9/10
⑼『迷宮の入り口と出口の、トポス』
⑼『迷宮の入り口と出口の、トポス』
㈠
意識不明の午前零時に、迷宮が或る国に舞い降りた、という幻想的な夢をみたが、その意識も漫ろに、自己意識が、目覚めてもなお、迷宮に入り組んでいることに、驚嘆する。我々の地獄とは、天国であって、天国こそが、地獄ではなかったか。
㈡
するともう、何処にトポスがあるのかも分からず、ただ賭博の様な風景に座して、演繹的に物事を思考する刹那、迷宮の出口が見えた、と思った。俺には見えた、と思ったが、俺の錯覚は、迷宮をいざ出てみると、そこが、まさに、迷宮の入り口の様であって、困る訳である。
㈢
従順なる天気が、俺には酷く、地獄的であって、しかしもういいだろう、という言の葉を呟く時、相も変わらず、トポスはトポスとして、脳内にあるのであって、訳の分からない俺の脳にも、やはりそろそろ、異常が来たのかと、思い始めた昨今である。