表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の愛した料理人  作者: 仙葉康大
最終章 ~帝蛇の燻製~
54/69

ミーティング

 調理道具一式をリュックに詰め、リンリは厨房を見渡した。ジャンが強火で鍋をふるい、ミレイが野菜を洗い、ブルゴが果物を皿に盛っている。ノンはパスタをかきまぜ、ガウスは古いレシピ本をめくり、アイーラは瓶に魔法を詰めている。そしてティアは、鼻歌を歌いながら皿を洗っている。


 手を叩き、集合をかける。


「これよりミーティングを始めます。各自、連絡事項を」


 ジャンとミレイは首を横に振る。


「来月はお茶会が多いから、次の買い出しで、砂糖をいつもの倍、購入してほしいだ」とブルゴ。


「リヴァイアサンの肉も買ってほしい?」とノン。


「軍部の奴ら、今日の夜は秋季演習の打ち上げで街に繰り出すから、夕食不要だとよ」とガウス。


「文官たちは連日残業続きで疲れがたまっている様子。体調を崩す者も出始めているので、料理でフォローが必要かと」とアイーラ。


 リンリはうなずく。


「あとは、ティア。あなたからは?」


「え? んー、そうだなー、あ、そろそろ新米が獲れる時期だよね?」


「そうですね。早ければ来週から城にお米が届きだすでしょう。収穫の人手が不足している農家には、魔王城から労働力を提供するとお知らせしてあります。要請があった場合は、お願いします」


「了解」


 全員が声をそろえてそう言ったところで、リンリは本題に入ることにした。


「では、私が不在の間の課題を発表します」


 リンリは今日から三日間、城を空ける。魔王キレイラの城に赴き、料理人たちを指導するのだ。こうした依頼は、各魔王城から毎月のようにあり、そのたびにリンリは直属の部下に対し、自分がいない間に取り組むべき課題を告げておくことにしている。


「課題は、新作料理を一品考えること。来週の水曜に味見会を行いますので、そのつもりで。優れた料理は、次の式典のメニューに組み込みます」


「次の式典っていうと、王妃様を偲ぶ祈念式典?」とティア。


「そうですが、今年は魔王様の誕生日を祝う式典も同時に行うそうです。そのことを踏まえて、各々、新作料理を考案するように」


 部下たちはそれぞれ神妙な顔でばらばらにうなずいた。


 これまでベルゼは、頑なに自分の誕生日を祝うことをしなかった。けれど、今年は違った。城の軍部及び文官たちからの進言を聞き入れ、ベルゼは自らの誕生日を祝う式典を開催することを決定した。リンリは改めて天空米のおかゆを食べさせてよかったと感じていた。


「それでは、私は出発します。ジャン、ミレイ、ブルゴ、ノン、ガウス、アイーラ、そしてティア。留守を頼みます」


「はいっ」


 六人の優秀な部下と信頼のおける副料理長に見送られ、リンリは、一抹の不安も抱かずに城を発った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ