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働け、魔法少女!  作者: 螺子
第一章「宝石王子と魔法少女」編
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8.どう考えても場違いです

初めてのポイント&ブックマークを頂きました!

評価して下さったお方、ありがとうございます!大感謝です!!

ヘッセン伯爵領に滞在して数日が経った。

私はルイーゼさんやフランチェスカから、"貴族らしい振る舞い"の指導を受けつつ、ノイエンアール王国の貴族としての一般教養……歴史や地理などをひたすら勉強していた。

何故、圧縮学習を使う予定だったはずなのに勉強してるのかって?

それは勿論、ヒューが持ってきた圧縮学習機には欠点があるからだ。

それは、使用中に猛烈な頭痛に襲われる事と、圧縮学習機を使っただけでは記憶が定着しないこと。

ヒーロー研修の時に使ったものは設置型だが、こちらは携帯型のために性能が落ちるらしい。

つまり何が言いたいかと言うと……


「わざわざ頭の痛い思いをしてまで圧縮学習したのに、おんなじ事をもう1回勉強しないといけないってどういう事よ!?」

「しょーがないでしょ、長期記憶にするためには必要なことなの。言ってること分かるよね?」

「馬鹿にしてます?」

「事実です。圧縮学習機がしてくれるのはあくまで膨大な記憶を短時間で流すだけ、短期記憶を長期記憶にするには反復練習がいるって……学校で習ってるよね〜?」

「ぬぬぬぅ……!!……はぁ、勉強せずに記憶できるなんて上手い話、結局無いのね……」


私はそうぼやきつつ、ヒューにしごかれながらシャープペンシルを動かした。



そして、あっという間に時は過ぎ……

今日はセレスティアル学園に、サヤベル・スメットが転入する日である。

制服が届いた時に可愛いとはしゃいで、上がったテンションは現在進行系で下がりまくっている。


……嘘でしょ、こんな所で私、生活するの?


まずは、入る前から威圧感を半端なくこちらに与えてくる正門である。

豪華な装飾は、ノイエンアール王国の貴族のみが通うという名にふさわしく荘厳で美しい。

庶民生まれの庶民育ちである私は、その時点でかなり怖気づきそうだった。


……私はヒーロー私はヒーロー、この程度が何よ大丈夫大丈夫………うぅ、やっぱり場違いだよ……


丁度授業の終わりなのか、貴族のご子息や令嬢が行き交う中庭をフランチェスカと通りつつ、周囲のきらびやかさと私を比べてかなりへこんだ。

ノイエンアール王国では、貴族は皆手袋を付けている。

何故なら、素のままの手でものに触れる事を恥ずかしい、とする風習が有るからだ。

なんでも昔、接触によって伝染る疫病が流行った時の名残もあるという。


制服は基本共通なので、違いが如実に現れるのは手袋だ。

他の子は皆、豪華なレースで飾った手袋を付けているのに対し、私の手袋はシンプルで装飾などない白手袋。

フランチェスカは、名義上私を虐めている"悪役令嬢"らしいので、私が質素な手袋を付けているのはロールプレイング上では妥当だろう。


……だけど、やっぱり気になるんだって!


自分の場違い感を押し付けられているような気がしてならない。

私は自分の手を隠すように後ろにやって、こそこそと歩いた。

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