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76時間差

「紗良様おはようございます」

「リチェ!おはよう!」

「昨日は恭平様への人の集まり凄かったですわね」

「あ、リチェも見てた?弟だって言ったのを聞いてる人がいたみたいでね」

「神子様の弟ですもの。貴族の女性達が騒めいてましたわ。でもジョセフィーヌ嬢と踊っていましたから、諦めるしかありませんわね」


何でそうなるの?と聞けば女性から誘うのはあまりないそうで、ジョセフィーヌが恭平に気があるのでは?とのリチェの見解だった。


「まさか!あんなに綺麗な人が恭平なんか気に入るワケないじゃない!!」

「弟ですのに酷い言われようですわね。ですが恭平様は弟という立場を差し引いても女性受けは良いですよ?」

「え、そうなの?んー…隣に並ぶとジョセフィーヌに負けてる気がするけどなぁ。そう言えばカシュアにも求婚されてたわね」

「え!カシュア様が!?」


こっちの世界では恭平もそれなりにモテるのか。ジョセフィーヌの気持ち次第だけど、案外負け戦にはならないかも。後で恭平に教えてあげようかな?でも待てよ、パーティーが初めてな恭平に気を使ってくれたのかも知れないわね。ジョセフィーヌって優しいし。


「自分に正直にいてくれる人間が欲しいって言ってたわよ」

「姫から女王になられましたものね。事情を聞くに敵も多そうですし。恭平様は誰の前でも態度が変わりませんからそこが気に入ったのでは?」

「かも知れないわね。王族の人って裏表なく接してくれる人間に飢えてるもんね」

「取り入ろうとしてくる人も多いですからね。紗良様や恭平様のような存在は一緒にいて楽しいですわ」


生まれた時から王族として生きてきてると、色々あったのかも知れないな。立場は時として枷になるからね。リチェも普通の町娘に生まれたかったと思ったりしたのかな?


「姫じゃなければ良かったと思う?」

「昔は思った時もありましたけど、紗良様に会えたので今は姫で良かったと思ってますわ」

「リチェ!嬉しい!!」


リチェの言葉が嬉しくて、リチェに抱き着いた。もう可愛いいんだから!抱き心地のいいリチェに癒されてると、背後からリハルト様の声がした。


「通路で何をしてるのだ?」

「抱擁!」

「それは見れば分かる」

「おはようございますお兄様、ファルド」

「あぁ、おはようリチェ」

「おはようございますリチェル様、紗良様」


私の癒しの時間が終わり、リチェを離してあげた。リハルト様の方に向きを変えると、ファルドもいた。従者って侍女みたいよね。役割が違うんだけど、似たようなもんだと思っている。


「お会いしたので少し立ち話をしてましたの」

「恭平の話してたの。ジョセフィーヌの事で」

「そうか、話をするなら部屋でやれよ」

「はぁい」


リハルト様はファルドと一緒に去って行ったので、そのまま話を続けた。部屋までちょっと距離あるのよね。リハルト様の言ったことは無視の方向で。


「婚約されても変わらないですわね」

「結婚したワケじゃないしね」

「…夜伽は結婚までされませんの?」

「っ、リチェ!?な、何を言ってるのよ!!」

「お兄様も良く我慢してますわね」


リチェの口からそんな単語聞きたくなかった!動揺しちゃったじゃない。そんな気の毒そうに言うの止めて頂けます?


「リチェ、駄目よそんな言葉を使っちゃ!リチェは純真なままでいてー!」

「紗良様。私はもう子供ではありませんわ」

「でもまだ16じゃない。私の世界では子供だよ」

「この世界では違いますわ。16から大人ですのよ?」


そんな事知ってるけどさ、リチェはずっとこのままの姿で止まっててくれならいいのに。私にとって癒しであり、天使なんだから!


「ふふ、紗良様は年齢を重ねても子供みたいですわね。ずっと変わらずいて下さいね」

「姉ちゃんはあっちじゃシッカリしてたんだけどな」

「恭平!」

「恭平様おはようございます。そうですの?」

「あぁ。年齢より中身が落ち着いてるってよく言われてたんだけどな。こっちじゃ皆が甘やかすからな」


今日は通路でよく人に会うな。こんなに偶然が重なる事もないんだけどさ。そして余計な事を言うなよなー。私としては変わらないつもりなんだけどさ、こっちの世界では向こうにいた時の様に振る舞わなくていいからってのもあるんだよね。


「まぁ!想像がつきませんわね」

「ちょっとリチェさん、失礼じゃない?」

「だって紗良様はお姉様って感じじゃなくて、妹みたいなんですもの!」

「ははっウケるな!」


それは偶に私も思うんだけど、流石に10個も上だからそれはマズイと思うんだ。ち、恭平笑いやがって…後で覚えてろよ?しかしリチェも充分綺麗なのに、恭平は普通なんだよね。やっぱりジョセフィーヌなのかな。


「全く、どれだけ立ち話をしてるのだ」

「時間に余裕があったからいいでしょ?それより何か用でもあった?」

「婚約者に理由もなく会いに来たらいけないのか?」

「…それ言いたいだけでしょ」


部屋に戻るとリハルト様とファルドが居た。そうだ、このタイミングで渡してしまおうっと。マリーに持って来てもらい、ファルドに小さくラッピングされた小箱を手渡した。


「私に?」

「うん。今日誕生日なんでしょ?リハルト様と1日違いなのね」

「有難う御座います」


ファルドのプレゼントはリハルト様に協力してもらったの。リハルト様のプレゼントの時とは逆ね。本当は一人で準備したいのだけど、職人さんの知り合いもいないし、お金を持たせて貰えないから出来ないのよね。前に一度お願いしたら、脱走した前科があるから駄目だと言われてしまった。


「懐中時計ですか。ですが時間が遅れていますよ」

「ファルドは時間に追われてるから、ゆっくり過ごせるように遅らせてあるのよ」

「そうですか。お気遣い有難う御座います」


ほんの少しだけ目元が優しくなったファルドに、私も嬉しくなった。誕生日なんだけど、日頃の感謝を込めてね。沢山迷惑掛けてますし…。


『ファルド誕生日おめでとう』

「有難う御座います蒼玉ソウギョク様」

『誕生日か、俺はいつだったか記憶にないな』

紅玉コウギョクは1000歳超えてるもんね」

「かなりの年寄りだな」


まぁその1000年間眠らされてたから、そんなに生きた感覚はないだろうけどね。和やかに談話していると、部屋のドアが勢い良く開いた。


バァーーン

「なに!?」

「姉ちゃん!マロが、マロの様子が可笑しいんだ」

「恭平様、扉はお静かにお願い致します」

「それどころじゃねぇんだよ!俺の力でも治らないんだ!!姉ちゃんなら何とか出来るよな!?」


恭平の腕の中にはグッタリとしたマシュマロがいた。恭平の力で治らないなら、私の力でも無理なんじゃないのかな?でも、泣きそうな恭平の前でそんな事言えないわ。


「やってみるわ。だからそんな情けない顔をしないの!あんたは男なんだから」


安心させる様に笑って、マシュマロをベッドに寝かせる。呼吸も浅くて苦しそうだ。お願い神様、私にマシュマロを治す力を下さい。神様に祈る様にマシュマロに力を使うと、粒子がマシュマロの全身を優しく包んだ。


「…長いな」

「そうですね、いつもなら既に終わっているのですけど。お二人は何か感じますか?」

『いや、特には』

『力の減りが早いワケでもないしね』

「マロ…姉ちゃん…」


姉ちゃんがマロに力を使ってからもう10分も経過した。力を使ってる間は姉ちゃんには俺らの声は聞こえないので、どんな状態か分からねぇんだよな。


「おい紗良?」

「………」

「ち、まだか。止めさせる事は出来るか?」

『ちょっと待ってね』


蒼玉ソウギョクが姉ちゃんの中に戻り、数分後に出てきた。力を止めるのは無理だったらしいけど、どんな状態なのかは聞けたそうだ。


『どうやら狐竜獣ジャスマーが苦しんでるのは、呪いの所為みたいだね。粒子を通して会話してたよ。恭平、あの日の果物の残りを狐竜獣ジャスマーにあげたね?』

「あ、あぁ。幾つかマロ用に貰って来たけど…」

『その中にもう一つ呪いの種が埋まっていた果物があったみたいなんだ』

「そんな!ってかマロと会話出来るのか!?」


力を送っている粒子が消えてないのは、その所為らしい。粒子を通してマロから話を聞いているんだとか。狐竜獣ジャスマーが強い個体だから時間差で症状が現れたそうだ。くそ、呪術師シャーマンはこないだ帰ったばっかなのに!!


「リール様に連絡を取りましょうか?」

「いや、紗良の判断を待とう」

『紗良は今、力で呪いの種を抑えてるから無理だよ。出来れば呪術師シャーマンを呼んで欲しいかな。じゃないとずっとこのままだ』

「は?力が尽きるまでやるつもりか?」


王子のその言葉に蒼玉ソウギョクが溜め息を吐いて頷いた。言い出したら聞かないから、説得に失敗したようだ。姉ちゃんに掛かった呪いよりも強力らしく、マロの心臓に根付いて命を奪おうとしているんだとか。くそ、誰だよ!そんな酷い呪いを掛けた黒幕を俺は絶対許さねぇからな!!


「ファルド!今すぐ近場の呪術師シャーマンを捜せ!!薬師にも連絡を取れ!」

「は、今すぐに」

「姉ちゃんもマロも大丈夫だよな?」

『…どうかな。呪術師シャーマンがここに着くのがいつになるか』


呪術師シャーマン自体の数が少ないらしく、見つけるのも大変なんだとか。腕の立つ呪術師シャーマンは数える程にしかいないらしい。俺の所為だ、やっと姉ちゃんの件が終わったと思ってたのに!!




☆ー☆ー☆ー☆ー☆




「先日振りだニャーン」

「リール!?お前帰ったんじゃ!!」

「王都を見物してたんだニャ。連絡用の鳥が来たから戻って来てやったのニャ。感謝するニャー」


翌日になり現れたのは全身赤い服を身に纏った女、リールだった。鳥も使い魔の一匹らしく、念の為置いていってくれたらしい。ナイスだぜリール!!


「早速ですまないが見て欲しい」

「仕方ないニャー」


リールが荷物を置いて懐からサルを出した。そのサルがスルリと姉ちゃんとマロの方へ行き、小さくキーと鳴くとやれやれといった表情で此方を向いた。


「心臓部分の成功率は五分ニャ」

「そんなっ!!おい、何とかしろよ!!」

「ちょ、揺らすニャー!何とかって言っても、かなり根を張ってるから厳しいニャ!!」

「必ず助けてくれ!!」

「わ、分かったから離すニャン!で?神子様は何でこの状態なのか説明するニャ」


マロが具合が悪かったので力を使った事、そして蒼玉ソウギョクが姉ちゃんから聞いた事を伝えた。蒼玉ソウギョクについての説明はファルドがして、他言無用とリールにお願いしてた。


「成る程ね、難しい事がよく出来るニャン」

「そうなのか?」

「場所にもよるけど、今回なら心臓を傷付けないように根に力を回して食い止めてるのニャ。ババーもよくやってたけどリールには無理ニャ。力の強い黒髪の人間だから出来る芸当ニャン」


呪いを食い止めるって事はそれだけ力が強いんだとか。だから少しでも加減を間違えれば、その箇所を傷付けてしまうらしい。つまり今回の場合は心臓だから、マロは死んじゃうって事だ。


「もう丸一日この状態なのだが、危険ではないのか?」

「丸一日!?信じられない集中力ニャ…。進行の進んだ根は吐き出させるのも大変ニャン」

「リハルト様、もう一名呪術師シャーマンが見付かったそうです」

「そうか。入れても構わないか?」

「リールより優れてる呪術師シャーマンなんていないニャン。お手並み拝見するのニャ」


フフンと偉そうに腰を掛けたリールの返答をイエスと捉えた王子は、ファルドに入れるように合図をした。部屋に入って来たのは、黒髪ロングの女性の呪術師シャーマンだった。黒のローブを羽織っており、魔女みてぇな女は4〜50歳ぐらいに見える。


「ば、ババー!!」

「誰がババーだ、小童が!」

「ちょ、リールニャン!!勝手に消えておいて忘れたとは言わせないニャ!」

「そのふざけた喋り方…なんだリールじゃない。相変わらず悪趣味な色で固めているのね」


この女が噂のリールの師匠か。150歳には到底見えねぇけどな。もう暫く生きるんじゃねぇか?死にそうには到底思えねぇし。


「感動の再会は後にして、こっちを見てくれないか?」

「全然感動の再会じゃニャイ!!」

「ふむ、随分と古い呪法を使っているわね。種は…あぁ心臓か。それを神子が止めてるのね」

「すげー、何も言ってないのに分かるんだな」


感動して声をあげれば、俺を見て師匠はニコリと笑った。その笑顔を見て昔は綺麗な人だったってのも、あながち嘘ではないなと思った。


「一流の呪術師シャーマンならこれくらいは出来ないと名が廃るわ」

「ぐぐぐ…ババーが特別ニャン」

「呪いの進行を止めつつ除去するわ。神子様に力を止めるよう伝えて頂戴」

蒼玉ソウギョクとやらを呼び出すニャ」


リールの言葉に蒼玉ソウギョクが自分から出て来た。師匠とリールは少なからず驚いた顔をしたが、一瞬だった。呪術師シャーマンの使い魔みたいなもんだしな。


『呼んだかい?』

「話を聞いてただろう。紗良に止めるよう伝えろ」

『分かったよ』

「あれが神子の守護者ガーディアンね」

「何であんたがそんな事知ってんだ?」

「長い間生きてると色々と耳に入ってくるのよ」


1000年も前の情報がそう入ってくるとは思えねぇけどな。各地に文献として残ってる可能性もあるから、一概には言えねぇけどさ。


「…っ、はぁはぁ」

「紗良!大丈夫か!?」

「うん、何とか。リールさんの師匠さん、後はお願いします」

「頑張ったわね、後は任せなさい」


姉ちゃんはそう言い残して気を失った。慌てる王子をファルドが諌めている。姉ちゃんに力を使えば、目は覚まさなかったけど表情が少し和らいだ気がする。まぁ、俺の力は微々たるもんなんだけどな。怪我や病気は治せても力を送るには足りねぇ。姉ちゃんに力を与えるなら、金の薔薇の方が効率がいいからな。


「ファルド、薔薇を姉ちゃんに持って来てくれないか?」

「そうですね。リハルト様如何しますか?」

「あぁ頼む。力を使い過ぎたのかも知れんからな」


リール達には聞こえないようにファルドに頼めば、王子に確認をした後に部屋を出て行った。あそこの鍵は三人しか持ってないから俺は入れないんだ。師匠がマロに何か怪しげな術を施してるのを眺めながら、自分の無力さを感じていた。


「キュー!」

「マロ!良かった、御免な!!」

「キュキュッ」


あれから三時間経ち、師匠のおかげでマロは呪いから解放された。マロを抱き締めると、嬉しそうに顔に擦り寄ってくる。あぁ良かった、本当に師匠が来てくれて助かった。


「この種を預かってもいいかしら?」

「燃やさないと終わりじゃないんだろ?」

「普通はね。でも私が力を使って呪いを遮断してるから平気よ」

「ババーは桁外れの力があるから出来る事ニャ。普通の呪術師シャーマンは出来ないから、勘違いするんじゃニャイよ!決してリールが落ちこぼれてる訳じゃニャイ!!」


力説するリールに分かった分かったと師匠が頭を撫でた。そんなに力が強いなら、印はどの位置にあるんだろうとジロジロ見ていたら師匠と目が合ってしまった。やべ、失礼だったか?


「印の位置が気になるの?顔に書いてあるわよ」

「へ?あ、すいません」

「こいつは不躾なガキんちょニャー。敬うことを知らないのニャン」

「あんたもね、リール。人の事ババーって呼びやがって。…と、印の位置だったね。私の印は変わった位置にあって舌にあるのよ」


ベーと出した師匠の舌には蔦の様な印があった。ファルドや他の黒髪の人達と同じ印だ。確かに珍しいな。それなら目に入ってる者もいるのだろうか?…それはいくら何でもないな。


「なんで教えるニャ」

「この子は聖杯グラールだからね。神子に使った力は癒しの力。それを扱えるのは神子以外に聖杯グラールのみ」

「そこ迄知っているとは…。貴女は一体…」

「しがない呪術師シャーマンよ。安心しなさい、神子に手を出すつもりはないから」


種を手で弄びながらそう答えた師匠。その言葉が何を意図しているのか、俺には分からなかった。だけど言葉の裏に何かが隠されてる気がしてならなかった。


「ま、とにかくマロの呪いを解いてくれてありがとな!姉ちゃんも助かったし、言葉じゃ足りないぐらい感謝してる」

「別に神子を見てみたかっただけだから、気にしないで頂戴。報酬もいらないわ。お金なんて有り余る程持ってるもの」

「…あんたって良い奴なんだな」


俺がそう言えば、不意を突かれた様な顔をされた。なんか変な事言ったか?と焦っていると、大爆笑された。その姿に呆気に取られる俺達と、呆れるリール。


「ふはははっ、あー、笑えるわ。あんたって真っ白なのね」

「真っ白?」

「そうよ、心が真っ白で綺麗だわ。そんな人間中々居なくてレアなんだけどね」

「は?俺は別に普通だけど…」


師匠の言ってる意味がよく分からないと首を傾げる俺に、リールが助け船を出してくれた。


「師匠は人の心が色で見える変人ニャ」

「ほぅ、変わった能力だな」

「それで真っ白か…」

「ちなみに神子は透明クリアね。弱くも強くもある色よ」


リールは見た目同様に赤色らしい。意味は教えてくれなかったけど、リールが言わせなかったところを見るに、頑張り屋とかそんな意味合いなのかもな。


「弱くも強くもか…。当たっているな」

「それじゃあ用は済んだからお暇させてもらうわ」

「本当に助かった。礼を言う」

「いい物貰ったしコレでチャラよ。あ、なんならリールを城に置いてもいいわよ」

「勝手に決めるニャ!リールの居場所はリールが決めるんだニャー!!」


ニヤリと笑った師匠に、リールが抗議していた。師匠は暫くは王都にいるらしく、何かあれば泊まっている宿泊施設に問い合わせてくれと言い残して去っていった。リールもその後を着いて出て行った。


「紗良の中に力よ戻れ」


ファルドが持って来た金の薔薇を姉ちゃんに向けて王子が使うと、粒子が姉ちゃんの中に入っていった。少しすると目を覚ました姉ちゃんに王子より先にマロが飛び込んでいって、王子が行く先を失った手をどうしたもんかと悩んでいたのが笑えた。


「マシュマロは恭平を護ったのよ」

「どういう意味だよ」

「恭平が食べようとした果物が、呪いの種が埋まってる物だったの。それをマシュマロが食べたのよ」

「あ、あん時のか…。ごめんなマロ。助かったよありがとな」

「キュイ!」


誇らしげに尻尾をパタパタさせたマロを撫でてやった。優秀なマロには初めから分かっていたらしい。本能ってやつかも知れないな。ともあれこれで一件落着だな。


数日間更新出来なくてすみません!眠気がヤバくて、書きながら寝てしまうこと数日間…。

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