14.生徒会への道
「ふふっ、それじゃあ本題に戻ろうか」
シルヴァンさん……改め、殿下はにこやかに笑ったまま、私に座るように促した。
私が微妙な顔のまま座ったのを確認すると、ニイルさんが手元に書類を携えつつ口を開く。
「これより、サヤベル・スメットの生徒会入り、及び生徒会書紀就任についての議論を始める……何故ですか、殿下!?いくら殿下の信用があると言っても……!!」
どうやらニイルさんが議長?というか司会のようで、重々しい雰囲気で言ったあと、直様顔をしかめて叫んだ。
……それは私も思います。え?あの、生徒会に入らされる所だったとか聞いてないんですけど。は????
「なあ、少し良いか?」
手を上げたのはチャラっぽ男さん。先程のニヤニヤ笑いは何処へやら、目を細めて私を射抜く視線は、剣呑と言っても差し支えない鋭さで、思わず息を呑む。
「……なあ、俺達は全くもって、サヤベル・スメットやらの情報を知らないんだが。生徒会長とは言え、勝手にそういう事をされちゃあ困る。他の役員への配慮も無きゃ」
「…………私は、能力もない人を此処へ入れるつもりは微塵も有りません。彼女が能力を証明しない限り、私は認めませんから………」
続けて言ったのは、目を奪われる程美しい容姿の女性だった。私の方をちら、と見やったかと思うと、直ぐに目線を逸らされた。
……うぁぁぁあ、やっぱりほら、皆好意的じゃないよ。そりゃあそうだよね、ちょっと人助けしたからってこれはやり過ぎで………いや、少し考えたら、これは護衛する絶好のポジションなのでは?いやいやいや…………面倒だし………
私が一人悶々としている横で、周囲の雰囲気に少し気圧されつつも発言したのは眉が下がっている、いかにもおどおどした少年だった。
「……え、ええと、僕は……その、能力が有ることが証明出来れば、入るのは問題ない……と、思います。…………二年生一人だけっていうのは心細いし早めに仲間が増えて欲しいそして盾にしたい………」
最後の方にボソボソと小さい声で言っている内容が不穏では有るが、この人はそこそこ好意的のようだ。
……能力って何でしょう、私ヒーローである事以外は平凡なんですが。どうしろと?
私は戦々恐々と殿下の言葉を待つ。笑顔を崩さない殿下は、役員さん達の意見を聞いた後、立ち上がって口を開いた。
「……それじゃあ、こうしよう。サヤベル・スメット、君には"人助け"をしてもらおう……対象は、各生徒会役員の悩み、だ。君の得意分野だろう?全員の承認が貰えれば、生徒会書紀として正式に入ってもらう、それまでは仮として扱う………これで異存はないだろう?期待しているよ、うさぎさん」




