君にはこれをあげよう。」
お、「中級薬剤の本を獲得した」というウィンドウが表示された。早速中を開けようとしたら……
「君くらい腕のいい薬剤師の人には薬剤クエストを受ける権利があるから説明する。
薬剤クエストというのはその名の通り薬剤を納品するクエストだ。これは主に冒険者ギルドから紹介されてくる。冒険者ギルドで直接募集すると腕の悪い薬剤師がクエストを受けて失敗することがあるからだそうだ。
そういうわけで薬剤クエストは比較的緊急性の高いクエストが多い。その分報酬も高いからぜひとも受けるように。」
なんか最後教師っぽかったな。さて、早速中級薬剤の本を開くか。
MPポーションは……あったあった。ん? これって……
MPポーションの作成手順はなんと見開き3ページにも渡って長々と記載されていた。しかもよく見ると材料にも加工品ぽいものがいくつかある。
例えばおなじみの「HPポーション」だ。
これは――先が思いやられるな。そんなことを思いながらクランハウスに帰ってログアウトした。