紙タバコの火が
えっ、でも彼女と同棲してるんでしょ?
「そうです」
私の隣で紙タバコを吸う人は言った。
やっぱかぁ。と思ったのと同時に、ショックという気持ちが襲ってきた。
紙タバコの火が消えるとき、貴方は元の席に戻っていく。ここが1番端だから、皆に気を使って移動しているのだろう。
紙タバコの火が付いたとき、貴方は自分の運動神経が悪いと教えてくれた。少し意外で、話が弾んだ。
紙タバコの火が進んだとき、貴方は彼女の話をした。そんな話をしながら、煙を手でこちらに来ないよう払っていた。
紙タバコの火がもっと進んだとき、貴方は趣味の話をした。新たな1面が知れた。
紙タバコの火が消えたとき、貴方は席に戻っていく。
紙タバコの火が消えても、私の服にはまだ忘れられない貴方への気持ちみたいに残ってる。
もう紙タバコは残ってないのに。