初風の夜会
嫡男のオスカーが、隠しようの無い衆人環視の場で愚行を犯してコナー公爵家の王都本邸に連行された後、ベケット侯爵は謝罪のためにコナー公爵とコンタクトを取ろうと必死だった。
屋敷に先触れを出してもスルーされ、直接赴けば家令に門前払いを食らい、王城の祭儀部を訪れても何故かいつもタイミングが悪くて、祭儀大臣のコナー公爵も、祭儀部に籍を置くコナー家嫡男のウォルターも席を外している。
クリストファーに会おうと学院に問い合わせれば、クリストファーは「被害に遭ったニコルに付き添う」という理由で、しばらく学院を休むと知らされた。
そう。ニコルは現在、王妃殿下の要請で、学院への通学を控えている。
王妃殿下においては、「彼らが表立ってニコルに危害を加えようとする様子を見せる度に、彼らの手が届く場所にはニコルを出さない大義名分が出来上がるのに、理解していないのかしら」と、息子によく似た爽やかな笑顔で仰られていた。
あの爽やかな笑顔が曲者であることは、似たモノを見慣れたアンドレアの側近達には、よく分かっている。
ニコルが通学を控えることを学院に通達する際に、王妃殿下が直々に学院長を呼び出して必要な内容を伝えたらしいが、きっとその時も笑顔だったに違いない。
という訳で、ニコルは現在学院はお休み中だ。
そして、今夜は久しぶりに公の場に姿を現している。
今夜は『初風の夜会』なのだ。
『初風の夜会』は、王妃殿下主催で王城で開かれる、秋の社交シーズン最初の夜会だ。
夏の間、避暑などで王都を離れていた貴族達が戻って来る時期に、シーズン開始の象徴として開催される大舞踏会でもある。夏以降に、これより前に夜会を王都で開催するのは、非常識であると認識される。
昼の社交である茶会の『今年初』が王宮庭園で開催され、学院の入学や進級時期の目安とされるのと同じようなものだ。
この国の貴族にとって、王族主催の大きな社交の会は暦の役割を持つ。
季節を問わず、ジルベルトやクリストファーやニコルが王都を離れることなく生活しているのは、彼らが全員特殊な事情を抱えているからだ。
クリソプレーズ王国では、茶会デビュー前の貴族の子供を守る国法により、貴族の婦人たちは王都で出産し、母親が領地へ戻ることがあっても、子供達はそのまま王都で茶会デビューまで育つ。
これは、王都が最も治安の良い場所だからだ。騎士の多くは王都か辺境の砦が任務地であり、他の地域には兵団の兵士が多く駐屯し、騎士の数は砦以外では王都を離れるほどに減る。
それでも茶会デビューを済ませれば、学院入学までは領地で暮らす子供も多いし、親の休暇と経済状況によって旅行を楽しむこともある。
見識を広げるために他国の親戚の元で過ごす子供もいるし、王都で開催される大きな社交に参加する時以外は、大人でも、城に出仕していなければ、案外と王都から離れている貴族は少なくないのだ。
ジルベルトは、幼い内は身の安全のため、自衛出来る力を持ってからもアンドレアの側近であるために、アンドレアの護衛として以外は王都から出ることが無い。
クリストファーは、コナー家の支配者であるために、中心部で指揮を執る必要性から王都を離れない。
ニコルは、自業自得で自分の価値を高め過ぎたことで、ガチガチに護られる王都から出ることが叶わない。
常日頃、地方や外国に飛んでいる配下から直に報告を受けているクリストファーはさて置き、ジルベルトとニコルにとって、王都から一度出た貴族達が戻って来る社交の場は、直接外の現状を知る機会となる。
注目する部分はジルベルトとニコルで随分違うのだが。
この夜会でも、ニコルのエスコートはいつも通りジルベルトだ。
あんなことがあったので、今夜はジルベルトも目立つ衣装を身に着けている。
ちなみにオスカーが、貴族の常識を知る淑女達から総スカンを食うような下種な真似をしたことは、既に社交界に知れ渡っていた。賢い子供達を敵に回してはならない。
普段のエスコートでは、存在そのものと、密かに放つ殺気のみで、威圧と害虫駆除をしているジルベルトだが、今夜は見た目から威圧仕様だ。
軍服を模した、されど綺羅びやかな衣装は『麗騎士』の呼び声に相応しく、見惚れれば魂を奪われそうな美貌に静かな微笑を湛えているが、衣装に包まれた芸術的なバランスの身体は筋肉質で靭やかで、強者であることを疑わせない。
普段は下ろしている前髪も、強力な武器の一つである麗容を見せつけるためにオールバックに整えている。
短髪のオールバックは、本物の美形がやると、違いが、差が、残酷なほどに歴然とする。夜会会場で同じ髪型に整えている他の紳士諸氏に、同情を禁じえない。
王族主催の夜会や茶会では、身分が高位の者から王族に挨拶を許される。
身分とは爵位家格の順ではあるが、大臣達は公爵家より優先される。
大臣の多くが公爵であり、伯爵だったランディが大臣クラスの役職である騎士団長を辞めたことで大臣全員が侯爵以上の身分となり、この順番でも重職に就くことの出来ない公爵らから表立った文句は出ていない。
ちなみに、副大臣は身分に則した順番で挨拶の列に並んでいる。
ニコルは子爵令嬢だが、エスコートするジルベルトに合わせた位置に並ぶ。
ジルベルトは侯爵家の人間で『剣聖』であり、父のブラッドリーも外務大臣と国への貢献度が高いことから、ダーガ家は侯爵家の中で現在最も家格が高い。
ダーガ家は元から、政争に積極的に参戦していなかっただけで、健全に経営される領地は豊かだし、成り上がって侯爵位に昇ったのではなく、建国時から臣下として国を支える由緒ある家だ。
ブラッドリーとジルベルトの功績もあり、最も家格が高い侯爵家と認められるのは必然である。
クリソプレーズ王国では、王弟か王兄が興した家以外は公爵家として存在することが叶わない。
もう何代も何の成果も上げていないのに爵位だけが高い公爵が国内に何人もいることは、密かに王国の首脳陣を悩ませる問題ともなっている。
ダーガ家は侯爵家でありながら、そういった実を伴わない公爵家よりも影響力の高い家だ。
公爵家の挨拶の列が終われば、外務大臣の父は母と共に公爵家より先に挨拶を終えているので、侯爵家の最初はジルベルトとエスコートされるニコルになる。
壇上の主催者である王妃殿下と、その右隣で国王モードの顔をしている陛下。陛下の右後方に立つ第一王子エリオットと、王妃殿下の左後方に立つアンドレアの前に進み出て、最敬礼の姿勢を執る二人。陛下の二人の側妃様は王妃殿下の後ろに控え、側妃様の産んだ王女殿下方は年齢的にまだ夜会の参加資格が無い。
声をかけられ、顔を上げることが許され、季節を表す言葉を織り交ぜた王国と王家の繁栄を願い喜ぶ挨拶を申し上げ、その挨拶に陛下や王妃殿下が返すお言葉によって、周囲で聴覚を研ぎ澄ませている人々は、挨拶をしている人物の国家に於ける重要度や王家からの寵を推し測る。
もっとも、この二人の場合は推し測らずとも国家の最重要人物なのだが。『剣聖』は王家が絶対に手放したくない無二の存在であり、王妃殿下はニコルの商品達の熱狂的なファンだから、寵も疑いようは無い。
誰もが事実を分かっていても、形式を崩すことなく物事を進めるのが、王侯貴族の様式美である。
国にとって重要度が高く王族からの寵も厚い者は、挨拶の後に、私的な内容に触れ、親しく言葉をかけられる。
王妃殿下がニコルに慈愛の視線を向けて、温かな声音で言葉をかける。
「学院に慮外者が出たと報告を受け心配していました。今夜はニコルの元気な顔を見られて嬉しく思いますよ」
「お心遣いありがとうございます。王妃殿下のご高配により皆様のお力で護っていただいておりますので、全ては未然に防がれ無事にございます」
オスカーの愚行が知れ渡った後、ニコルを貶めたい者は、それを利用して「ニコルは傷物になった」と噂を流した。
王家とコナー家とニコル直属の護衛達にガチガチに護られるニコルを、たかが無職の侯爵令息が傷物になど出来る筈がないと、高位貴族や現実がしっかり見えている者達は誰も真に受けていないが、ニコット商会やミレット商会を敵視する、低位貴族で商会の経営をしたり後ろ盾になっている人間は、噂に飛びついた。
口にする方が恥をかくような噂ではあるが、後から面倒の種にさせないように、王妃殿下のフリをありがたく受けて、ニコルは噂を初期段階で潰すことにした。
「王妃殿下のご高配」は、王族主導で護る指示を出しているニコルが傷物になったと証拠もなく流言するのは王族を侮るのと同意だぞ、という意味。
「皆様のお力」の「皆様」は、庇護下にあることを公言する王家や、息子の婚約者として護衛を派遣しているコナー公爵家や、第二王子の命令と公爵令息であるクリストファーの依頼でニコルを護衛兼任でエスコートし、「王家の使者」としてニコルの屋敷を訪問して気にかけている『剣聖』のジルベルトのことだ。
その「皆様」が護っているのに、証拠もなく「傷物になった」と口にすれば、もれなく「皆様」に喧嘩を売ることになる。
しかもコナー公爵家がニコルを護るのは王命でだ。王命を受けたコナー公爵家も、忠誠を誓った主からの命令を受けた『剣聖』も、たかが無職の侯爵令息一人に後れを取って守護対象を護れなかったのだろうと侮辱しているのも同じなのだ。
ニコルの短い返答から、これらを読み取った者は、心臓と全身の毛穴が縮み上がっている。
その上、さもニコルが傷物にされるところをその目で見ていたように噂する者は、王家の庇護下にあることが公言されているニコルが目の前で害されるのを、助けもせず見ていた貴族ということになる。しっかり王家への叛意が疑われる事案だ。
大体、あの現場に居たのは、ニコルの同級生と護衛とクリストファーと慮外者だけだ。
コナー公爵の本邸に囚われたオスカーが噂を流せる筈もなく、同級生には一人として、そんな自殺行為な噂を流す阿呆はいない。
王家とコナー公爵家と『剣聖』周辺(最凶王子や氷血や変態犬含む)を敵に回してまで、実際には見ていないことを見ていた事実のように話した度胸は驚嘆に値する。
普通の神経なら、一生遊んで暮らせる大金を積まれてもやりたくない。やったら一生など速攻で終わらせられるからだ。
噂を流す際に口にした単語に虚偽の具体性が認められれば、下手をすれば王家に偽りを伝えたと扱われる。
その罪の処罰をコナー公爵家や『剣聖』周辺が請け負うことになれば、安らかには死ねない。
ニコルは諸々の脅しを詰め込んだ上で、「全ては」未然に防がれた、と噂を真っ向から否定した。
これ以上噂を流すなら、諸々を分かった上での行為になるんだから覚悟しろよ、ということである。
ついでに、今まで嬉しそうに噂を流していた奴らも今後しばらく恐怖で眠れぬ夜でも過ごせ、という精神攻撃だ。
王妃殿下がとても楽しそうに笑顔を爽やかなものにしている。正面にいるニコルとジルベルトは、それを見て内心で「うへぇ」と思っている。
そこから二言三言、今夜のニコルのドレスを褒める言葉や、今後の活躍を楽しみしているという、周囲の警戒心を煽らない内容を発した王妃殿下は、慈愛に満ちた目線も温かな声音も変えないまま、周囲に緊張が走る言葉で締め括った。
「ニコルには不自由をかけますが、学院が安全であると私が判断するまでは、今のまま通学を控えてもらいます」
「私に不自由などございません。王妃殿下のお心のままに」
周囲に緊張が走るのは当然だ。
ニコルを『我が国の最重要人物』として安全を確保出来ないから通学させない、という意味ならば、最終判断は王妃殿下ではなく国王陛下になるのが正しい言い回しだ。
だが、王妃殿下は「私が判断するまで」と仰った。
この場合の「私」は、「王妃という、女性でありながら国王に次いで国内で二番目に身分が高い自分」の意味だ。
国内全ての女性の頂点に立ち、国王以外の国内全ての男性よりも高い地位を持つ我が国の王妃は、何かと立場の不安定な女性を、立場の強い男性から護る役割も伝統的に担っている。
だから、この場合の王妃殿下の言葉は、「現在の学院は、女性が男性に危害を加えられるという意味で安全ではないと判断している」という意味になる。
その言葉を国王が支持しているならば、「学院内は、女性がそこにいるだけでも男性に襲われかねない環境だ」という意見に、陛下も同意しているということだ。
ちなみに王都では裏通りやスラム街でもなければ、明るい内は女性の一人歩きが危険視されることはない。なので、学院内の治安を、夜の街や裏通りやスラムと同等と言っているようなものだ。
いや、ニコルは学院内でも護衛付きなのだから、王都内で同等とされるのは、スラムの奥や犯罪者のアジト、人気の無い街灯も消え去った深夜だろうか。
学院長がニコルのクラスの副担任として採用した、オスカーが起こした事案を考慮に入れて意訳すれば、「現在の学院は、権力を振りかざす高位貴族男性の性犯罪者を招き入れ、性犯罪者が令嬢に接触する手助けまでするという問題を起こしたにも関わらず、今後の再発防止策も講じていない。だから私は庇護する令嬢を通学させる判断はしない」となる。
それを、公の場で王族が口にしたのだ。
オスカーがやらかした内容がアレだったために可能になった、非常に威力の高い学院長への攻撃であり、『元王弟』より立場が上の女性である王妃殿下だけが出来る攻撃でもある。
学院長は事件後に王妃殿下に呼び出された際に、「ニコルの安全が確保出来たとこちらで判断出来るまで、ニコルは学院への通学を控える」と告げられたのに、何一つ有効で具体的な防止策を挙げることなく、中身の無い言い訳と、現状維持の意思を述べただけだった。
全てをオスカーの独断暴走として、ニコル自身にもニコルの背景の誰にも謝罪の一つもしていない。
だから、この場でも、何処からも学院長を擁護する声は上がらない。
王妃殿下の「こちらで」を軽く聞き流したことで、取り返しのつかない事態になったわけだが、学院長本人は、先に非公式の場で同じ内容を告げられているのだ。今更「やられた」と思っても、時既に遅しである。
王妃殿下は事前の忠告により、失態を償うために対策を講じる猶予を与え、忠告も非公式の場で行うという慈悲も見せたのだ。
その猶予と慈悲を受け取らず、罠に変えてしまったのは学院長だ。
今までして来たように、実行犯のオスカーと、その実家のベケット家を生贄にすれば、自分は傷つかないと慢心したのが敗因だろう。
経験からそのように慢心するだろうと予測して、罠にかけた王妃殿下の勝ちだ。
王族が公の場、しかも『初風の夜会』という大舞踏会で、学院長を「無能で怠惰で性犯罪者の仲間」であるかのように、痛烈に批判したのだ。
王妃殿下が「学院は令嬢にとって安全ではない。自分が庇護する令嬢を通わせない」と取れる内容を公言したことで、他の令嬢を持つ親達も、娘を学院に通わせない大義を得る。
貴族は貴族学院を卒業する必要があるが、国法により、国が認める事情があれば、通学出来なかった期間に学ぶべき内容の試験をクリアすることで単位はもらえるし、単位が足りれば同学年の生徒達と一緒に卒業出来る。
通学出来なかった事情を認めるのは『学院』ではなく、『国』であるというのがミソだ。
勿論、王妃殿下はそこまで見越して罠を敷いた。
現状、王妃殿下の言葉を陛下は咎めていない。
それは陛下が王妃殿下の言葉を肯定しているということに他ならず、他の貴族達が「学院は娘にとって安全ではなさそうなので休みます」と国に申請すれば、認められるということだ。
貴族の家が、自分達に属する未婚の令嬢の貞操を守らんとするのは、当たり前に認められねばならない権利である。申請さえすれば、許可が降りない道理は無い。
もしも各家で申請が実行され、休学する令嬢が相次げば、クリソプレーズ王国の貴族学院史上類を見ない酷い不祥事になる。ソレを引き起こした学院長の汚名は、歴史書にもキッチリ記され、後世まで伝えられるだろう。
学院長はメイソン伯爵家に婿入りし、爵位の通りに全ての侯爵家の後ろに並んでいる。
その位置は、侯爵家のトップで挨拶をしたジルベルトとニコルからは、大分離れて後ろの方だ。順番は、まだまだ来ない。
メイソン伯爵である学院長は、今すぐどれだけ言いたいことがあれど、まだ挨拶も済んでいないのに勝手に声を上げて現役王族に反論するわけにも、高位貴族が順番を守って並んだ列を掻き分けて侯爵家より先に挨拶をし、反論に漕ぎつけるわけにもいかない。
実行犯のオスカーに全責任を負わせる細工をして口封じをしようにも、オスカーは既にコナー公爵家の本邸に保護されてしまい、学院長の手駒達では手が出せない。
この件に関しては、完全に詰みだ。惨敗である。
国王らしい顔を不備なく造りながらも、クリソプレーズの瞳が楽しげに輝きを増している陛下を見上げ、ジルベルトは、学院長が自分達の後ろの方で相当に悔しそうな雰囲気でも漏らしているのだろうと見当をつけた。陛下は息子より大人気ないところがある。
王妃殿下は、流石アンドレアの教育責任を負った母君だ。御自身の立場を余すところ無く有効に使い、攻撃も容赦が無い。
名誉欲の異常に強い学院長が、一番嫌がりそうな「後世まで残る汚名」を予測させる一撃だ。
どうせ古狸らしい身の振り方をするだろうから、これだけで破滅や失脚はせずとも、忘れられない嫌がらせにはなっただろう。
あの手の男には、侮っている相手から恥をかかされると、精神に憤死もののダメージが入る。
自分より身分が高くとも、所詮女性だと、年下だと、他国から嫁いできた他所者だと、『クリソプレーズ王国の男性王族として生まれた自分』よりも下に見ていた王妃殿下から、公衆の面前で、よりにもよって「卑劣な性犯罪者の仲間」に堕とされたのだ。
学院長の横暴を良く思わない人間にとっては、実に痛快である。
(我が主は、紛れもなく、このお二人の御子だ。)
感想を胸に最敬礼で王族の前をニコルと共に辞して、ジルベルトは近い将来吊るされることになるであろう、喧嘩を売る相手を間違えた老狸の迂闊さを嗤った。
クリソプレーズ王国の貴族学院は、お馬鹿でも無能でも貴族であれば、入学・進級・卒業できます。
なので、試験の結果が散々でも、進級や卒業はできますが、必要な出席日数を満たしていない場合は進級も卒業もできません。
進級や卒業に必要な単位は、出席日数で得るものです。試験は受けさえすれば通ります。
成績が悪いことでの罰則はありませんが、成績は貼り出されるので、本人と家が恥ずかしい思いをします。あまりにも酷ければ、親からの要望で補講を受けさせたり追試が行われることもあります。
学院で行われる試験の成績は、学院内ではクラス分けに使われ、成績が優秀であれば、箔付けになったり就職に多少有利であったりします。
出席日数が足りなくても、国が正当であると認める理由での休学であれば、救済措置としての試験を受けることができます。
正当な理由での休学と認められなければ、試験を受ける資格を与えられないので留年は避けられません。
試験自体は難しくありません。文字が読めて書ければ合格点になるレベルの代物です。
同じ年齢の貴族と同じ年に卒業できないのは、家にとって物凄く恥なので、留年する生徒は滅多にいませんが、ゼロではありません。