第五話~確定~
―――俺が、勇者…ここまで言われ続けたらもう決まりだ。
そう思うと幾分か気が楽になった。と、突然頭が激痛に襲われた。
「くっ!グゥァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」
ここは普通の道。周りの人が驚いてこちらを見ている。
しかし彼はそんなことも分からないくらいの痛みに襲われている。
「なぜ…突然こんな痛みに…」
すると人ごみの中から一人の男が現れた。
見た目は10代後半から20代前半な容姿。髪色は深紅。片目に包帯を巻いている。
「クックックックッ…ついに見つけたゼェ!元勇者セブンクラークゥ!今の名前は確か、『櫻庭龍慈』だったなァ!」
えっ?
「ち、違いますけど…」
「えっ…あぁ!!!ほんとだ!!!人違いだった!!!いや~あいつとそっくりなけはいがしてさ~、ごめんごめん!!!じゃあね!!!」
何だったんだ…しかし今の男の言葉に一つだけ気になる言葉があった。
『元勇者セブンクラークゥ!』
つまりは俺以外にも勇者がいるということだ。なんだか不思議な気分だ。
「ま、いいや。とりあえずかえろっと!」
そんな光景を唖然と見つめていた女がいたのはまた別の話。
勇志は家について電話をかけていた。斎藤だ。
「もしもし。俺だよ俺。」
「……あぁ勇志か。俺俺言ってるから『おれおれ詐欺』かと思ったぜ。」
「違うよ。実はさ、今日変なことがあってさ。」
「ん?変なこと?」
「うん。なんか、今日、突然変な男に名前を聞かれてさ。名乗ったわけよ。そしたらなんつったと思う?」
「……まさか、『……あなた最近勇者って呼ばれたりしたことありませんか?』じゃないのか?」
「なんで一字一句間違えずにあてちまうんだよ!」
「本当にそう言われたのか?」
「あ、あぁそうだけど…」
「その男、変な機械を持ってなかったか?」
「よくわかったな。持ってたよ。丸っこい奴。」
「ついに見つけたぞ…志野原…私があれからどれだけ探したことか…」
「どうした斎藤?」
「ん?いや、何でもない。ちょっと考え事をしていたんだ。じゃあ俺これから用事があるから一回切るぞ。」
「おう。じゃあな。」
「じゃあ」
***
斎藤はさっそく臼田怜生に電話をした。
「もしもし、魔王様ですか?」
「おう。斎藤か。どうした~。」
「ついに元賢者現在の名前を志野原賢。彼を見つけました。」
「何だと!!!ついに見つけたか!!!よくやった。」
「ありがとうございます。ところで彼をどうしましょう。」
「八つ裂きにしてやりたいところだが、今はダメだ。」
「なぜですか?ひと思いにやってしまえばいいじゃないですか。」
「今のおれにそこまでの力も魔力もないし、第一この世界でそんなことやったら即逮捕!に、なっちゃうよ。」
「それもそうですね。では明日、学校で決めましょう。」
「そうだな。じゃあお休み。」
「お休みなさいませ。」
そして次の日の学校で…
勇者が誰だかは判明しました!
次話で久しぶりに学校で話を展開させます。
今回は会話文が多くなってしまいました。すみません。