本音
「これやってる意味あるの?」
あ、いま何かが胸に刺さった。やっぱり知り合ったばかりの女の子なんて家にあげるんじゃなかったな。その後悔とは裏腹にエアコンはずっといてくださいとばかりに冷気を吐き出している。
「意味なんてないよ。」
僕はそう返すのが精一杯だった。だからこれ以上触れて欲しくないというのがわかるような態度を取った。
だが彼女は引かない。そもそもここで引くような人は初めから無神経な質問をぶつけてこない。
「じゃあなんでやってるの?」
やめろよ。そんなの僕が聞きたい。部屋とともにお腹の底がドロリと冷えていく感覚に見舞われた。
「きっかけは?」
綺麗な言葉を並べるなら好奇心、憧れ。
汚く言うなら自分でもできるかという自惚れ、過信。
彼女の質問は僕を底のない黒い沼に押し込むようだった。
「やめないの?その歳でこんなことしてるなんて惨めと思わない?恥ずかしくない?」
思うよ。すごく。本当に。
でも、だからやるよ。始める時にの決心に比べたらやめるのは一瞬。だからこそ我慢ならない。
それに僕はこれに自分だけのものを出せると思ってる。なのでそれが自己満足でも僕はやる。
僕がうんうんと頷くと彼女は首を傾げた。
それでいいんだ。自分がやると決めたからやる。みっともなくても泥臭くてもやる。
それでいい。いいんだ。