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6話 運命の復讐

今回と次回は頼堂sideです。 なかなかの展開になってますので覚悟してご覧ください。



僕は頼堂 翔太。


今僕は、街中に来ている。


いろんな連中に襲われるが、僕には相棒(スタンリーパー)があるから安心だ。


まさかこいつをまた使うときが来るとはな。


1ヶ月前、これは部屋の飾り物になったけどこうやってまた使う時が来て嬉しい気持ちもある。


僕は剣とかが好きだからこういう物を持っているだけでテンションが上がってくる。


中二病なのかもしれないけど、男なら当然じゃないかな?


そう思いながら街の中を歩いていた。


特に目新しい物などが見つかる事は無かった。


壊れかけている街の景色は目新しい物ではあるが、僕が望んでいる物ではない。


何かこの戦争を止めるために必要な物。


それが無いか探している。


それがあれば、風音先生も…


いやいや、僕はそんなやましい理由で探してるんじゃない!


平和のため、平和のため。


僕はそう自分に言い聞かせていた。


だが、僕の心の平和を妨げる者がそこには居た。


「よぉ、頼堂じゃん… 久しぶりだなぁ?」


彼の姿は忘れない。


「鹿本くん… 久しぶりだね」


彼の名は鹿本(かもと) 信吾(しんご)


彼との関係は簡単だ。


「お前、まだ気持ち悪いままなんだなぁ!」


僕をいじめていた集団のリーダー的存在。


「そうだよ… でも君にはもう関係ないだろ?」


僕は彼と話しているだけで過去の事を思い出して嫌な気分になっていた。


早くこの場を去りたい。その思いでそう言った。


「折角会ったんだからよぉ? ちょっと位遊ぼうぜッ!」


彼はそう言って炎の球を飛ばしてくる。


そんな予感がしていた僕は飛ばしてきたと同時にはもう相棒に電気を通して、彼の球を叩き切っていた。


「おっ? 何だよそれ! 中二病かよ!!」


彼は僕の相棒を見て、そう言いながら笑っていた。


「勝手に言ってなよ、もう僕は帰るから」


僕は彼を相手にする気も無かったからそう言ってその場を去ろうとした。


「お前の気持ち悪い所はそこなんだよなぁ」


と背中を向けた僕の後ろからそう彼の声が聞こえた。


「何…?」と言いながら僕は振り返る。


「その態度が気持ち悪ぃんだよ!!」


振り返って見た彼と目が合った時、そう彼は言って炎を飛ばしてくる。


電気の盾を作り、その炎を防ぎつつ聞いた。


「じゃあ、どうすればいいんだよ!」


そう聞くと彼は炎を止めてこう言った。


「俺と大人しく勝負すれば良いんだよ」


恐らく能力を手に入れたばっかりで相手の能力もろくに考えず彼は調子に乗っているんだろう。


勝てる自信に満ち溢れているような顔だった。


「そうか…」


僕はそう呟いて、逃げる事をやめた。


「やる気になってくれて嬉しいぜ」


彼はそう言って炎を飛ばしつつ「あの頃みたいにしてやるよ!」と更に言ってきた。


流石の僕も怒りを抑えられなかった。


絶対に負けてたまるか。


あの時の恨みを今、晴らす…!


僕はゲームのラスボスと戦うくらいのつもりで居た。


だけど、そんなに大層な物じゃなかった。


彼の炎を何発か叩き切って、一気に彼の体を切れる距離まで近付いた。


彼は近付かれると思っていなかったのか、後ろに下がろうとして躓き、尻餅をついた。


その時、彼のズボンのポケットからライターが落ちていた。


「うわぁぁ! ちょ待った!」


僕は切りかかる寸前でそう言われて手を止めた。


「俺が悪かった、許してくれ」


そう彼は言って頭を下げた。


恨みを晴らしたい気持ちでいっぱいだったが、無抵抗の相手を攻撃するほどではない。


「…じゃあもう僕に関わらないでくれ」


そう言って僕は今度こそその場を去ろうとした。


だが、彼は非情な人間だった。


「隙だらけなんだよ!!」


そう後ろから言って炎の球を飛ばしていた。


その声と同時に振り返ったが、予想していなかった攻撃に防ぐ暇が無く、真正面からその球を受けてしまう。


だが、食らったと同時に二人は驚く。


「…あれ?」


彼の炎はそんなに痛くなかった。


いや、十分普通の怪我に比べると痛いのかもしれないが、炎怒の炎の痛みに比べると掠り傷のようなものだった。


「…えっ?」


彼は不意打ちを仕掛けて命中したはずなのにそんなに苦しんでいない僕を見て不思議そうに呆然としていた。


僕は余裕を感じた。


「やっぱり君を許すわけにはいかない」


僕はそう言って彼に近付く。


「ちょ、何で効いてないんだよ!ずるいぞ!」


彼はそう言いながら後ろに下がりつつ炎の球を飛ばしてくる。


だが、僕はそれをキャッチボールでもしているかのような感覚で相棒を持っていない左手で軽く受け止め、彼に近付く。


一応左手から電気は出しているからまったく衝撃も無い。


彼は勝てないと分かったのだろう。


「本当にすいませんでした! もう関わらないんで命だけは!」と土下座し始めた。


最高の気分だった。


かつて僕をいじめていた彼が僕に土下座をしている。


その優越感は初めて感じた物だった。


「まあ、顔上げなよ」


俺は優しげな声でそう言った。


彼は許してもらえると思ったのだろう、少し安心したような顔になりながら顔を上げた。


その彼の顔の左目のラインを縦に僕は切り上げた。


深い傷にはならないように少しだけ近付けて切った。


切られた頬や目からは血が吹き出した。


彼の左目はおそらく使い物にならなくなっただろう。


「うわああああああああ!!!」


彼は叫びながら顔の左半分を抑えてもがき苦しんでいた。


でも、僕があの時のいじめでそんな物じゃない。


生死に関わる『精神的ダメージ』だ…!


「もう関わるなよ」


そう僕は彼に言ったが、自らの叫び声で僕の声は届いていないようだった。


僕はそんな彼を横目にその場を去った。



彼は復讐を遂げて何を得て、何を学ぶのか…

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