61狐竜獣
今回は紗良はチラリとしか出てきません。
王都ロザントリアでは神子の生誕祭で数多くの人達で賑わっている。今日は神子が民の前に姿を現わす貴重な一日であり、国中、他国からも人が集まっている。
「お!あれが神子様か!もっと近くで見たいもんだな!」
「あれ以上は近くで見れないさ。なんたって神子様だからな。この距離が俺らの最短距離さ」
「そうだよな。見れただけ良いじゃねぇか!」
「そう言えば、こないだ薬屋に神子様がいたらしいぜ?」
「俺も聞いたぜその話!素顔が一瞬だけ見えて物凄い別嬪さんだったらしいじゃないか!!おい、キョウヘイ!お前も見ろよ!神子様だぞ?」
酒場の外でオヤジ達が酒を飲みながら騒いでいる。何が神子様だよ、お蔭で俺は大忙しだってぇの!マスターがその中に混じってるもんだから、俺が店を回す羽目になっている。と言っても客も神子を見に、酒を片手に外に行ったけど。もう一人の従業員(マスターの一人娘)も神子を見る為に外に見に行ってしまったので、一人でイライラしながら食器洗いをしているとマスターに呼ばれた。仕方なく皿洗いを中断して外へ出た。
「まったく仕事しろよな!」
「客も今は神子様見てっから平気だろ!それより見ろよ!!あれが神子様で、隣がリハルト王子だ」
「へーあれが………ってウソだろ!?」
「ん?なにがだ?」
「いや、そんな筈ない…。だけどあれは」
「おい何をぶつぶつ言ってんだよ」
「姉ちゃんだ!!?あれは居なくなった俺の姉ちゃんだ!!」
塔から手を振っているのは間違いなく姉ちゃんだった。約一年ほど前から行方不明になっているはずの。ある日突然消えたんだって母さんから聞かされた。携帯も連絡がつかず、荷物もそのままで神隠しにあったんじゃないかって噂されていた程だ。まさかこっちの世界にいたなんて!!
「がははは!!何言ってんだよキョウヘイ!こんな距離でハッキリ見えねぇだろうが」
「俺の視力はめちゃめちゃ良いんだよ!なんで神子なんてやってんだよ…」
「おいおいホントか?確かにお前は黒髪だがよ、顔は普通じゃねぇか」
「顔は関係ないだろ。大体姉ちゃんだってそんなに絶賛されるような美人でもなかった筈なんだよ」
「なら別人だろ?疲れてんだよ!ほら、お前も飲め飲め!」
そのままマスター達に酒を浴びる様に飲まされてダウンした。気付くとベットに寝かされており、頭にはタオルが乗せてあった。体を起こすと吐き気が襲ってきたので、トイレに駆け込み胃の中の物を全て吐き出した。
「うぅ…水」
「ほら」
「サンキュー…ってマスターか」
「相変わらず弱えな」
「うちの家系皆弱いんだよ…」
誰も酒飲みが居ないから、もはや弱いのは遺伝だと思う。姉ちゃんも全く飲めない筈だ。机に項垂れながら水分をちびちび取っていると、マスターが口を開いた。
「もし本当に神子様が姉ちゃんだとしても、諦めるんだな」
「なんでだよ…」
「存在が遠すぎるからだ。会う事すら出来ねえだろうよ」
「…姉ちゃんも気付いたらこの世界に居たんかな」
「かもな。ある日突然現れたらしい。人々の願いを叶える力を持っているんだとよ」
「あの面倒な事が嫌いな姉ちゃんにそんな力が宿るとはねぇ…」
吐いたら少し楽になったからまた寝た。次の日起きるとマスターが休みをくれたから二日酔いを治す薬を買いに行った。
「いらっしゃい、おや?あんたヤーティスに拾われた子かい?」
「居候です。すいませんけど、二日酔いに効く薬ありませんか?」
「はは、何だ飲まされたのか?まぁ昨日は神子様が見れた日だからね」
「…そういえばオジさん、神子様を直接見たんですよね?」
「あぁ。とても明るくて素敵な人だよ」
薬と水を出しながらそう答えてくれた。それを飲みほしてコップを返す。明るくて素敵な人ねぇ…。それだけじゃ分かんないな。そうだ、名前を聞けばいいのか。
「あの、その神子様の名前って「紗良」じゃありませんか?」
「あぁそうだよ!君も神子様の知り合いかね?前に神子様がリハルト王子と逸れた時にうちの息子と仲良くなってね。まさか神子様だとは思わなかったけどね」
「やっぱり!紗良は俺の姉ちゃんなんだ!教えてくれ!!どうすれば会える!?」
「え!?神子様の弟?…そんな話聞いた事ないけどな。ジラフ!おーいジラフ!!」
薬屋の店主が二階に向かって叫ぶと、金髪赤瞳の青年が降りてきた。息子だろうか?それにしてもジラフねぇ…、キリンってよりウサギの方がしっくりくるけどな。
「何?」
「ヤーティスんとこの坊主が神子様の弟とか言ってるんだけど、なんか知らないか?」
「弟?そんな話聞いた事ないけどな」
「神子様に会いたいんだと。年近いんだし相手してやりな」
「はぁ?何で俺が…」
「神子様の名前知ってたからだよ。後宜しくな」
取り敢えず二階のジラフの部屋に案内されて、適当に座った。どうやら姉ちゃんの名前は知られてないらしい。出会った人だけ知ってるって事か。
「で?あんたが紗良の弟って証拠は?」
「証拠って言われてもな…。誕生日は昨日だし、年齢が25、いや誕生日迎えたから26だな」
「…あんた名前は?」
「恭平。多分お前より俺のが年上だぞ?」
「幾つだよ?」
「24だ」
どうもこの世界に来てから年齢より下に見られるんだよな。案の定ジラフも驚いていた。そして何故か笑い出した。…大丈夫かこいつ。
「あー、確かに紗良の弟っぽいな」
「だからそう言ってんだろーが!」
「で?会ってどうすんの?」
「決まってんだろ、元の世界に帰るんだよ!」
「ん?…その話詳しく教えてくれない?」
大抵の人は笑い飛ばして信じてくれないけど、こいつは真剣に聞いてくれた。といっても俺はどうしてこの世界にいるのかも分からないんだけど。気付いたら酒屋の前で倒れてたらしい。それでそのままマスターに世話になってるんだ。
「それって帰れるのか?」
「…分かんねぇ」
「取り敢えずどうやって紗良と連絡取るかだよな」
「は?お前友達じゃねぇのかよ」
「二回しか会った事ないんだよ。そもそも庶民が会える存在じゃないからな」
何だよ使えねぇな。でもまぁ少しだけ姉ちゃんに近付いたかな。取り敢えず無駄足になるかも知れないけど、手紙を出して貰う事にした。無事に姉ちゃんの元に届けばいいけどな。
「何で俺が書くんだよ」
「しょうがないだろ。この世界の文字知らねぇし」
「まだ一ヶ月だっけ?なら仕方ないな。今度文字教えてあげようか?」
「あー、気が向いたらな」
手紙の執筆を押し付けて、ジラフと別れて外を歩く。町はまだ神子の誕生祭でお祭り騒ぎでこれが一週間続くらしい。祭り好きの姉ちゃんなら、さぞ町に出たいだろうな。だけど神子様で城にいるぐらいだから、無理なんだろう。先日来たのも王子との痴話喧嘩らしいし。え?姉ちゃん王子と結婚しちゃう感じ!?玉の輿じゃん!
「でもなんか幸せそうだったな…」
塔から笑顔で手を振っている姿は嫌々やらされてる感じはしなかった。むしろ王子と楽しそうに会話をしていたしな。流石に内容までは分からなかったけど。幸せならそれでいいんだけどさ。
帰れる見込みもないならこの世界で生きて行く力を身に付けないとな。姉ちゃんもこの世界に一年近くいるみたいだし。俺も考えて行かないと。
「よーお帰り!薬飲んだか?」
「おう。あそこの薬良く効くのな」
「がはは!そうだろう、俺もよく世話になんだよ」
「マスターは飲み過ぎなんだよ!」
「で?話は聞けたか?」
まさかこの人そこまで考えて酒飲ませたのか?…いや、偶然だな。今だって客と一緒に飲んじゃうただの酔っ払いだし。
「あぁ、やっぱりそうだった。名前も年齢も一致したよ」
「そうかそうか!」
「何の話だよ?ヤーティス」
「ちょっとな。そんな事よりもよー」
神子が俺の姉ちゃんかも知れないのは、迂闊に言うなと言われてる。悪い奴らに狙われる危険があるからだってさ。そりゃ困るんで、薬屋でしか話を出していない。なのでマスターは上手く話をはぐらかして別の話にすり替えたんだ。バシニアの女房が逃げただの、あそこの店は品揃えが悪いだのとくだらない話を肴に酒を飲んでいる。
「いいのかよ?サリナス」
「今に始まった事じゃないわ。お客さんも今は少ないしね」
「そうかよ。俺は今から寝るから、忙しくなっても手伝わねぇからな」
「はいはい。さっさと寝なさい」
あいつ俺より年下のくせして偉そうなんだよな。だけどマスターの娘だし、気が強いから逆らうと後が怖いから何も言わない。まるで姉ちゃんみたいだぜ。
「変な時間に寝たから目が覚めちまったな」
あの後、寝たのはいいけど代わりに夜寝れなくなった。気分転換に外に出て当てもなくブラブラと夜風に吹かれながら散歩した。昼間は活気のある町も、夜中は静まり返っている。まぁ如何わしい店は絶賛営業中だが、この場所からは離れてるんだよな。
ガサガサ
「ん?何だ?」
「キュイー…」
「…何だお前」
町から外れた場所には森があり、其処には様々な植物や生物が生息している。夜は夜盗などもいるから近付くなと言われているが、ボーッとしてたらいつの間にか来てしまってたらしい。そして俺の目の前には小さな白い生き物が倒れていた。
「大丈夫か?お前、怪我してんじゃねぇか!」
「キュ…」
「連れかえって手当してやるからな!」
狐の耳に愛らしい丸い顔、目もクリクリしていて可愛い。そして背中には小さな羽が生えている。その不思議な生物を両手で優しく持つと足に怪我をしているのが見えた。人に慣れているのか暴れる事も無かったのでそのまま部屋に連れて帰った。
「キューキュー!」
「わり、沁みるか?でも我慢しろよ」
ガリッ
「いってぇー!噛むなよ!!」
「ギュイ!」
「いたたたた!大人しくしろって!」
何とか手当てを済ませて包帯を巻いた。代わりに俺の手が傷だらけになったけどな。今は呑気に毛繕いしてやがる。
「キュー」
「あん?何だよ」
「キュイキュイ」
「腹でも減ったのか?…お前何食うんだよ」
取り敢えずミルクとパンをあげると上機嫌で平らげた。満腹になったのか、ウトウトして人の枕の上で丸くなっている。
「もう眠いのか?」
「キュー」
そっとそいつを撫でると、気持ち良さそうに擦りよってきた。マジ可愛いなこいつ。充分元気な気もするが、早く元気になれよと呟いた。
「…は?」
「キュ?」
「え?何かお前キラキラしてないか!?」
「キュイキュイ?」
気付けば、光り輝く粒子がその生き物を包み込んでいた。どっから出てるんだこれ?出所を探している間に粒子は消えてしまった。何だったんだ?と思っていると、怪我をして歩けなかった筈なのに、そいつはスタスタと歩き出したじゃないか!
「!!?まさか、治ったのか!?」
「キュー!」
包帯を解くとあった筈の傷が消えていた。嘘だろ、何が起こったんだよ!てか今のキラキラは何処から現れたんだ!?うぉーー!誰か教えてくれ!!
「キュッキュッ」
「…ま、お前が元気になったならいいか。なんか一気に疲れたな…。寝よ」
白い生き物を撫でて、明日元の森へ返してやろうと思いながら眠りについた。
「キュイ」
ガブ
「ーーーっいってぇ!!」
翌朝、腹が減ったのか白い生き物に鼻を噛まれて起こされた。鼻を押さえて飛び起きると、大きな目でこちらを見ていた。くそ、可愛い顔しやがって。怒れねぇじゃん。
ガチャ
「おいおい、朝からうるせーな!何してんだよ」
「だってこいつが俺の鼻を…」
「…キョウヘイ。お前それを何処から持ってきた」
「あ?なんだよ、森だよ。昨日ケガしてたの保護したんだけどさー…」
「今すぐ返して来い!!誰にも見られずにな!」
急に大声で怒鳴られてビクついた俺に、白い生き物も怯えた様に俺に抱き着いた。なんだよ、マスターが怒ってんの初めて見たんだけど。
「怪我治ったからそのつもりだけど、何をそんなに怒ってんだよ。こいつ、ただのチビじゃん」
「いいか!?良く聞けよ!そいつはなぁ、人が触れていい生き物じゃねぇんだよ。あの森の主だ!!そいつはその子供だろうな…。早く返して来い!主が暴れたらえらいことになる!!!」
「主ねぇ…。そんな話初めて聞いたけどな」
「当然だ。俺が王からの勅命であいつを見張ってんだからよ」
イマイチ話が見えてこないけど、え?マスター王と繋がってんの!?どうやらマスターは若い頃に王国騎士団に所属していたらしい。この生き物は狐竜獣と言う伝説級の聖獣だそうで、以前暴れていた所を見事鎮めてあの森に連れて来たのだとか。
「滅多に姿を現さんからな、奴の住処を荒らさなければ温厚な生き物だ。だがな、一度怒らせれば町一個簡単に吹き飛ばしちまうんだよ」
「何でそんな危険な奴がいるんだよ…。お前もそうなるのか?」
「キュー?」
「…随分と懐いてるな。人には懐かないんだが…。まぁいい、俺も一緒に行ってやる。サッサと支度しろ」
ヘイヘイと着替えを済まして、皮の布袋に狐竜獣を入れてやると、気に入ったようで丸くなった。それにしてもあの呑んだくれが騎士だったとはなぁ。ん?なら王に話を通して貰えれば、姉ちゃんに会えるんじゃないか?なんてな…。そう上手くはいかないか。
「…少し空気がピリついてるが、まだ大丈夫だろ。キョウヘイ!そいつを返せ」
「おう。ほら起きろ!森だぞ」
「キュ?」
皮袋から出して地面に置いてやると狐竜獣はチロチロと歩き出した。その羽根で飛ばないのかよ…。そのままマスターとその場を離れて歩き出す。
「キュキュ、キュイー」
「おい、着いてくるなって」
「キュー…」
「そんな目で見るなよ。お前の家はここだろ?」
「…お前、そう言えばそいつの怪我を一晩でどうやって治したんだよ」
俺の足にしがみ付いている狐竜獣を引き離そうとしていると、マスターがそんな質問を投げかけて来た。だからキラキラがこいつを治したと言えば、目を見開いて驚いている。
「お前も力が使えるのか!?」
「何だよ力って」
「この世界ではな、黒髪の者は何らかの力を持っていて優秀な奴が多いんだ。だから力のある奴は重宝されるんだが…。お前の印は何処にある?」
「印?なにそれ」
頭にはてなマークを浮かべる俺にマスターが頭をガシガシと掻きながら溜め息を吐いた。何か言おうとして口を開きかけた瞬間、馬鹿でかい何かの鳴き声が森中に響き渡る。ビリビリと体に響く程の声量だ。
「ち、マズイ!!奴が来るぞ!!!」
「は?奴ってまさか…」
フッといた場所が一瞬で影になり、恐る恐る顔を上にあげると、巨大な狐竜獣が飛んでいた。威嚇する様に凶悪な顔をしている。
ヘタッ
「あ、あぁ…な、何だよ!」
「腰を抜かしてる場合じゃねぇぞ!!早く立て!走るぞ!!」
「む、無理だ!立てねぇ!!」
「ち、肩を貸せ!」
巨大な狐竜獣は口から火を吐き出そうとしており、マスターに担がれる様にして立ち上がる。だけど間に合わねぇ!!もう殺られる!と覚悟を決めた瞬間に、チビ狐竜獣が俺の前で両手を広げて巨大な狐竜獣に何かを訴えていた。
「ガルルルル、シャー!!」
「キュイ!キュー!!」
「チビ、お前、庇ってくれてるのか?」
「キュン!」
尻尾を一度振り、そのままチビが巨大な狐竜獣を鎮めてくれた。どうやらこいつがチビの親だった様で、今は二匹寄りそっている。
「はぁー、死ぬかと思った」
「馬鹿野郎!俺の台詞だ!!」
「はは!デカイ方も可愛い顔してるんだな」
「…呑気だなお前は」
「マスターには敵わねぇよ」
二匹に手を振りマスターと森を後にしようと歩いていると、背中に物凄い勢いで何かが飛んで来て、吹っ飛ばされてしまった。
「うぉおおお!!何だ!?背後から攻撃か!?」
「がはは!ちげえよ!チビだよ」
「チビ?…おい、お前のタックル強過ぎねぇか?」
「キュルルン!」
「褒めてねぇよ!!」
どうやらチビは俺が気に入ったらしく、離れたくない様だ。今度は巨大な狐竜獣も納得したのか、俺に頭を下げて飛んで行ってしまった。
「キョウヘイは意外に大物かもな!」
「はぁ?ま、兎に角お前に名前を付けないといけないな」
「キュー」
「チビ!」
ガブ
「ぬぉおお!いってぇ!!」
チビは嫌だったらしく、人差し指を噛まれた。歯が尖ってるから痛いんだよ!血が滲んで来た。昨日の夜みたいに治せないかな?
「治れ!治れ!」
「何やってんだぁ?お前は」
「キュキュー」
「…な、お前これは!?」
指を見ながら念じていると、昨日と同じくキラキラが出て俺の指を包み込んだ。消えたと同時に指の傷が見る影もなく、無くなった。おー、便利なもんだな。
「ほら、キラキラ出たろ!?」
「馬鹿野郎!それが力だよ!!全くいい拾い物したぜ。良いだろう、王に会わせてやるよ」
「本当か!?」
「あぁ、どうせこの事を報告しに行かなきゃいけねぇからな。ついでに連れてってやる」
「っサンキュー!マスター!!」
喜びからマスターに抱き着くと、気持ち悪ぃと言われてしまった。仕方ねぇだろ?嬉しいんだから。チビの名前はマシュマロにした。真っ白でフワフワしてるからピッタリだろ。
「さーて、帰って飯でも食おうぜマスター」
「そうだな」
「なぁマロは何食うんだ?昨日はパン食ってたけど」
「敢えてその部分で呼ぶのか…?狐竜獣は雑食だから何でも食う。だが主に木の実とか果実を食ってるな」
「キュン!」
成る程。マシュマロは皮袋に入ってもらい、木の実や果実などを買って酒場に戻った。サリナスはマシュマロに驚いていたが、すぐに可愛さの虜になったようだ。
「マシュマロちゃーん、はい木の実」
「キュイキュイ!」
「やーん、可愛い!!」
「女は可愛い物に弱いよな」
「がはは、そうだなぁ」
この世界に来て一ヶ月。マスターのお陰で知らない場所でもこうやって生きていけるから、感謝だな。
61話にして弟が登場しました。




