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03 再会

翌朝木漏れ日に起こされたダリンとエラ。


「ねぇダリン、ママとパパの夢を見たの。よく覚えてないけど、嬉しかったの」

「そっか、良かっ…」ダリンが返事をしようとしたのですが

エラはダリンに抱きついて、ダリンの胸に顔をこすりつけた。

「エラぁ、よだれ拭いてるだろ」

エラはダリンから顔を離すと、にまぁと笑って、ダリンを見つめた。

エラに抱き着かれたダリンは、幸せな気持ちでいっぱいになっていました。

「まったくもう」ダリンはこの笑顔を見ると何も言えませんでした。

エラもダリンに抱き着いて、ますます幸せな気分になりました。

ダリンも嬉しそうにエラを見つめるのでした。


でもすぐに、交代で夜番をしてくれていたみんなの事を思い出しました。ダリンは無言で静かにエラから離れると、ハンモックを揺してエラを落とさないように慎重に降りた。

 そしてエラの事を抱きあげてハンモックからおろすと、ダリンは細い枯れ枝を拾ってきて、消えかかっている焚き火にくべた。何度か繰り返すとすっかり火は元気になった。エラはすぐに朝食の準備にかかり、昨日の残りを温めて、持って来た食料を追加すると、豪勢な朝食が出来上がった。


近くに沢はないので、新鮮な水が手に入らないのが残念なところだ。昨夜、夕食の用意の際にダリンが管を刺しておいた幹からたっぷりの樹液が採れていたので、眠そうな目をしているイヨツに渡すと、一口飲んだイヨツはすっきりとした味わいに目を見開いた。


「美味い」


イヨツは一口だけでも元気を取り戻したようで、眠そうだった目は回復した。


「ダリン手伝うぞ」そう言って、イヨツはダリンと一緒に食べられる草を集めた。

エラが、「もう出来たのに」と言いながらイヨツとダリンが採ってきた草を使って、もう一品作ったので、豪勢な朝食がさらに豪華になってしまった。


「豪華だなぁ」みんなは、森の中にもかかわらず、昨日と変わらない豪華な朝食に、とても満足した。


「こんな朝食を食べていたら、贅沢病になっちゃうぞ」イコシカが言うとエラが「いつでもこんなに沢山食料が手に入るわけじゃないですから、毎回こんな食事にならないと思います」とを釘を刺した。


食べ終わると、痕跡を残さないように全てを片付けた。だんだん森の中に進んでいくと、最初の頃よりも薄暗くなってきた。途中から罠が増えてきたので、ダリンがみんなに注意を呼び掛けながら進むことになったが、今日はなぜか動物が沢山襲ってきたのだ。

 幸い、イヨツ達がちょっと剣をふるえば倒せてしまう動物ばかりだったが、それでも一行は幼いエラがこのメンバーの中にいることが、自分たち全体の危険度を引き上げているのでは無いかと言う懸念を持ち始めていた。


その時、ガサガサっと音がして上から人が降ってきた。


「あっ」「「あっ」」降ってきた男と、エラ、ダリンが同時に声を上げた。

「だんれかと思っだら、おっまえエッラだな?、おめダリンでねぇか」降ってきた男が言う

エラは誰だか分らないようだったが、ダリンが「ゆっちゃば」と言うとエラも誰なのかが分かったようだった。


イコシカがダリンに「誰だ?」と聞いた。

ユッチャバが、「私はエッラの叔父だ」と名乗った。

ダリンが「エラのお母さんのお兄さんです」と説明をするとイコシカがユッチャバに向かい

「領主の命で、イシワラズワに向かっている所だ、ダリンに道案内をしてもらっている。」と説明をした。


イコシカがエラについて何も言わなかったので、不服に思ったエラが「エラは食事を作ったわ」と自分の仕事をアピールした。


ユッチャバは「エッラお前は偉いな、こんなに大人がいてエッラだけが食事の用意をしてきたのか?、ダリンお前はエッラに全部押し付けてるのか?」

と、ダリンを睨みつけた。


ダリンはいつもエラを大切にしていたつもりだったけれど、ユッチャバの言葉にエラへの配慮が足りていないことに気が付かされた。

しょぼくれた表情のダリンを見てエラはダリンに抱き着いた。「ダリンはいつも大事にしてくれてるよ」

エラの言葉にダリンは嬉しいような、情けないような気持になった。「エラ」と言ってダリンはエラを抱きしめた。


周りの大人たちは、温かい目で二人を見つめていた。

同時に、残してきた家族を思い出して、思わず涙ぐんでしまったのでした。


ユッチャバは、抱き合う二人を見て「おい、遊んでる暇ないんじゃないのか、も少ししたら日が暮れるぞ」

というので、二人は離れると、ダリンが「ユッチャバのところに泊まっていい?」と聞きました。

 ユッチャバはみんなを見回すと「こんな大人数うちに入らない」と言ってみんなを制するように、手を広げて振るのです。そしてしばらく考えるように黙り込みました。


イコシカが、「泊まれないのならば、どこか安全なところはないだろうか?」と聞きますが、ユッチャバは考え込んだまま答えようとしません。


ユッチャバは「イシワラズワに向かっているのだよな」

イコシカが頷く

「悪いことは言わない、イシワラズワへ行くのは辞めた方がいい」ユッチャバは静かに言うが、イコシカは少し困った表情で答える

「我々は領主様の命を受けている、イシワラズワに行って話をしてこなければならない」

少し間を開けてユッチャバは「もう日が落ちて何も見えなくなる。うちへ向かおう、柵しかないから見張りは立てなければならないが、ここにいるよりはマシだろう」

イコシカが「世話になる」とだけ言って一行はユッチャバについていくのだった。

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