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⑹『迷宮の入り口と出口の、トポス』
⑹『迷宮の入り口と出口の、トポス』
㈠
現在位置という、まるで宇宙の衛星から監視された、自己の居場所は、常に風来である。しかし、そんな自己が、それぞれ、誰の代わりも効かない、一つの人格であるからして、まさに、そんな世界は、自分には迷宮の世界の様に見えるのだ。
㈡
脳がいずれ、どうにかなっても、後人は俺を、芸術至上主義だと、唱えるだろうか。やはりそんな事象も、迷宮入りであって、今の俺には、入り口も出口も見いだせない、一個の個人主義を生きている。どこかに、置き忘れた、カバンか何かの様に。
㈢
書くのがつらい、そんなことはない。しかし、楽しいから書いているだけでは、傑作は生まれまい。何にも増して、俺は俺の居場所を、トポスだと認めよう。いずれ、何処かの誰かが、俺のことを埋葬し、墓標を掲げてくれるだろう。本当か、嘘じゃあるまい。