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第4話【ゲームセンター】

教室の窓から差し込む陽射しが、菜月の心を明るく照らす。久しぶりの高校生活を楽しむため、真理子とともにクラスメートと過ごす日々に菜月はすっかり夢中になっていた。


「菜月、放課後にゲームセンターに行かないかしら?」真理子が微笑みながら提案する。その上品な話し方にはいつもどこか安心感がある。


「いいね〜行こう!」菜月は即座に返事をし、二人はクラスメートの千葉麗奈を誘うことにした。麗奈はしっかり者で、お姉さん的な存在だが、真理子に対しては少し変態気質を持つ一面を持つ。


放課後、ゲームセンターに着くと、さまざまなゲーム機が並び、歓声や笑い声が響き渡っている。菜月は胸が高鳴りながら、遊びの世界に飛び込む準備を整える。

社会人になってからはゲームセンターとは無縁の生活を送っていたため、なおさらだ。


「まずはこのゾンビゲーム、やらない?」麗奈が指差した先には、リアルなグラフィックで描かれた大型のゾンビシューティングゲームがあった。

最大4人で遊べる様で、筐体に4丁の銃が備えつけてある。


「菜月、やってみるのですよ」真理子が興味津々で言う。


それぞれが硬貨をいれ、ゲームが始まると、画面に映るゾンビたちが次々と迫ってくる。菜月は夢中で銃を撃ち、真理子もその後を追って大声で笑っている。麗奈は冷静に狙いを定め、素早くゾンビを倒していく。


「麗奈、流石ね!お上手でいらっしゃるわ!」菜月が声をあげると、麗奈は得意げに笑った。「ふふ、私クリアはしたことないけど、結構やり込んでるのよ。その辺のゾンビになら負けないわ!ああ、でも真理子ちゃんになら噛まれてもいいわよ!」


その言葉に、菜月は思わず笑いをこぼす。麗奈の真理子へ愛情表現は相変わらずだが、その明るさは周囲を和ませる。


菜月たちがしばらくゲームを楽しんだ後、飲み物を片手に談笑していると、同じクラスの男子生徒、松本 明が近づいてきた。彼は大のゲーム好きでネットゲームから、ゲームセンターのアーケード系まで網羅している。らしい。


「菜月じゃん、真理子と麗奈も、何してるの?」松本は興味津々な様子で尋ねる。


「ゾンビゲームやってるの、まぁ全滅したけどね」と言うと、菜月は筐体を指さした。


すると、真理子があっという顔をして「そうですわ!松本も参加しなさい!お金はわたくしが出しますわ!最大人数ならきっと全クリできますわよ!」と明の袖を引っ張りながら言った。


「これか…まあ、いいよ。ちょっとだけなら。」明は顔をしかめながら渋々了承し、4人でゲーム機の前に立つ。


しかし、ゲームが進むにつれ、敵キャラの強さがましてきて、ステージのクリアが難しくなり、一人、また一人と倒れる。

そして、最後の一人となった真理子が、敵キャラの攻撃を食らいゲームオーバーの文字が画面の真ん中に大きく表示された。


「キー!なんですの!これ!あともう少しなのに!!」と真理子は仏頂面になりながら地団駄をふんだ。

そして、その様子をあらゆる角度から携帯で写真を撮る麗奈。


「あー、やっぱ無理か」と明が銃のコントローラーを筐体に戻した。

「これ、ラスボス前の敵がクソ強くて、ほとんど一撃で倒してくる鬼畜ゲーなんだよな、クリアしてるの見た事すらねーよ」と筐体の画面を指さしながら言った。


「えぇ、詐欺じゃん」と、その理不尽な設定に思わず菜月が文句をいう。


それを見た真理子は「今度絶対!リベンジ致しますわ!ね、菜月!」と言うと菜月にアイコンタクトを送った。

菜月は「絶対ね!」と返事をすると、真理子と硬い握手をした。


その後4人はゲームの攻略法についてや、他愛もない内容の談笑し、しばらくすると、それぞれが帰路についた。


--------------学校----------------

午後9時の職員室。


教師を初めて3年になる彼は、文化祭に関するお知らせを作成していた。後回しにしていたツケが今になって牙を向いてきたので残業して片付けていたのだ。

やっとの事でその作成が終わり、配布用のコピーをとるため、事務室へ向かい校舎内を歩いていた時、暗い廊下に生徒らしき人物が倒れ込んでいる姿が見えた。


「おい、大丈夫か?」と問いかけても返事はなく、相手は苦しそうにうめいていた。ここの学校の女子生徒の様だが、制服が赤黒いナニカで汚れている。


また、彼女の腕には、鮮やかな赤い傷が刻まれ、その周りには何か黒い影がうごめいていた。女子生徒の目は焦点が定まらず、あちこち向いていた。彼は慌てて救急車を呼ぼうと携帯に目をやった次の瞬間、彼女は歯茎を剥き出しにして彼へ襲いかかった。

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