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VRMMOでアイテムの全自動量産体制を整えてみた  作者: 恵笛
始まりのHPポーション
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「やったー終わったぁー」

「この後何する?」


 今日はテスト最終日で、たった今終わったところだ。クラスのみんなが思い思いに話している。大体の人はこの後部活なんだろうな、と思いながら俺は帰る支度をする。


「よ!水谷」

クラスの中のリーダー的存在である軽部かるべ 裕太ゆうたに声をかけられる。


「なんだ?」

「お前も今日から始めんだろ?IL」

「ああ、もちろん」

「オレは部活があるから先にキャラ作ってログインしといてくれ、な。」

「りょーかい。」

「キャラ作成も結構時間かかるぞ?まあキャラネームが決まっているだけオレらは楽だけどな!」

「昔は悩んだよなぁ」

 俺が懐かしむようにそういうと水谷は笑いながらリュックを背負いなおして、

「じゃ、また後でっ」

と言ってそそくさと教室を出ていった。


 軽部は中学時代からの俺の友達でサッカー部に入っていながら、結構ゲームもガチだったりする。むろん帰宅部同然の俺よりもプレイ時間ははるかに短いが一緒に「Vast Labyrinth」というMMORPGのゲームをやっていたが、世間のVRゲームのブームに押され、サービスを終了してしまった。


 そんな俺と軽部に加えて、高校に入ってからはVast Labyrinthの仲間が4人いたが、全員引退となった。


 だが、同じ会社が新作のVRMMORPGである「Infinite Labyrinth」を出した。みんなこれに期待し、急いでVRヘッドギアを買おうとしたが、テスト期間が被っていたため、すでにギアを持っていた軽部以外は通販で今日届いているはずである。


 「水谷、一緒に駅まで行こう?」

 お、ゲーム仲間のうちの一人、宝蔵ほうぞう しげるも今日は即帰宅か。宝蔵はいつもスマホを見ている。掲示板やSNSを常に見ているらしい。旧作Vast Labyrinthをやっているときもずっと掲示板を漁り続けていた。まあおかげでチームのいい情報源になるわけだが。

 「いいぞ」

 「お前も帰ったらすぐにやるだろ?IL」 俺が質問した

 「もちろん」

 「お前職業はやっぱりタンク?」

 「……ああ。ただ今作ではタンクじゃなくて騎士という名前になってるっぽい」

 「そうなのか。初めて知った。ちなみに俺も前回と変わらずに道具使いになる予定。」

 「だろうな」

少し笑いながら宝蔵が言った。

 そんな他愛ない会話をしながら歩いているとあっという間に駅に着く。


 「あ、えっと、じゃあ、ログインしたらいつもの名前で検索して。お互い会えなかったら面白くないし。名前一文字でも変えないでよ??」


 「わかったわかった、細かい心配までするなって。じゃあな」


 軽く手を振って宝蔵と別れた。


 楽しみに家に帰ったら大き目の段ボール箱が部屋にある。


 「母さーん受け取ってくれてありがとーー」

とりあえずリビングにいる母親に感謝しておいてっと。


 さっそく空けて中身を見てみる。思っていたよりも軽いようだ。特に説明書などはついてなく、事前に注意事項などは公式サイトで読んだのですぐにVRヘッドギアを装着。布団の上であおむけになって寝転がり、スイッチを入れた。意識が現実から遠のいていく……


 個人情報をパパっと入力し、ログインしたらILを購入。こちらもアカウントを作りさっそくログインした。


=====================================




「外見を設定してください」


突然暗めの部屋に飛ばされ、目の前にウィンドウが現れた。正面には全身が見えるほどの大きな鏡があり、自分の外見を確認できるようだ。とはいえあまり変更する気はないのでほんの少し髪のいろを茶色寄りにして・・・あんまり変わってないけどいっか。


 ちなみに体格はほとんど変えられなくなっている。体格を変えてしまうと現実に戻った時にうまく筋肉を動かせなくなる。


「職業を選択してください」


 外見の設定が終わると職業の選択だ。職業といっても戦士 騎士 武闘家 魔術師 盗賊 召喚士 狩り人 神官 吟遊詩人 交易人 道具使い と11種類しかない。ただステータス振りやスキルの取得は各自に任されるほか、武器の種類も膨大にあるためプレイスタイルに応じて融通はいくらでも利く。


 また転職も可能になっており、転職するときには冒険者ギルドに届けを出すだけでいいらしい。ただ、LVは各職業ごとに分かれている。


 今作はフィールドが広いため新しく追加された狩り人も気になるが慣れているため安定の道具使いを選ぶ。



 道具使いはその名の通り道具を使うことに精通していて、戦闘スタイルとしては投擲武器を使う攻撃型道具使いと回復アイテムを主に使う回復型道具使い、バフやデバフアイテムを使っていく支援型道具使いなどに分かれるが、自分も含めパーティーの足りない部分を補うように時に応じて行動することの方が多い。


 よってステ振りもバランス型に。このゲームはLvが上がるごとにステータスポイントがもらえるため、それを配分していく形になる。すべて自由に決めれるものの、1ポイント振った時のステータス上昇値は各職業によって違うためおおよそ振る値も限られてくる。


 道具使いは魔法を使うことは出来ないため魔法攻撃力は0ポイントにし、HP、MP、攻撃力、防御力、魔法防御力、素早さに均等に振っていく。


 初期の武器はブーメランにした。これは投擲武器でありながら、使用しても無くならない。ただし威力もそこまで高くなく、クールタイムも全武器の中で最長だ。短剣という選択肢もありながらこちらにした理由はスキル「投擲力上昇」「投擲精度上昇」がある、というのもあるが一番はモンスターにあまり近づきたくないからである。



 最後に初期アイテムのHPポーションDと投げナイフCが配給された。最後のDとかCというのはそのアイテムに格付けされたランクである。これが高いほどいい効果を得ることが出来る。ちなみによくある中級ポーションや上級ポーションなどは存在せず、効果の高いポーションはランクが高くなっていくだけである。



「それではInfinite Labyrinthの世界を存分にお楽しみください」

 いままでウィンドウの文字だったのが急に音声になったと思ったら、徐々に視界が白くなっていった。




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