20話 両親の真実
俺は目の前に現れたその威圧感の凄い箱に圧倒されていた。
「何だ…これ…」
そう思っていた事が口に出ていたとき、近くの机にある白い箱に気付いた。
同じような機械の箱だが、サイズは手で掴めそうなくらいのコンパクトサイズだった。
俺はそんな未知の物体に驚いて手が震えていた。
だが、何もしなかったら何も得られない。
そう思ってゆっくりと手を伸ばしその箱を掴んだ。
すると、その箱は掴んだ瞬間、白い光が溢れて、ガラスが割れるような音と共に、粉々に砕け散った。
そして、それと同時に俺は頭の中に映像が流れていた。
まるで映画のシーンを思い出しているかのようなイメージだ。
だが、それは思い出している訳ではなく今、頭の中で流れていた。
その映像の中に現れたのは母さんの姿だった。
母さんが現れた事に驚いていると映像の中の母さんは喋り出した。
「これは私の能力、箱にして私の言葉や記憶を残せるの。今、これを見てるあなたは、この戦争を終わらせられる人よ…」
母さんに能力があった…?
っていうか何でここにその箱があるんだ…
「そして、これは私の予想、そしてあの人の予想だけど、これを聞いているのは炎怒… あなたでしょう?」
その映像の中で俺は自分の名前を呼ばれて驚いた。
これはお互いの声が聞こえるような機能はない。
相手からのメッセージが一方的に来るだけだ。
なのに何故俺が来ると分かっていた…?
「私は…いや、私達はあなたに全てを望んでいたの」
さっきからあの人だとか私達って言っているが…もしかして…
「私はあの人の意思を継いでいるの。これもあの人の意思」
間違いない… 父さんの研究に母さんも居たんだ…
「あなたならもう気付いたでしょう? 私達の離婚はあなたを惑わせるための物。 私があの人と関係ないように思わせるね」
そうか、父さんだけじゃなくて母さんにも俺の行動は全て読まれていたのか…
そして、最初から父さんも母さんも喧嘩なんてしていない。
喧嘩していたと思わせるために離婚していたのか…
「そしてここまで来たのも予想内よ」
全部彼等のシナリオ通りだったと言うのか…
「あなたはこの世界を終わらせる人になるの。だから私達はあなたにその名前を付けた。あなたの兄の羅守屠はその資格が無かった。だから私達には必要なかった」
兄さんを捨てた理由を知りたかった事も全て予想していたようでそれも付け加えられたように説明していた。
兄さんが捨てられたのは実質俺のせいでもあるんじゃないか。
そう思うと俺は申し訳なさに包まれた。
「あなたはここでマスターボックスを破壊してこの戦争を終わらせるの」
俺はマスターボックスがそこの虹色の箱だとすぐに分かった。
やはり虹色の物が全てを操っているんだ。
今度は人じゃなくてこの機械に制御機能を付ける事にしたんだ。
恐らくそれは父さんがやり切れなかった事、やって失敗した事を母さんが受け継いで改良したんだ。
「それが私達の望んだ結末よ」
そう頭の中で映し出されていた母さんは言って消えた。
俺は箱の方を見た。
これを破壊すればまた能力は無くなる。
俺はこんな事をした両親の思い通りになるのは嫌だった。
だが、捨てられて大変な人生を送ってきた兄のためにも、この世界の平和のためにも俺は…
右手を炎で包ませて箱の方へ走り、母への怒り、そして仲間達の恨み、それらを込めて全力で箱を殴った。
殴った瞬間、虹色の箱は先ほどの白い箱と同じように今度は虹色に輝いて、目の前が見えなくなるほどの光と一緒に砕け散った。
気付くと、目の前にはもう何も無かった。
髪が茶髪に戻っているのが分かって俺は確認で炎を出そうとした。
だが、もちろん炎は出なかった。
凄いその当たり前な状況に安心していた。
これで今度こそ終わりだ…
俺はそう思うと力が抜けてその場に跪いた。
もうこれで戦争は終わった。
能力で戦っていた奴等はもうこの瞬間大人しくなっただろう。
俺は目を閉じて、心の中で呟いた。
『頼堂、金剛、黒山さん、樋川… ありがとう… お前等のお陰でこの世界は平和になったよ』
俺はその瞬間涙が流れ出した。
今回の戦いは仲間を大勢失った。
親友1人と仲間4人… どっちが悔しいか…なんて比べる事は出来ない。
だが、どちらも俺を苦しませる辛い事に変わりは無かった。
『涼… 皆と仲良くしててくれよな…』
俺はそう思いながら立ち上がって涙を拭い、黙って研究所を出て家に帰ろうとした。




