プロローグ
不定期更新です
目の前にいるのは超巨大竜
その竜を前に俺は剣を構えて立つ
仲間の魔法が俺たちの力を底上げしてくれた
「今よハジメ!」
「おう! 一葬牙!」
俺はスキルを発動し、竜の牙を叩き折った
「フルフレイム!」
「凶拳!」
ひるんだ竜に魔導士のレイナと格闘家のソウイチが最大ダメージを狙える魔法とスキルを叩き込む
「とどめだ! 聖獣の一閃!」
剣に聖獣の力を込めた俺の最大級の剣技スキル。それが竜の首を捕らえた
竜の体力を無事削り切れたようだ
巨大な体が首を失い、ズドンと倒れる
「よし、よしよしよしよし! やったぞ皆! 俺たち、ついに裏ボスを倒したんだ!」
「ヒャッホー! よくやったハジメ! さっすがー!」
「一時はどうなるかと思ったけど、俺たちならやれるって信じてたぜ」
「私の強化魔法、どうでした?」
「ばっちりだったぜクララ」
俺たちはついに、レイドノルオンラインというVRMMOの世界で、最強と呼ばれ、誰も倒したことのない裏ボス、邪神竜カオスを倒した
ここまで来るのにどれだけの時間を費やした事か
掲示板やSNSの情報から作戦やスキルを練りに練って、ここぞという時のために最大スキルの温存
俺たちは名実ともに、最強の称号を手に入れた
俺はこのゲームの世界ではハジメと名乗っている
本名が一一、いちといちでにのまえはじめ
つまり本名でやってるわけだ
かなり珍しい苗字だが、親が何を思ったか、はじめという名をつけたことで、一一などという、名前を書くのにとてつもなく簡単な文字列になってしまった
まあこの名前、かなり気に入ってるから別にいいわけだけど
そして補助魔法をかけてくれたのがヒーラーのクララ
攻撃魔法を放ったのがシズク、格闘家がバズビーだ
四人とも小さなころからの幼馴染というやつで、今まで喧嘩って言う喧嘩もしたことがないほど仲がいい
そのまま高校までずっと一緒
今までも、そしてこれからもずっとずっとそうだと思っていた
「ちょっと俺出かけるから落ちる」
「おうそうか、じゃあまた明日な、ハジメ」
「またねー」
「お、お疲れ様」
俺はゲームをやめて立ち上がる
今は気楽な夏休み
宿題は四人で着実に進めている
俺はあとで泣きを見るのが嫌なので、宿題はちゃんと進めるタイプだ
ふぅと一息吐いて、背伸びをしてから家を出る
辺りはもう暗く、コンビニまでの道、電灯に照らされながら歩いた
そして俺は、突然突っ込んできた暴走車によって、その短い生涯を終えた
「あれ? 一瞬スゲェ痛かったのに、なんだったんだ?」
目が覚めた俺は立ち上がって周りを見る
気絶していたのか、辺りは明るくなっていた
「う、ううん、何かにぶつかって気絶でもしてたのか? てかなんか声おかしいな。さすがに外で気絶してたから風邪ひいちまったのか?」
俺は周りを見回す
「どこだ、ここ・・・」
そこは見知らぬ道、見知らぬ景色
住宅街だったはずなのに、俺はなんで田舎道みたいなとこにいるんだ?
もしかして誰かに殴られてここに捨てられた?
だったら戻らないと
俺はそのまま歩きだした
どこに行けばいいのかなんてわからないけど、取り合えず人に会って事情を話して、そっからどうにか帰らないとな
このとき俺は、車がぶつかって来たことなんて忘れていた
どうも記憶があいまいで、なんで家を出たのかもあまり覚えていなかったんだよなぁ
しばらく歩いてようやく人の姿が見えた
その人は何か棒のようなものを持っている
てか、なんか服装がおかしい
なんであんなボロボロで、しかも、手に持ってるのは、曲刀?シミター?
ゲームで見るような武器を持ってる男たち
顔つきはどう見ても日本人じゃなかった
「あの、ここどこですか?」
俺は恐る恐る男たちに聞いてみた
「ククク、おい」
「ああ、これはいい拾いもんじゃねぇか?」
「えっと、日本語? 分かるんですね。よかった」
どうやらその外人たちは日本語ができるみたいだ
はっきりと聞き取れるってことは、ここは海外じゃなくて、外人が多いとこなのかも
「おい女、俺たちがいいとこに連れてってやるよ」
「は? 女?」
ここに女なんていない
俺含めて全員男だ
でも男たちはなんか、俺を見て言ってる気がするんだよな
それに、俺の声、なんだか妙に甲高い?
もしかしてと、俺は男の持ってる曲刀に映った自分の顔を見てみた
「え? これって・・・」
そこには、俺がなんとなくで作っていた魔法剣士の顔があった
ただ作っただけ、なんの育成もしていないから初級魔法と初級剣術しか使えない
レベルも1
「な、なんだよこれ、なんだよこれ!」
俺は混乱した
「ほら、いいからこっち来い!」
何が起こっているのか分からない
いや、正確には理解したくない
これって、俺が好きなライトノベルとかによくある
「ほら来い!」
男が俺の手を掴んだ
その瞬間、俺は恐怖した
だとしたら、あのとき俺は死んで、転生したんだとしたら・・・
俺は、今、女の子?
そして、これから辿る運命、この盗賊らしき男たちに、連れられて行くところは
「やめ、やだ、やめて!」
なんで俺は、こんなに、女性っぽい言葉に?
「ヒャハハハ、可愛いじゃねぇか。おいお前ら、今日はいい思いができそうだぞ」
とにかく何か、何か助かる手はないのか?
目をつむり、俺はステータスと頭の中で唱えてみた
すると、目に、ゲームの画面で嫌というほど見たステータス画面が見えた
名前:ファスティア
この名前、一番を表すファーストからとった名前だ
職業:大魔導操術師
なんだこの職業、知らないぞ
スキル
賢者の創造魔法、スキル創造
スキルは二つだけ
こんなスキル、レイドノルオンラインになかった
しかしこれが今まさに自分を救う手立てになると思ったんだ
「そ、創造魔法! ファイア!」
ゲームでは初級も初級の魔法
そのはずなのに、繰り出した炎は小さな太陽のような、車一台ほどの大きさの火球
それが男たちに向かって飛んでいった
「まずっ」
俺はその火球を操り、男たちの真横に落とした
その威力はすさまじく、男たちは吹っ飛び、地面は超高熱で溶けた
「ひ、ひぃ、こ、こいつ化け物だ! 逃げるぞ!」
盗賊たちは一斉に走って逃げる
どうやら軽傷で済んでいるようだ
「ハァハァ、なんだよこれ、なんなんだよ」
俺は訳も分からないまま異世界に立ち、そして、ゲームで作った美少女キャラに転生してしまったようだ
そして俺は、ステータスの欄におかしいものがあるのが分かった
スキルからさらに下、そこにバグとただ一言だけかかれている
この俺の強さは、まるでゲームのバグのようにあり得ないことになっているようだった