表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編小説

空を飛びたいアヒル

作者: うわの空

 むかしむかしあるところに、空を飛びたいと願うアヒルがいました。

「どうして僕の翼は飛べないんだろう」

 アヒルは毎日毎日、そう嘆き続けていました。


 そこに1匹のオオカミが来て、こう言いました。


「それは、君の身体が重いからだよ。身体を軽くしたら、きっと飛べるよ」

「本当に?」

「うん。僕が手伝ってあげるよ」


 オオカミはそういうと、アヒルの足を食いちぎりました。

 アヒルはあまりの痛さに、悲鳴をあげました。


「だけどこれで身体が少し軽くなったから、飛べるようになってるかもしれないよ」


 そう言われたアヒルは、懸命に翼を動かしました。

 けれどもちっとも飛べません。


「それはきっと、君の身体がまだ重いからだよ」


 オオカミは次に、アヒルのしっぽを引きちぎりました。

 それでもやっぱり飛べません。


 オオカミはその次に、アヒルのお腹をえぐりとりました。

 それでもやっぱり飛べません。


 アヒルは痛くて、悲しくて、泣きじゃくりました。

 それを見たオオカミは、こう囁きました。


「頭が重いのかもしれないね。僕が取ってあげるよ。そしたら、飛べるかもしれない」


 オオカミはアヒルの頭をくわえると、最後にこう言いました。



「君は馬鹿だね。…ごちそうさま」



 アヒルの頭の中で、何かが砕ける音が聞こえました。




 オオカミがその場から離れた時、そこに残っていたのは

 最後まで飛べなかったアヒルの翼だけでした。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ハートフルなお話かと思ったら、ダークなお話だったので笑いました。 [一言] 他のも気になるので読んでみます!!
[一言] 怖い
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ