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外道が嗤う  作者: アタマ
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プロローグ

とある町外れ、使われなくなってから何年も経つ廃工場。その中に一人の男が寝転がっていた。


見た目は痩せて、というよりも痩せすぎており、その眼には生気は感じられない。見るも無残に地面に転がっていた。


「……しくじった、な……」


息を切らしながら、男は何とか声を絞り出す。もはや感覚がマヒし、痛みは感じないが、同時に体が冷たくなっていくのがはっきりとわかる。男はすでに生きることを諦めていた。


やりたいことはたくさんある。まだ使っていない脅しのネタもあるし、いい取引先も全然残っている。これらを残して死んでいくのは、あまりにももったいなかった。


そもそも、なぜ男が倒れているのか、簡単な話である。権力者にちょっかいを出しすぎた為。


昔からこの男は周りを引っ掻き回し、混乱させるのが趣味であった。最初こそ悪戯レベルであったそれは、いつの間にやら人の人生そのものを狂わせることにまで発展していた。


男はそれを理解していながらも決してやめることはせず、むしろエスカレートしていった。ある時は善人を悪者に仕立て上げ、本物の極悪人にした。またある時は政治家の弱みを握り、脅し続けた。


ちなみに、元善人は現在死刑判決を食らっており、逮捕の原因もこの男である。この元善人の死刑執行を聞けないのも、心残りの一つであったりする。


そんな中、男はいつも通りある人物達の弱みを握り、いつも通りに脅していた。初めはビクビクという表現が当てはまる程おびえていた人物も、段々と強気になっていき、最終的にはこの事態である。


男も途中からその人物達の行動に気づいては居た。しかし男には絶対的に足りないものがある。


それは力である。


もちろん、知力的な部分は異常にまで高いが、見た目からもわかる程筋力がない。また人員、つまりは数の力でも勝てない。権力も向こうが上。


どんなに策を練ろうが数に潰され、どんなに秘密を暴露しようが権力に潰される。しまいには力任せによる報復である。恐らくこの事件も権力によって消されるだろう。


「ほんと……、やっちまったなぁ……」


そう呟くが、誰かに聞かれるわけもなく、空しく消えていく。報復により傷ついた体は動きはしないが、意識だけは残っていた。それが権力者達の考えでもあるが。


そんな間にも体は冷たくなっていく。頭に浮かぶは走馬燈、今までに人生を狂わせてきた者達の表情であった。怒りに満ちた顔に泣き喚き醜く歪んだ顔。それら全てが浮かんでは消えていく。


思いつく感情は、愉快。


一度見た気持ちがすっきりする顔を死ぬ前にもう一度見られた。それだけで笑いが止まらなくなる。ただただ、男は不気味に口を歪めて、声もなく嗤いつづけた。


一頻り嗤うと、走馬燈も見えなくなり、声も出なくなった。限界が近いのか、目も見えなくなる。朦朧とする意識の中、男は力を振り絞り、手を天井に向ける。


「良い……、人生……、だった……」


つっかえながらも、何とか声を出す。その顔には後悔も、反省の色も見られない。清々しいほどの、歪んだ笑顔(いい笑顔)がそこにあった。


「……願……、わくは……」


男の最期の言葉、それは男の性格をよく表していた。


「来世も、外道でありたい……」


静かに、それでいてはっきりと辺りに響いた声を最期に男は息を引き取った。


享年29歳、男の人生はこうして幕を開けた。


のちに死体を回収しに来た権力者、各国の首脳達は、男の笑顔を見て驚いたという。また、この後首脳達が手を組み、世界を思うがままに操るのは別の話。

はじめまして、読んでるだけでは満足できずについに投稿してしまった作者のアタマです。最初から文字数も少ないとか、ネタがおかしいとか、やっちまった感が……。

何はともあれ、これから頑張っていきたいと思います。

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