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『第七章~コンバットフォーム』

 リッパーがシェルターがあるらしいビルの入り口前で煙草を吹いている頃、そのビルの裏手から入ったコルトは、同じく煙草を口にしたまま通路を歩いていた。

「前が殆ど見えねー……って、夜中にサングラスしてりゃ当然か。まー、いいか……あらよっと!」

 通路前方左から、ハイブが一匹飛び出してきたが、破裂音と同時に頭が吹き飛び、出てきた勢いのまま壁に激突した。コルトは二挺のシングルアクションアーミーを一秒ほどガンスピンさせてから、両方をホルスターに戻した。

「まずは一匹と。よぅ、クソ野郎。そんなに慌てて、トイレかい? ……もう一匹いやがるな。隠れてねーで出て来いよ」

 先ほどハイブが出てきた前方左にあるドアから、ハイブ・ナイフエッジが一匹現れた。コルトとの距離は五十メートルほどだが、通路に出てきてコルトを見たまま、止まっていた。

「ヘイヘイ。スピードだけが自慢のナイフエッジ野郎がじっとして、どうした? テメーもトイレ探してるってか?」

 軽い口調でコルトが言った直後、ナイフエッジがブレードを振り上げて猛速度でコルトに向かった。が、二歩目で両目の真ん中を中心に顔が吹き飛び、廊下の壁や天井に白い欠片と真っ赤な血を張り付かせて、コルトの右を走り抜けていった。二挺のシルバーのリボルバーは二挺とも腰のホルスターに収まっており、煙草と硝煙と血の匂いだけだった。

「どうだい? ブレットを頭に貰った感想は? 安いスチールジャケットだが、テメーらにゃそれでも勿体無いぜ?」

 ゆっくりと黒いウエスタンブーツを振って、コルトは通路を進んだ。

 通路は左に折れているようで、幾つかドアも見えた。通路の角に向けてゆっくり歩き、左を向いた瞬間に、コルトの腰でマズルフラッシュが二つ輝き、それが消える前に両手のシングルアクションアーミーはホルスターに収まっていた。

「これで三匹か。リッパーはガンガン撃ってるみてーだが、こっちは静かなモンだ」

 四十五口径のスチールジャケット弾を二発、目の間に受けた白い顔は、頭の前半分を吹き飛ばされて廊下に散らばっていた。

「左腕さんが言ってたシェルターってのは、あれだろうな」

 言いつつコルトは、シェルターの開放部へゆっくりと歩いた。


 リッパーは、煙草を大きく吸って吐いてから、ゆっくりとビルの中に入った。中は真っ暗だが足音の反響で、かなり広いようだった。

 視界は依然二メートルほどで、左肩を壁に軽く当てた。右手に大きなエスカレーターが見えた。左、前方は廊下のようだった。オフィスビルか何かに見える。両腕のヒートスリットが真っ赤に光っているので視界を確保出来ていた。排熱音がビルの中の埃を小さく巻き上げ、濁った空気を掻き混ぜる。埃っぽい匂いがした。

 数歩歩くと、頭部を壁にぶちまけたナイフエッジの白い体が幾つか横たわっていた。どれも仰向けで、首から真っ赤な血が流れている。

 近寄ると、気色の悪い真っ白な体が見えた。右手が一メートル半のブレードになっており、両腕のヒートスリットの光りを受けてこちらも赤く見える。一匹の左手の指が動いていた。それを通り過ぎて廊下を進むと、少し広いフロアに出た。

 ヒートスリットの片方を向けてみると、事務テーブルや椅子が散乱しているのが見えた。やはり、オフィスビルのようだった。ここも埃の匂いだけで、空気は濁っていた。外ほどではないが、冷え切っている。ブーツを前後させると砂利を踏んでいるような感触がした。床を見ると、それは砕けたガラスの破片だった。

 後ろに、頭を失ったナイフエッジの気配があったが、他には動く気配はなかった。

 リッパーは壁にそってゆっくりと歩いた。オフィス空間らしき部分の中央まで進むと、左に通路が見えた。ベッセルのマズルを向けたままゆっくりとそちらに歩くと、大きな通路に出た。

 五十五口径六連発ダブルアクションリボルバー、ロングバレルのベッセルの連続射撃による激しいリコイルを、全て両腕内部の緩衝ジェルで熱に変換して、ヒートスリットシステムで外に強制放出しているので、腕の外側に七箇所ある切り込みは赤く光り、排熱を続けている。通路に向かって数歩進んだ頃に排熱が小さくなり、灯りも小さくなった。ブーツがガラスだか砂利だかを踏む音とヒートスリットの排熱音だけで、通路は無音だった。視界は、一メートル程度。

 コルトがセンターマン役で先にいるはずだが、まだ気配も通信もない。

 左肩を通路の壁にそっと当てて、ヒートスリットの灯りでゆっくりと歩く。ベッセルを前に向けたまま左右を見ると、ドアが幾つか見えた。更に歩いていると、排熱が小さくなり、ヒートスリットの灯りも小さくなった。

 ビルの内部に灯りはなく、屋内を進むと前方視界は五十センチ程度だった。

「ステイダウン! ハリー!」

 イサナギが言うのと同時に、リッパーは反射で素早くかがんだ。

 上を猛速度で何かが通過した。濁った空気を切り裂いたのは、大きなブレードだった。かがんだまま両手のベッセルを一旦胸の前に戻し、足を伸ばして目一杯ブーツを振った。踵が何かを捉えた。床から飛び、振り返って右のベッセルを向けると、イザナギが叫んだ。

「シーカームーヴ! ライトワンロック! トリガー!」

 イザナギのコールと同時に右のトリガーを引くと、爆音で廊下の空気が弾けた。マズルフラッシュで目標が見えた。白いハイブ、ナイフエッジが床に倒れていた。五十五口径のアーマーピアシングでカーネルと頭を爆散させ、真っ赤な血を廊下の床に撒き散らしたナイフエッジが、四肢をばたばたと動かしていた。ブレードを杖代わりに立ち上がろうとしているナイフエッジに、リッパーは回し蹴りを入れた。左肩を蹴られたナイフエッジは廊下の右の壁に叩き付けられて、床に転がった。再び立ち上がろうとしたので、胸をブーツで蹴り付けた。

 一メートルほど飛んだナイフエッジは背中を床にぶつけて、そこで手足をばたばたとさせているようだった。ブレードが床を打つ金属音が廊下に数回響き、三十秒ほどして音が止まった。

「カーネル、クラッシュ! ヤー! ビンゴ!」

 ナイフエッジが行動不能になったことを確認して、リッパーは振り返って廊下をゆっくりと歩いた。ベッセルは前に向けたままで、先ほどのナイフエッジが出てきた辺りを目指すと、小さな灯りが見えた。

「シーカームーヴ! ライトファイブロック! トリガー!」

 イザナギが叫ぶのと同時に、右のベッセルのトリガーを五回引いた。

「カーネル、フルクラッシュ! シーカームーヴ! レフトフルロック! トリガー!」

 イザナギのコールと同時に左腕を真横に振って、左のベッセルのシリンダー内の六発を、弾き出した。

 マズルフラッシュで見えた白い顔が六つ、爆裂した。

「カーネル、フルクラッシュ! ダブルベッセル、リロード!」

 二挺のベッセルが空になったので、シリンダーをスイングアウトさせてマズルを向かい合わせ、プッシュロッド同士をぶつけて薬莢をはじき出し、両肩の小型アームに二つのバレルを当てて固定し、ガンベルトから片手三発、両方で六発の弾丸を抜き、それをシリンダーに入れるのを二回で、ベッセルは再装填された。

 残弾は十二発。

「シーカームーヴ! ダブルロック! ヤー! バックショット! トリガー!」

 両肩に乗せていたベッセルのグリップを握ってトリガーを引き、背中がマズルブラストで光った。リッパーの背後二メートルにいたハイブ・ネイキッドの二つの顔が破裂して、通路の天井と壁が赤くなった。

 残弾は十発。

 コンクリートで囲まれた狭い通路でリッパーは、ハッチを見ながらその先にベッセルを向けて、イザナギが叫んだ。

「シーカームーブ! レンジ、ファイブ! ダブルロック、トリガー!」

 マズルブラストで真っ黒な通路が輝き、こちらに向けて全速力だったハイブ・ナイフエッジの二つの顔が弾けたが、二匹の右腕のブレードが猛速度で二つ、リッパーの顔に向かってきた。ブレードの先端を二挺のベッセルのグリップ底部で二つとも受け止めたると、そのままブーツが後ろに二メートルほど滑った。グリップ底部で先端を砕かれたブレード二本を押し返して、頭を失った二匹のナイフエッジは首から血を吹き出しながら仰向けに倒れた。

「カーネル、ダブルクラッシュ!」

 残弾は八発。

 シェルターのハッチからナイフエッジが一匹飛び出して、ブレードをリッパーの頭の右に振ってきたので、リッパーは右のベッセルのカウンターウエイトでそれを受け止めてた。

「シーカームーヴ! レンジ、ゼロ! レフトワンロック! トリガー!」

 イザナギのトリガーコールに合わせて左のベッセルのトリガーを引くと、目の前にあった白い頭が右に吹き飛んだ。

 ベッセルの残弾は、左が三発で右が四発。咥えていた煙草が全て灰になって落ちた。

「シーカームーヴ! レンジ、フォー! ダブルロック! トリガー!」

 左右のベッセルのトリガーを引くと、マズルブラストで目の前が光り、二つの白い顔が弾けるのが見えた。

「カーネル、ダブルクラッシュ! ハーハーハー!」

 ベッセルの残弾は、左が二発で右が三発、合計五発。

 ゆっくり近付いて左腕の真っ赤なヒートスリットを向けると、それは大きなハッチだった。正方形で二メートルほどあり、分厚い。ハッチの断面は何層もの金属板で、ベッセルと同じくらいのボルトが三本見えた。ハッチのロック部分らしい。ハッチに向かって歩くと、気配があった。ヒートスリットが両方とも排熱を終えたので、視界はそのハッチからの小さな明かりのみだった。もう二歩進んで止まり、リッパーはベッセルをハッチに向けた。階段が見えた。小さな灯りはハッチの中からだった。

「熱源二。一方は傭兵コルトです。シェルター内部にカーネル反応なし、ESP反応なし、トラップなし。酸素レベル正常、ガスもありません。重爆撃対応仕様のシェルターで、他に移動物体はありません」

 イザナミが告げた。

 普段ならベッセルの射撃中に、ヒートスリットの排熱状況や駆動制御の状態を音声で伝えるのだが、目標が夜間の屋内で、そこにハイブがいる可能性があったので、ビルに入る手前からずっと無言だった。

 イザナギも同じくで、外で明るい時は、倒したハイブの数などをカウントしたり、リロード要請をするのだが、ハイブは目と耳の感度が人間の十倍近くなので、マルチロックシステムを働かせたまま言葉数を減らし、いきなり出現したハイブには、エイミング過程は省いて「トリガー」「カーネル、クラッシュ」をコールしただけだった。

 イザナミがハッチ内部に危険がないと言ったので、リッパーはベッセルを肩に戻した。

 ガイドレールにある小さなアームがバレル上部を掴んでベッセルを定位置に動かしてから、背中に移動、収納された。ヒートスリットの排熱は完了しており、灯りもない。両腕、銀色の表面が少し熱を持っていたが、人肌程度だった。

 リッパーは、マント内側のポケットから煙草とオイルライターを持ち出して、咥えた一本に火を付けた。大きく吸い込んで、溜めてから細く吐き出した。それで頭がクリアになった。 シェルターらしい地下部分への入り口は二メートル四方の大きさで、同じサイズの分厚いハッチは床から四十五度くらいで傾いていた。ハッチの厚さは八十センチほどだった。太いロックボルトが三本、断面から伸びていた。イザナミが重爆撃対応仕様のシェルターだと言っていた。確かにこれくらいなら、上のビルが倒壊しても内部に影響はないだろうし、航空機からの対地貫通ミサイルでも抜けないだろう。イザナミの策敵網に掛からなかったのも頷けるし、先ほど、廊下で遭遇したナイフエッジもここから出てきたのであろう。

 最後のハイブ・ナイフエッジと交戦したのはハッチから五メートルほどだった。ナイフエッジは通常のハイブよりも移動速度が速いので、五メートルなら一秒以内でブレードを向けてくるし、実際そうしてきた。


 ナイフエッジの出現時、イザナミの反応が一瞬遅かったのは、駆動系がガンファイト、特殊射撃戦モードだったからだった。コンバットフォーム、白兵戦駆動だったらもう一瞬速かっただろう。

 夜間戦闘や屋内戦闘は当然、イザナミにもイザナギにも想定されているが、リッパー自身、悪条件二つが重なる夜間屋内戦闘の実戦はこれが始めてだった。十匹のネイキッドを行動不能にさせて、十匹のナイフエッジも同じくで、屋内戦闘を避けるために、残りのナイフエッジは外からベッセルで、壁越しに破壊してから建物に入った。コンクリートの壁ならば、それが一メートルほどの厚さでも反対側までカヴァー出来るのだが、衛星を使わない場合はサーマルやナイトビジョン、マグネグラフ、エックスレイ、レーダーパルスや照準パルスをミックスさせても精度は落ちるし、レスポンスも少し低い。

 しかも、イザナミは外、千メートルほどにあるV8ブラックバードの周囲も警戒範囲内に入れていた。近距離だが、リッパーとイザナミが建物の中に入ると、ブラックバードとリッパーをカヴァーしなければならないイザナミにはかなり無理をさせることになる。策敵担当のイザナミは地雷やガス、遠方からの狙撃や誘導ミサイル、自爆装置から衛星軌道上からの砲撃まで、あらゆる全ての状況をカヴァーしなければならない。イザナギも、マリーのインドラ・ファイブのサポート待機なので、千ほど離れると、若干レスポンスは落ちる。

 リッパーはシェルター入り口の前でゆっくり煙草を吸って、少し反省していた。


 ハイブを相手に屋内戦闘を仕掛ける兵士などいない。

 逆の防衛戦闘はあっても、ハイブが待ち構える建物の中に入るということは、ほぼない。世界に点在するハイブ生産工場は地下なので、そこを制圧するという作戦はあるが、基本的に白兵戦で挑んでくるハイブと、視界の狭い屋内で戦闘するというようなことは皆無だった。

 建物にハイブが潜んでいても、外で待機していれば出てくるので、そこを狙撃する、というのが定石だった。

 リッパーが不利だと承知して夜間の、電源の死んでいる建物に入ったのは、そこがシェルターで、誰かが生き残っているかもしれないから、という判断からだった。

 シェルター仕様でイザナミで内部を探るのが無理だったので、自分で確認しようと突入を掛けて、捉えたハイブは外からベッセルで行動不能にしたが、予想通りナイフエッジが、シェルターから出てきた。あの状況で一般の兵士ならば、間違いなく即死だっただろう。

 昼間、ケイジのラボでコルトがドクター・アオイに、FN-FAL・G2アサルトライフルを屋内で使ってハイブを倒すことはほぼ不可能だと説明していた。相手がネイキッドよりも素早いナイフエッジで、しかも夜間で灯りが無ければ、敵がいることを察知するより先にネイキッドに首をはねられて、それでお仕舞いだろう。

 リッパーがそれに対応出来たのは、リッパーが近距離、白兵距離を得意としているからだった。


 Nデバイス、イザナミとイザナギのサポートで、ゼロから二キロ以上のロストレンジまでの、オールレンジに対応出来るし、改良後のベッセルの有効射程は二千五百メートルと、スナイパーライフルほどなので、五百メートル以上の長距離からの射撃で殆ど対応しているが、得意なのはナイフを使った白兵、海兵隊の体術であるコンバットフォームだった。

 ナイフエッジの一撃をイザナミの策敵よりも早くでかわしたのは、イザナギのコールもあったが、空気の揺れと音に体が反応したからで、頭をベッセルで破壊した後の二度の蹴りも、無意識で出たものだった。

 その前、建物の外で頭部を失ってまだ走るナイフエッジをベッセルで殴りつけたのは、ベッセルが、銃を鈍器として扱うストライクガンだからである。ロングバレル下部のカウンターウエイトは振り回せばハンマーのようだし、そこに、ショット・プロジェクションと呼ばれる三つの突起もある。グリップ底部にはストライクファング・システムと呼ばれる四枚のナイフが収納されていて、これを使えば強力な一撃になる。ストライクガンとしてベッセルを扱ったのも、無意識で体が勝手に反応したもので、こちらもコンバットフォームの一部である。


 煙草を全て灰にして、リッパーはハッチを覗いた。小さな灯りがふらふらと動いていた。

「リッパーか?」

 コルトの声が聞こえた。ええ、とリッパーは返して、階段を下りた。小さい光がリッパーの顔に向けられた。コルトがハンディライトを使っているようだった。

「大きな銃声が幾つも聞こえたが、リッパーか?」

「そうよ。ハイブが、ナイフエッジがここから飛び出てきたから。頭を破壊したから大丈夫よ」

「入れ違いか、すまんな。センターマンなのに後ろを取られちまった」

「いいわよ。コルトは反対側から入ったのね? 入れ違いで良かったわ。灯りがなくてナイトビジョンなんかがないと、コルトでも苦労するでしょうし」

 小さな灯りが見えた。コルトが煙草に火を付けたようだった。

「まあ、そうだな。あれだけ暗いと、相手がナイフエッジなら当てるのは少し難しいな。他にハイブは? こっちで見つけた分は潰したし、ここは一通り見た。モバイルも見たが反応はないが?」

「外は今の所クリア。ブラックバードのほうも安全みたいよ。で? 誰かいた? イザナミは人がいるようなことを言ってたけど?」

 同じく煙草を咥えて火を付けて、リッパーが尋ねた。

「あっちだ。気絶しているらしい。残念ながら男だ。妙な格好をした、俺と同じくらいの年齢の野郎が倒れてたよ。左腕さんが見つけたのはそいつだろう」

 言いつつコルトはシェルターの奥にライトを向けて、歩いた。リッパーもそれに続いた。足音の反響は、かなり広いシェルターのようだった。イザナミが二百人収容といっていたから、それくらいなのだろう。コルトが向けたライトに男性の後ろ頭が見えた。黒髪で、ポニーテールのように結んでいる。コルトが体を照らすと、紫色の着衣が見えた。手や足がかなりゆったりとした、大きなものだった。うつ伏せで倒れている。

「何だかダイゾウみたいな雰囲気で、随分と大柄ね。カサブランカ・シティの生き残り、ではなさそうね。ほったらかしって訳にはいかないから、とりあえず外に運びましょう。アオイさんに診て貰いましょう」

「オーケー、俺が運ぶよ。そこに長いブレードがある。多分こいつの獲物だろうから、そっちは頼むよ」

「ブレード? ああ、これ? 随分と長いのね? 刃の部分だけでインドラ・ファイブくらいある……抜けない。鞘の中は錆び付いてるのかしら? 他に、その人の持ち物らしいものは?」

「ないな。バッグも食料も、寝袋なんかもない。こいつ、重いな。野郎の腕枕なんざこれが最初で最後だ。マリー? 聴こえるか? コルトだよ。お客さんを連れて行くから、アオイをスタンバイさせておいてくれ。怪我はないようだが意識がないみてーだ」

 通信機に、はい、とマリーの声が聞こえた。

「マリー? こっちは片付いた。そっちに変化は?」

「何もないわよ。かなり撃ってたみたいだけど、そっちは大丈夫なの?」

「あたしもコルトも健在よ。ハイブも全部片付けたし、今のところイザナミの策敵もクリア。アオイさんは?」

「最初の銃声が終わったあとに、寝ちゃったみたい。誰かいたの?」

「ええ。確認しておいて良かったわ。詳しい話は後で。変化があったら知らせて、じゃあ、後でね」

 通信を終えたリッパーは、コルトからハンディライトを受け取り、三本目の煙草に火を付けて、階段を上った。ライトが一本あるだけで移動が自由だった。普段、イザナミに頼ってばかりなので、リッパーはそういったものは持ち歩いていない。さすがはコルト、といったところだ。


 五分ほどかけて大男をブラックバードの横まで運んだコルトは、煙草に火を付けてストレッチをしていた。

 ブラックバードのルームライトで照らされた男は、コルトと同じくらいの身長だった。上着の袖は腕が五本くらい通りそうで、足も同じく。全体が紫で、襟元のデザインがダイゾウの白装束と同じく交差していて頑丈そうな胸板が見えた。黒い髪はバサバサで、後ろもバサバサなポニーテール。顎が尖って無精ヒゲで、コルトを大柄にしたような雰囲気だった。そして、黒くて重そうな、見たことのないデザインのシューズを履いている。

「ふあ……えっとな、脱水と過労やな。怪我とかはないみたいやし、栄養剤一本打てば、そのうち目覚めるやろ。んで、この人、どないするん?」

 カバンから注射器を持ち出したドクター・アオイは、男の右腕にそれを刺した。小さなライトで目を見て、脈を取って、煙草を咥えて火を付けた。

「置いてきぼりってのは気が引けるし、ラバトまで送りましょう。ブラックバードの後ろに収まるかしら?」

 リッパーに応えたのはマリーだった。

「インドラ・ファイブとマグのバッグがあるから狭いけど、大丈夫でしょう」

「ん? ウチの横にこん人乗せるん? 狭いなー。まあ、しゃあないけど」

 診察と注射一本を済ませたドクター・アオイは、煙草を吹かしながらブラックバードのリアシートに戻った。マリーはバケットシートを移動させて、リッパーと一緒に男を引きずった。コルトはナビシートに戻り、同じく煙草を吹かしている。リッパーとマリーは男をリアシートに押し込めて、ドクター・アオイの隣に座らせた。リアシートはかなり狭いので、ドクター・アオイは膝を抱えている。黒いギターケースは足元に置いて、水筒からコーヒーを注いで飲んでいた。

 リッパーは煙草を咥えたままバイクにまたがり、それを灰にしてからゴーグルを付けてマフラーを巻き、イザナミに策敵させた。

「五十キロ圏内に移動物体はありません、状況はクリア。カーネル、EPS反応なし。ハイウェイ上に障害物がありますが、通過できます。地雷他のトラップの反応なし。駆動系は通常。ヒートスリットの排熱は終了、デバイスに異常はありません」

「イザナギ?」

「AFCSオフ、インドラのFCSオフ。マルチロック、オフ。リッパー、レフトベッセルが四発、ライトベッセルが三発カラだ、リロード」

 言われたリッパーはベッセルをジャンプアップさせて、腰から抜いた弾丸をシリンダーに入れて、ベッセルを収納した。バイクのキックペダルを蹴ろうとしたところに、マリーの声が入った。

「目が開いた! この人、生きてるみたい。真っ黒い目、まるでダイゾウさんみたいで――」

「ツルヒメ!」

 聞いたことのない声がマリーの通信機から響いた。びっくりしたマリーが小さく叫んだ。

「あら、もうお目覚め? ツルヒメ? どこの言葉かしら。アオイさん、解る?」

「んー? ツルヒメて、鶴姫{つるひめ}やろ。えっとな、鳥の鶴に、お姫様の姫で鶴姫や。知り合いなんちゃう? よう解らんけど」

「ハロー。私はマリー、マルグリット・ビュヒナー。アナタ、誰?」

「……鶴姫? いや……違う。似てはいるが瞳の色も髪の色も違う。歳もずいぶんと上のようで……どなたか知らぬが、拙者、名は、須賀一刀斎敬介{すが・いっとうさい・きょうすけ}と申しまする」

 随分と低い、重い声色だった。

「何? スガイットウ……失礼、もう一度、お願い出来るかしら?」

 マリーが尋ねた。

「拙者の名は、須賀一刀斎敬介、旅の者でござる。そちらは、マルグルグル……」

「ゴザ? マルグル? スガイト? 私はマルグリット・ビュヒナーで、縮めてマリーよ」

「マルグルット・ヒュビナー嬢、拙者は、須賀一刀斎敬介{すが・いっとうさい・きょうすけ}と申しまする、旅の者」

「マルグルじゃなくって、マルグリットで、ビュヒナーよ? スガ・イットウサイ・キョウスケさん? ……変わった響きね。東の辺りの人?」

「マルグリット・ビュヒナー嬢、拙者は……そう、ここより東、遥か東の生まれでござる」

「ザル? スガ・イットウサイ・キョウスケさん……って、どれがファーストネームなの?」

「ファースト? いや、拙者、姓は須賀{すが}、名は敬介{きょうすけ}、一刀斎{いっとうさい}は師より授かった二つ名でござる」

 会話を聞いていたリッパーは、コルトに言った。

「コルト、予備の通信機、渡したわよね? それをその……スガ・イットウサイ・キョウスケさん? その人に渡してあげて」

「ああ。ほら、こいつを耳に付けな、ミスター・イットウサイ。使い方、解るかい? 一番左のスイッチを押せば通信オン・オフだ。俺はコルト、コルト・ギャレット、傭兵だ。死神コルトで通ってる。ガンマンだの二挺拳銃だのスカルマンだのと色々とあるが、好きに呼んでくれ。アンタ、俺と同じか少し上くらいだな。呼び捨てでいいよ。煙草、いるかい?」

「煙草? ありがたい、頂きまする。通信とは? これは……ふむ、小型電話器であるな、感謝します、死神殿。拙者、名は須賀一刀斎敬介。近い知人は一刀斎と呼びますが、未だその名に相応しき腕には至らぬ未熟者。ミスターとは、こちらの辺りの敬称でござるな。未熟者ゆえ、一刀斎を名乗るは百年早いが、よろしければそう呼んで頂くとありがたいでござる。……ふむ、不思議な味のする煙草でござるな?」

「気に入ってもらって何よりだ、一箱やるよ。火は隣の美人さんからもらってくれ。ドクターで、名前はアオイ・ツユクサ。ミスはしないんだとさ」

「ドクター? 医師であったな、アオイ殿、火を頂き、感謝します。拙者を治療して頂いたようで、同じく深く感謝します。然るに、拙者の骨喰{ほねばみ}は? あれがなくては話にならぬ」

 リッパーが入った。

「あたしはリッパー。ホネバミって? ああ、アナタのロングブレードね。後ろにあるわよ。体の具合はどお? 随分と消耗しているように見えたけど?」

「おお! 骨喰{ほねばみ}よ! 感謝の極みでござる。……リッパー? 聞いたところ女性のようだが、随分と奇怪な名で……いや、失敬」

「いいわよ、ミスター・イットウサイ。リッパーはあだ名だから。あたしは海兵隊、軍人よ。アナタ、ここ、カサブランカ・シティの地下シェルターにいて、あそこからかなりのハイブが出てきたけど、大丈夫? アオイさんは脱水と過労って言ってたけど?」

「カサブランカ? そう、拙者は……む? 飲み物? ありがたい。喉が渇いて……ぐは!」

「ヘイヘイヘイ、ミスター、大丈夫かい?」

 イットウサイと名乗る男がむせていた。

「失敬。拙者、苦味はちと苦手で……いや、贅沢は申せんな、頂く。この七日間、飲食はしておらぬ故、大変ありがたいでござる。ふむ、生き返る心地でござる」

 七日間! とマリーが叫んだ。

「マルグリット嬢、であったかな? こちらの言葉に慣れぬ故、発音が異なるかもしれぬが、勘弁願いたい。七日間までは数えておったのですが、以降は意識が薄れて、もう七日間ほど過ごしたかもしれませぬ。ここは……車でござるな? 拙者、車は少々苦手なのだが……いや、贅沢は申さぬ。生きてこその修羅の道ぞ。見た所、旅の方のようだが、出来れば北を、海を向かうのであれば同行させて頂きたい。道中共にすれば、命を救われた礼の一つも出来るかもしれませぬ」

「イットウサイさん? 二週間も飲まず食わずなの? 食料と水がトランクにあるから、待ってて」

 マリーがドアを開き、リアトランクから水筒と食料を持って、戻った。

「二週間とは……ミスター・イットウサイはタフガイだな。俺なら三日でミイラだよ」

 コルトが呆れ半分で言った。

「死神殿は二挺拳銃であったかな? 傭兵とは雇われの兵士でござるな? 武器こそ違うが、拙者も似たようなことをしておりました」

 ヒュー、とコルトが口を鳴らした。

「何だ、同業か。ヘイ、タフガイ。アンタ、ひょっとして……シノビファイターかい?」

「シノビ? いや、拙者はサムライの端くれ。修行中の未熟者でござる。一刀斎の名を注ぐべく、旅を続けております」

「サムライ? そいつは?」

 コルトが尋ねた。

「太刀を振るうがサムライ。拙者は、はした金を頂き、我が分身、骨喰と共に旅をしておりまする」

「ホネバミってのは、アンタのブレードの名前か? まるでダイゾウだな。獲物のシルエットもダイゾウのに似てるな。サムライってのはブレード使いかい?」

「いかにも。骨喰を振るうが拙者の全て。死神殿は拳銃を扱う者の目をしておりますな」

「ほう……サングラスごしで、いい目だな。俺の獲物は二挺のリボルバーだ。名前はないよ。古いシングルアクションアーミーだ。腕前は、まあそこそこだよ。ミスター・イットウサイは北か。俺たちも北だよ。ラバトにある空軍の駐屯地に向かってるから、途中まで乗ってればいいさ」

「ラバト? 北にある軍の基地の一つにそのような名があったような覚えがありまする。駄賃の足しになるか解らぬが、手元にはこれだけ故、受け取って頂きたい」

「いやいや、金はいいさ。なあ? リッパー?」

 コルトがリッパーに尋ねた。

「……お金は要らないわよ、イットウサイさん。狭くてよければそこに座ってて。あたしたちはラバト、ここから北に向かうんだけど、進路が一緒なら遠慮なく。食料も水も余分に持ってるから、遠慮なくどうぞ?」

「リッパー殿であったか? 命から足、食料とは、恐縮でござる。拙者、未熟者ではあるが多少の腕前はあるつもり故、役に立つのであれば何なりと」

「ホネバミ・ブレード、だったかしら? 勝手に触ってごめんなさいね。あのブレード、鞘から抜けないようだったけど?」

 マリーが入った。

「お待たせ。はい、イットウサイさん。水筒の中は普通のお水で、缶詰の中身はお肉。あと、これ、チョコバー」

「我が分身たる骨喰は……おお! 至れり尽くせり、大変恐縮ながら、ありがたく頂きまする。こちらが……チョコバー? 何やら甘味のようで……ぬおっ!」

 イットウサイと名乗る男が声を挙げた。

「あれ? イットウサイさんは甘い物は苦手だった?」

 マリーが尋ねる。

「これは! 衝撃的な美味! 都会は素晴らしい! このようなもの、拙者は初めてでござる! さぞかし値の張るものであろうに」

「うん? いいえ、安いけど? いっぱいあるから、全部あげる。イットウサイさんって、ひょっとしてダイゾウさんのお知り合い?」

 マリーが尋ねて、イットウサイと名乗る男が応えた。

「ダイゾウ? いや、聞かぬ名だが、高名な、もののふであろうか?」

「モノノフ? ダイゾウさんはシノビファイターなの。とっても強い人で、アナタのブレードに似たものを二本持ってたわよ?」

 リッパーが割り込んだ。

「シノビのダイゾウの武器は、アナタのものより短い二本のブレードでね、名前は確か……鳴神{なるかみ}に雲絶{うんぜつ}」

「太刀を二本? 鳴神{なるかみ}? 雲絶{うんぜつ}? かなりの業物のようでござるな。ダイゾウなるお方は、二刀の達人であるようですな。拙者も修羅を目指す身。手合わせの一つでも願いたいところでありますが、どちらにいらっしゃる?」

「ダイゾウさんは、手紙だと、月か火星に先に行ってるって」

「ほう! 月! 火星! ……既に地上に敵はいないのでござろう。ダイゾウなる人物、悟りの境地を超えた達人のようでござるな」

「サトリ? ……ああ! ダイゾウさん、そんなこと言ってたわね。えっと……カイガンでサトリって」

 マリーが、ダイゾウが言っていたことを説明した。

「何と! 開眼、心眼{しんがん}の領域とは! 文字通りの最強が一人。拙者、悟りにあと一歩を数年、心眼は未だ遠き道。見切りと霞{かすみ}に留まる未熟者。先は長いでござる」

「ミキリ? カスミ? それって……サムライ? その技とか、そういうもの? ダイゾウさんもシノビファイトって言う体術を使ってて、魔法みたいな技に名前があったわよ? ライチョウの構え、とか、ライデン変わり身の構え、とかって」

「雷鳥に雷電……雷{いかずち}をまとう技のようでござりますな。ダイゾウ殿は雷の化身なのでござろう。拙者の見切りと霞は、サムライの技の一つでござります。故郷でこれを会得し、次を目指すべく旅に出たのですが、悟りは未だ得られず不甲斐ない未熟者ぞ。骨喰を振るうが、真の力はまだ発揮出来ておらぬ、いやはや、情けない限りぞ」

「ホネバミって……イットウサイさんの武器、ブレードよね? リッパー、あれ、鞘から抜けないって、そう言っていたけど?」

「骨喰は主を選ぶ故、拙者にしか使えぬ一刀。拙者が命を散らし、次の主を得るまでは拙者の分身でござる」

 ふーん、とリッパーが入った。

「つまり、あのホネバミ・ブレードはアナタ、イットウサイさんにしか扱えないっていうことね? 個人認識のセフティでも掛かってるのかしら?」

「リッパー殿であったかな? そう、骨喰は使う者を己で選びまする。拙者は骨喰と共にサムライの最強が一人を目指す者。失礼ながらリッパー殿? そちらに、骨喰と似た気配を感じるのでござるが、リッパー殿もサムライであろうか?」

 イットウサイがリッパーに尋ねた。声色に疲労は感じられない。

「あたし? あたしは海兵で、武器はコルトと同じくリボルバー。似た気配って……ひょっとして、天羽々斬{あめのはばきり}かしら? シノビファイターのダイゾウから借りてるソードよ? あたしはソードは苦手だからあまり使わないんだけど、切れ味はかなりだったわよ?」

 と、イットウサイが声を挙げた。

「ハバキリ! 物の怪を絶つ魔剣の一本! リッパー殿はハバキリに選ばれし者でありましたか。大変失礼致しました。機会があれば一太刀交えたいでござるな」

「まあ、チャンスがあればそういうのもいいけど、多分あたしじゃあ物足りないと思うわよ? あたしのメインアームはリボルバーだし、ハバキリは持て余してるからね」

「いやいや、謙遜なさるな。ダイゾウなる最強が一人に魔剣ハバキリを託され、それを振るうは達人の領域。拙者もリッパー殿と肩を並べるべく、短い道中ながら修練を進ませてもらいまする。未熟者ながら、骨喰と共に行かせてもらうが故、改めて感謝しまする」

 通信機越しでイットウサイが頭を下げている風だった。

「そんなに遠慮せずに、リラックスしていいわよ? まあ、出会ったのも何かの縁でしょう。進路が同じ間は好きにして?」

「ありがたきお言葉! 感謝の極みでござる。不肖、須賀一刀斎敬介、以後、お見知りおきを。マルグリット嬢も、死神殿も、アオイ殿も、よろしくお願い申しまする」

「ああ、ミスター・イットウサイ。よろしくな」

「私も。イットウサイさん、マリーでいいわよ?」

「ウチはオマケみたいなモンなんやけど、まあ、よろしゅうな。これでもお医者さんやから、怪我とかあったら呼んでーな」

 三人にリッパーが続いた。

「あたしの他にもう二人ほどいるんだけど、まあ後ほどね。一服付けたし休憩にもなったし、イットウサイさんも元気になったみたいだから、マリー? そろそろ出ましょう? イットウサイさん、通信はそのままにしておいてね。それがないと移動中は会話が出来ないから。バッテリーは問題ないし、予備も幾つかあるから、不具合があったら伝えてね。狭いでしょうけど、食事したり一服したり、リラックスしてて。じゃあ、出発しましょう」

 リッパーはキックペダルを蹴ってバイクに火を入れ、マリーもブラックバードのイグニッションを回した。爆音が二つ、無人のカサブランカ・シティのビルを震わせ、二台は走り出した。時間はもう深夜。周囲は真っ黒で冷たく、ゴーストタウンに不気味な風が唸っていた。

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