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仕組まれていたのは何処から

「そう言えば、前回のイェルト・ローナンの死因は何だったのですか?」


 ジルベルトが訊ねる。


 大人しく老衰や病死をするイメージは無く、刺客如きに後れを取るというイメージも無い。


『自死です』


 ああ、今のイェルトの()()も自死だったな、と納得するジルベルトの袖を、そのイェルトが引く。


「ジル兄、前回のダンテの死因も訊いて」


「ああ。前回のダンテの死因を教えてください」


 イェルトに頼まれて妖精に訊ねれば、とんでもない答えが返って来た。


『前回のイェルト・ローナンに殺害されました』


「「は?」」


 疑問の声を上げたのは、ジルベルトとクリストファーのみ。

 イェルトは、「やっぱり」と納得顔だ。


「どういうことだ?」


 ジルベルトがイェルトに問えば、「だってボクも()()()()から」と答え、理由を述べる。


()()()が済んだら、ダンテはもう必要無いでしょ? 自分が遊ぶのに邪魔な存在は、さっさと片付けると思うよ?」


 さも当たり前の常識でも話すように述べるイェルトに、クリストファーの顔がまた引き攣っている。


 クリストファーは十分に「普通じゃない感性」を持っているが、イェルトに比べれば真っ当な常識的感覚を()()()()()()()()からだ。


 尤も、クリストファーも、イェルトの言動や思考を「こいつヤベェ」と思える感覚を身に付けているだけで、自分も似たような思考を有していたり、同じ行動を平然と取る場合があることを自覚している。


 イェルトとクリストファーの差は、「自重の程度の差」くらいのものだろう。


「イェルト、何故、前回のダンテの死因を聞きたかったんだ?」


 問うているが、ジルベルトはイェルトがソレを知りたがった理由に見当が付いている。

 だから、暗に、咎める為に口にした質問だ。


「前回のイェルトがダンテを殺せたなら、今回のダンテも『イェルト・ローナン』が殺せるんじゃないかな、って」


 予想通りだ。

 ジルベルトは、今度は明確に、口調と表情も咎めるものにしてイェルトに問う。


「一人で()りに行くつもりか?」


「んー、一人の方が身軽だよね? どっちにしろ、国での立場があるジル兄やクリスは自称帝国内部に暗殺に行くなんて、同盟国全部の合意が無ければ無理でしょ? けど、城が落ちたらタイムオーバーだし、各国の合意なんか待ってられなくない?」


 イェルトの意見は、正しい。


 だが、だからこそ、ジルベルトの中で警鐘が鳴るのだ。

 いつもの『勘』までの正確性は無いが、「嫌な予感」がする時は、従って後悔は無い。


「イェルト、『待て』だ」


「ん。分かった」


 理由も説明も無くとも、イェルトはジルベルトの命令は聞く。


 ジルベルトは、妖精に向き直った。


「前回、魂を対価に妖精に『やり直し』を願い、今回は転生者となっているのは、ジルベルト、クリストファー、ニコルの三名で合っていますか?」


『はい』


「その三名に入れる転生者の魂は、妖精が選んだ。その認識で合っていますか?」


『はい』


「では、魂の選定は妖精()()()行ったのでしょうか」


『違います』


「では、誰がどのように選定を行いましたか?」


『“神”の指示と推薦により、妖精が選定した形になります』


 ・・・やはり、妖精を隠れ蓑に、『神』が大きな権限を持って関与していた。


「妖精にとって、前回『ナニか』に魂を捧げた六名の者達の身体に入れる魂の選定は、預かり知らぬ所で行われた。これは正しいですか?」


『はい』


「ですが、『ナニか』も元は妖精、神の眷属ですね?」


『・・・はい』


 妖精の表情が、不安げに曇っていく。


「そちらの選定にも、『神』は関与していた、という事態は有り得ないと言えますか?」


 人間の願いを聞き届けたのは、『妖精』と『ナニか(元妖精)』。

 どちらも実態は『神』の眷属だ。


 眷属が聞き届けた願いを、実際に叶えるかどうかの決定権は、『神』が持っていたのではないか。


 いや、もしかすると、(はな)から「眷属が聞き届ける人間の願い」の範囲を『神』が限定していた疑いさえある。


 『神』が初めから目を付けていた、地球の「素良(そら)」という人間の魂。

 それを入れる器として適性のある「ジルベルト・ダーガ」の願いと、その周辺人物の願い、そして、「ジルベルト・ダーガ」と出逢う確率の高い、同世代で高位の身分の血筋を持つ人物の願い。


 最低でも、「魂を捧げての願い」を聞き届ける人物は、『神』により限定されていたのではないか?


 そうとでも考えなければ、「転生者が九名で、それが全員、ジルベルトと前世で関わりがある魂」である理屈が通らない。


 偶然の一致で片付けられる筈が無い。


 妖精に魂を対価に「やり直し」を願った者達は、「世界の時を戻す方法」が存在することさえ知らなかったのだ。


 妖精に願うだけでは、「世界の時が戻る」現象は起こらない。


 実際に「世界の時が戻った」のは、『ナニか』に魂を捧げて願う邪法の儀式が実行されたからであって、妖精に願った人間達は、それに便乗して願いが叶っているに過ぎない。


 本当に()()()()()()()()「やり直し」が叶うと、確信して願った人間は、何人居るだろう?


 確信、とまでなれば、ゼロではないだろうか。


 けれど、彼らは死の瞬間、妖精に魂を対価として「やり直し」を願い、それが叶えられた。


 だが、前回の世界で、()()が、ジルベルト、クリストファー、ニコルの三名だけだった、というのは無理が無いか?


 『ナニか』に魂を捧げて時を戻す儀式では、「限定何名様」という制限も無いようで、「一人でも複数人でも」願いが叶うことになっているらしい。


 この世界における『妖精』は、前世で言えば「神の使い」や「天使」のようなものだ。

 死ぬ間際に自分の人生を振り返り、後悔や反省から「妖精に人生のやり直しを願う人間」は、少なくないだろう。


 そして、強い後悔を抱えながら死ぬ人間は、己の魂さえ賭して、それを願ってもおかしくない。


 だが前回の世界で、実際に妖精に魂を受け取られ、願いを叶えられたのは、たったの三名だ。


 同様の願いをしていてもおかしくない人間の数に対して、三名は少な過ぎる。


 ()()が篩いにかけていた、というのでもなければ不自然だ。


 ──その『誰か』は、『神』ではないのか。


『・・・有り得ないとは、言えません。言えないと、思います。邪に堕ちても、“神”の声は聞こえるようですから』


「どういうことですか?」


『邪に堕ちると、あれらは妖精の本来の役目とは真逆に、世界を傷付ける動きを推進するようになります。

 それは狂った暴走状態であり、元は仲間であった妖精の言葉も声も聞こえないようで、いくら我々が声をかけても、何も反応がありません。


 ですが、“神”が声を掛けた時にだけは、何かしらの反応を返します。


 我々妖精は、仮に“神”からの命令であっても、世界を傷付ける事は出来ません。

 それは、世界を癒やす動きを取ることが、我々妖精の存在理由だからです。


 同じように、邪に堕ちた元妖精は、妖精とは真逆の存在理由を持つ存在へと変化しているのだと思われます。


 だから、“神”から世界を傷付ける事を止めろと命じられても、それを止めることだけは出来ないのだと思います。


 ですが、存在理由に反する以外の命令であれば、声は聞こえているようですし、あれらも元は妖精であり、“神”の眷属なのですから、従う可能性は、無いとは言えません』


 ん?

 世界を傷付ける事は、存在理由に反するから『妖精』には出来ない?


 ならば、何故、前回、世界を傷付けるに違いない「世界の時を戻す」邪法に便乗しなければ叶えられない類の「人間の願い」を聞き届けたんだ?


「でもさ、ジル。『ナニか』に魂を捧げた奴らは、それぞれ本来の魂が直に勧誘に来たんだろ?」


 ジルベルトの思考は、クリストファーが挟む疑問に遮られる。


「ああ。だから、()()と言ったんだ。

 この世界の『神』は、現代では『世界』ということになっていて、表には一切姿を見せない存在だ。

 この世界に転生させる魂に、『世界』や『自然』以外の『神』の存在を匂わせるだけでもマズイだろう」


「だから後ろから操ってたって? チョロそうな女達や、恨みが募り過ぎて正常な判断が出来たか怪しい王子二人は兎も角、割と冷静そうだったネイサンや、『神』にさえ警戒されてそうな前回のイェルトが、操られたり口止めに応じたとも思えねぇぞ」


「私は、『神』が密かに、彼らが選びに行くより先に、()()()()()()()に制限をかけていたのではないかと考えている。選ぶ段階では『同質という条件を満たせば可』以外の制限を無しとすれば、当人達は自分の意思で選んだ気になるだろう」


 『神』は、こちらの世界では、眷属が願いを聞き届ける人間の範囲を限定し、転生させる魂を選ぶ先の世界では、見える魂の範囲にでも制限をかけたのではないだろうか。


 そうして、眷属にも元の魂達にも、『神』の意図に適った選択を「自らの意思による選択だ」と思わせた。


 ジルベルトの答えに、クリストファーが黙り込む。

 暫し考え、自分の中で答えが出たように嘆息した。


「確かに、オカシイんだよな。妖精に願った奴らだけでなく、転生者が全員、ジルを中心とした『前世で関係のあった人間』なんて、作為を感じねぇ方が無理だろ。直接の面識は無い國村美姫子だって、因縁は深い相手だ」


「最初から狙っていた魂を持つ私と、関わりのある人間や因縁のある人間しか『魂の質』とやらが見えないような制限をかけていれば、元の魂達は『転生可能な自分と同質の魂』を、その中からしか探すことが出来なくなるのではないか?」


「あー、本性や性格、言動や考え方の似た人間なんざ、地球の人口を考えりゃ、世界中を探せばごまんと居るもんな。余計な目移りをさせない制限をかけておいて、『神』が目星をつけた奴を選ぶよう誘導をかけた、か?」


「あまりに特異なヤツや、考える迄も無くソックリなヤツは、誘導のしようが無かったかもしれんがな」


 二人の視線がイェルトに向く。


 前世のジルベルトの関係者の中で、前回のイェルトと『同質』と言う事で選べる人間など、今のイェルト以外に居ない。

 あとは、元のネイサンの人物像も、今のネイサンと何の齟齬も無く重なる。


 しかし、記憶引き継ぎ時の話を聞く限り、バダックとモスアゲート第三王子については、死んだ時点での負の感情が占める割合が大きく、本来の人格が読み切れない。


 条件は満たして転生しているのだから、本質はそこまで今の二人とズレてはいないのだろうが、思い出せば、「記憶引き継ぎ時の元のバダックとモスアゲート第三王子」には、前世のジルベルトの知人の中でさえ、「今のバダックとリオ」以外にもっと似た性格の人間が居たようにも思う。


 前世のジルベルトの「知人」は、堅気の社会人や良家のお嬢様やボンボンから不良やヤクザまで幅広い。

 面識の無い「因縁だけある人物」なら、範囲はもっと広がるだろう。


 それでも、バダックとモスアゲート第三王子の()()は、ジルベルトにとっての「前世の犬達」が選ばれている。


 これは、作為か偶然か。


 この結果の利益は、()()()にある?


 前世の犬が全員揃い、結果としてジルベルトに対する人質は増えている。

 だが、同時に、「完全なる味方」として数えられる戦力も増えた。


 前世の子供達は兎も角、ジルベルトにとって前世の犬達は、「人質」より「絶対的味方戦力」の意味合いが強い。


 犬達も、自分の懐に入れた者達なのだから、護りたいという気持ちはある。

 だが、自分や犬達を護る為に子供達(クリスとニコル)を使おうとは全く思わないが、子供達を護る為に犬達を使い、彼らを危険に晒す事に躊躇いは無い。


 それに、この世界で新たに出会った「共に生きたいと思える人間達」を護る為にも、ジルベルトは前世の犬達を躊躇せずに使うだろう。


 犬達が全員揃った事は、ジルベルトにとってはプラスだ。


 よくもまぁ、前世で完全に敵認定だった元旦那や、その親友で「國村美姫子」の兄だった男が、バダックとモスアゲート第三王子に転生する魂として選ばれなかったものだ。


 そう考えると、現状はジルベルトにとって「運が良い」状態だ。


 だとすれば、ジルベルトを追い詰め、眷属化して好きに使おうとしている『神』にとっては、都合の良い状況とは言えないだろう。


 しかも、ジルベルトが全く望んでいない「神の眷属化」をしようとすれば、()()()()()()が『切り札』の役割を果たして『神』の邪魔をする。


 イェルト・ローナンという人物は、()()()()()()()、『神』にとって「儘ならない人間」だろう。


 それでも『神』も「世界の理」に縛られているから、「邪魔で儘ならない」という理由でイェルトを直接排除することは出来ないのが現状のようだ。


 この世界が壊れるのを阻止したい『神』は、「世界の理」に反しての直接排除()出来ない。


 だが、イェルト本人が自主的に死地へ赴くとしたら?


 嫌な予感の正体は、多分、コレだ。


 イェルトを自主的に死地へ向かわせたければ、最も有効な方法は、ジルベルト(飼い主)を使って外堀を埋めることだろう。


 例えば、『剣聖』でさえ容易に手を出せないほど危険な場所に居る相手を暗殺することが、ジルベルトにとって必要であり、その暗殺が制限時間内に成功しなければ、ジルベルトが奪われる可能性を示唆されている。


 そんな状況が、作られていたら。


 イェルトはきっと、其処が死地であっても、一時的にジルベルトの側から遠く離れる事になっても、自らの意思で行くのではないだろうか。


「いや、駄目だ」


「「ジル」兄」


 急に蟀谷を押さえて目を閉じたジルベルトに、クリストファーとイェルトが声を掛ける。


「妖精よ、『神』に伝えて下さい。いい加減に私を眷属化することは諦めろと。策を弄し、私の『切り札』となっているイェルトを、自らの手を下さず排除することを目論んだとしても、この世界の崩壊と滅亡の時期を早めるだけだと」


 嫌な予感が、鮮明映像を伴う『勘』まで進化してジルベルトの脳裏に流れて行く。


 何処かの城と思しき建造物が、イェルトのカウントダウンに従い崩壊する。城下の街並みも、次々と、それに倣う。


『もっと早く、こうしていれば良かった。ジル兄、取り戻すから、待っててね』


 そう呟くイェルトが、城や街の破壊に使ったのは、魔法ではなく爆薬だ。


 その後、イェルトは『神』が音を上げるまで、この世界を無差別に爆破して回る。


 街も自然も人間も、無差別だ。


 爆破した後にも火をかけ、人間のみならず、ひたすらに生物を殺して回る。


 それが、「このままイェルトを自称帝国へダンテ暗殺に送り出せば来る未来図」だ。


 イェルトが、ジルベルトを「取り戻す」と言っている様子から、この未来図では、ジルベルトは『神』により眷属化されてしまっているのだろう。


 そうなる原因は不明だが、ジルベルトが望んで眷属化される筈は無いのだから、『神』から騙し討ちか理不尽な取引を仕掛けられての結末だと思われる。


 前世はおろか、これまでの『勘』による「イェルト魔王化鮮明映像」でも見たことの無いほどの怒り様は、ジルベルトでさえ寒気が走るものだ。


「イェルトは、『剣聖』の私でさえ『死地』と認識するほど危険な場所や状況へ、行かざるを得ないよう仕組んだとしても、五体満足でピンピンしたまま()()()()帰還する。そして、帰る場所が勝手に奪われていたら、怒り狂う。それは、私にも止められない。

 それを、『神』は是とするか」


『・・・ソレで死なないだけでも引くのに、攻撃性が()()より酷い、だそうです』


 妖精が、物凄く言いたくない台詞を言わされているような、「汚いモノを口にしています」という酷い顔で『神』の言葉を伝える。


 その言い方では、『神』のイェルトへの殺意を認めているようなものなのだが。

 もう、隠す気が無いのか、それとも『神』は余程、『人間』を侮っているのか。


 イェルトが鼻を鳴らして言う。


「だって、ボクには飼い主が居るもの」


 『神』が言うところの「()()」、つまり本来のイェルトは、多分、生まれてから死ぬまで独りだっただろう。


 護りたい者も無く、何物へも執着せず、誰かから理解されることも無く、心の拠り所も存在せず。


 自らの才能と性格故に、退屈で仕方の無い人生だったのではないだろうか。


 もしも、前世で「ソラ姉」と出逢わなかったなら、「山川タロー」は「本来のイェルト」と、()()()()()だっただろう。


 けれど、今のイェルトは、前世で今のジルベルトの中身を「飼い主」と懐いていた魂を持つイェルトだ。


「ねぇ、いい加減に悪足掻き止めないと、ボク、そろそろキレそうなんだけど。ボクは別に、ジル兄以外はどうなっても良いんだし。

 ね?」


 ね?


 と、首を傾けて妖精を見つめるイェルトは、視点を合わせている対象である妖精を見ているようで、()()()()を凝視している。


 蜂蜜色に着色したガラス玉のような、生身の人間らしさを覗わせない瞳は、瞳孔の開き方が人間の眼球とは様相が異なる。


『・・・えぇと、ジルベルトとイェルトの引き離し工作は、今後もしないと約束するそうです』


 妖精の、徒労感の滲んだ声が、『神』の言葉を伝える。


 引き離し工作という文言が出るという事は、イェルトという『切り札』をジルベルトから引き離している間に、人質を使った断れない取引でも持ち掛けるつもりだったのか。


 ついでに、「儘ならない人間」であるイェルトが、死地で殺されたらラッキー、くらいのノリか。


 最悪だ。


「する気だったのかよ、命知らずな」


 思わず呟いたのはクリストファー。


 それを聞いて、「いっそ殺っちまえればいいのにな」と考えたジルベルト。


「収拾がつかなくなって来たので、整理する為に、一つ解消したい疑問があります」


 ジルベルトは、妖精を通して『神』に視線で威圧をかけていそうなイェルトを、諌めも宥めもせず好きにさせたまま、妖精に声を掛ける。


『何でしょう』


「これは、妖精の持つ情報の範囲から外れているのかもしれませんが。


 そもそも、何故この世界の『神』は、そこまで私を眷属化することに固執しているのか。

 私の魂に、この世界の『神』が欲する何らかの特質が付随しているという理由なのだとして、それは一体どういうものなのか。


 これらを知らずに、人質まで取られ、策を弄して私の『切り札』の排除を目論み、騙し討ちのような眷属化を求められ続けては、この世界の『神』に対して湧くのは怒りと不信感ばかりだ。


 ましてや、我らは元は別の世界の人間。

 この世界の『神』の要求を喜んで受け入れて従い、それらを正しいと思い込む素地が、先ず無い」


 至極、尤もな意見である。






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