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⑻『迷宮の入り口と出口の、トポス』
⑻『迷宮の入り口と出口の、トポス』
㈠
一体に、この世の仕組みとはどうなっているのだろう、という漠然とした不可解や不安が、自己を迷宮へと導いてしまうかの様だ。俺には、物事が判然とすることが、一番の自己縊死への闇に対する抵抗であって、その限りにおいても、迷宮は、一つのトポスである。
㈡
詰まる所、大きな世界の中核において、何か物事が勃発する時に、その終焉を望む前に、自己が巻き込まれてしまえば、それで大きな被害なのである。世界は待たない、待ってくれない、ただ、世界が待つのを待つだけの、曖昧な人生だと、我々は神に言うのだろうか。
㈢
それでも、迷宮の入り口と出口の、トポス、というものは、完全に見捨てる訳にもいかないのだ。トポスの在り処、それを見つけたが最後、神は俺を見放すだろう。自己の道を歩いて行け、というだろう。無論、俺も、それで問題はない、とは思っている。