人物紹介(クリソプレーズ王族。ネタバレ有り)
髪色と瞳の色は省略。全員、銀髪でクリソプレーズの瞳なので。
年齢は、『幕間・二』終了時点。
【レアンドロ・サラル・クリソプレーズ】
年齢;41歳。
現国王ジュリアンの四歳下の同母弟。
顔は極上の美中年。身体は2.5メートルほどのゴリゴリマッチョなパワーファイター。
表情筋と声の抑揚が死滅している。
元辺境の砦総司令官。
辺境時代の敵兵からの渾名は『死を呼ぶ緑焔』。
通常状態では「王族として不安」と言われるほど、繊細で優しくお人好しだが、戦闘中は味方がドン引きするほど残虐な戦闘狂。
辺境の砦へ赴任したのは、王族ではない当時の騎士団長ランディの職務遂行の妨げにならないように、との思いからだった。
レアンドロは、兄や父親らの、可愛い弟・息子の意思を汲んだというだけではなく、元学院長エイダンを始めとする狡猾な古参貴族達に食い物にされかねないレアンドロを中央の政争激戦地から離して逃がす地として辺境の砦が適しているから賛同した、という思惑には気付いていない。
溺愛する甥から「叔父上の中身にはいつ会えるの?」と訊かれたことがショックで、面白い叔父さんになろうと迷走したが、兄に諭されて素に戻った。
アンドレアは二歳以前の記憶がほぼ無いので、叔父にショックを与えた事実も覚えていない。
前騎士団長ランディの辞任で空いた、クリソプレーズ王国騎士団団長の地位に就任。
【コンラッド・ルタ・クリソプレーズ】
年齢;69歳。
先代国王。ジュリアンとレアンドロの父親。
王族なので非常に美形なイケオジではあるが、武闘派で知られた弟よりも目つきが悪い。悪人顔美形。
性格はジュリアンとよく似ている。
現国王ジュリアンは、中身が相当に父親似。
自分と似ていない心根のレアンドロが可愛い。デカくても中年になっても可愛い。
王族らしからぬ中身のレアンドロの行末を心配はしているが、自分そっくりのジュリアンなら「何とかするだろう」と丸投げしている。
現在は、弟エドワードを護衛に各地を放浪中。
一応、王都から簡単に動けない息子のために各領地の内情を探っては報告しているが、身軽に庶民グルメや庶民の娯楽を体験してご満悦なので、どちらが主目的かは怪しい。
妃達は、静養地の一つにある離宮で静かに暮らしている。
旅には伴っていない。
弟の持つヒューズ公爵領の隠れ家を、非常に気に入っている。
退位自体は24年前だが、一年間ほど引き継ぎ期間としてジュリアンをサポートしていた。
孫達とは、ほとんど顔を合わせたことが無い。
【エドワード・マニシャ・クリソプレーズ】
年齢;66歳。
先代国王の同母弟。ランディの前の騎士団長。
「武闘派」の呼び声に相応しい体格と厳つい風貌のイケオジ。眼光も鋭いが、兄ほど目つきは悪くない。武人風美形。髭あり。
騎士団長退任後は、生涯独身を条件とした一代限りの大公位を与えられ、現在は王領の一つとなった元ロペス公爵領の管理もしている。
ただし、本人は兄である先代国王の放浪の旅に護衛として同行しているため、実際に領地を管理しているのは王城から派遣された代官。
前ヒューズ公爵(現宰相オズワルドの父でモーリスの祖父)を側近としていた。
ヒューズ公爵領の温泉地に、隠れ家としている屋敷がある。
23年前、自国の軍部を実力主義が実現されるよう改革し、若くして勇退を決意。
この時、王族のレアンドロではなく、ジュリアンの側近だったランディを後継者に指名したのはエドワード。
騎士団長となることをレアンドロ自身が拒んでいたこともあるが、軍部をかなり強引に実力主義の方向へ転換したばかりの過渡期だったために、気質の優しいレアンドロでは抑えられず御しきれないだろうと、最初から後継者候補から外して考えていた。
↓↓↓以下、故人↓↓↓
【フェリクス・ジャヤ・クリソプレーズ】
先々代国王。
自称帝国に対抗する国々で同盟が結ばれた時期に王太子だった国王。
同盟締結により、幼少期から決まっていた国内の婚約者との婚約を解消し、モスアゲート王国王女と婚姻を結ぶことになった、動乱期の王族。
即位は25歳の時。終戦から十年後、父王レオナルドが暗殺により死亡したことで即位。
コンラッド、エドワード、前クラッブ伯爵、前ダナム伯爵の父親。
元学院長エイダンの父親ではない。
父王の被害を少しでも減らそうと尽力した人生だが、影響を完全に払拭することは不可能だった。
歴史書には、特筆すべきことの無い国王だったように記されているが、実際は、愚かな父親に振り回されて波乱万丈な人生を送った人物。
父王が正妃の他に九人もの側妃を抱えて作り過ぎた子供達による、血みどろの権力闘争及び暗殺合戦のせいで戦後の復興が著しく妨げられ、味方も少ない中で非常に苦労した王。
数少ない味方である、23歳年下の末の異母弟ジーンの協力の下、どうにか復興の道筋を付け、息子コンラッドに王位を譲る見通しが立った頃に過労死した。
【ジーン・クリソプレーズ】
フェリクスの23歳年下の異母弟。
外見はアンドレアと瓜二つ。髪は腰まで長いが、違いはそれくらい。
父はレオナルド王。母親は『剣聖』アレン・グリフィンの妹、モニカ・グリフィン。
産まれた時から、周囲の大人の話す言葉も内容も理解して記憶していた天才。
フェリクスの異母弟だが、フェリクスの息子のコンラッドやエドワードと同年代であり、彼らの大きな支えとなっていた。
コンラッドが国王だった時代に、一時期宰相を務めていたが、25年前、43歳で暗殺された。
フェリクス王の時代は「王の異母弟」の数が多すぎ、婚姻適齢期である青年時代が動乱期だったこともあり、生涯独身で国内の安定に身を捧げた。
天才的手腕で国賊の謀を事前に沈静化、もしくは暴いて排除していたことで、善からぬ輩からの恨みを多く買っていた。
ジーンの死により、道筋の付けられていた政策の幾つかが頓挫。
コンラッドも、ジーンの手腕有りきで進めていた計画は、見送らざるを得なかった。
暗殺される前、最後に成し遂げていたのは、軍部の腐敗体質の改革。
これを引き継いで、軍部を実力主義の組織に変革したのがエドワード。
しかし、ジーンを失った穴は大きく、実務の面でも精神的な支えとしても、コンラッドは「国王」として気力を保つことが出来なくなり、ジーンの死から一年後、コンラッドは息子ジュリアンに王位を譲り退位した。
【レオナルド・アナンダ・クリソプレーズ】
先先々代国王。
クリソプレーズ史上最悪の暗愚王。
その愚行と名は、『王家の恥』として、隠しながら次代の王、または王の器を認められる者にのみ、記録に残らぬよう口伝にて伝えられている。
歴史書や教科書では、一切の悪行も愚行も記されておらず、『悲劇の王』として同情を集めているが、実態は、自称帝国との戦中、戦後の国内の混乱の元凶。
正妃の他に側妃を九人抱え、増え過ぎた王族同士の暗殺合戦の引き金となり、締結したばかりの同盟に亀裂を入れかねない不敬を犯した令嬢を息子の後宮に側妃として匿い、息子が手を付けなかったその令嬢に手を付けて、後の火種にしかならない子を産ませた。
その子供が元学院長エイダン。
ちなみに、九人の側妃の内の一人は、弟ジャスティンの婚約者モニカ・グリフィンを、未成年の内に王命で自身の後宮に囚えて略奪したものである。
人望厚く、剣技にも優れていた同母弟のジャスティンを憎悪しながら、表面上は重用する振りをしていた。
戦争が激化すると弟への憎悪を表出させ、ジャスティンに忠誠を誓っていた『剣聖』アレン・グリフィンを王命によって略奪。
ジャスティンには、少数の戦争孤児を連れて最前線に出て敵将の首級を挙げるまで帰還を許さぬ命を下して戦死させた。
更に、己の都合の良いように史実を捻じ曲げて記録させ、都合の悪い記録や文献は廃棄させ、後世に正しい歴史が伝わらないよう策を弄した。
しかし、「当時を知る人間」までを「全て廃棄」などは出来なかったので、ジーンら、レオナルドの愚行を間近で見聞きしていた人々によって真実が語り継がれることになる。
現在、戒めとして、「レオナルド」の名は、王族に使用してはならない禁忌の名となっている。
享年41歳。死因は暗殺。
下手人は捕らえられて処刑されたが、一部の人々からは密かに英雄視されていた。
【ジャスティン・ダーナ・クリソプレーズ】
レオナルドの9歳年下の同母弟。
ジャスティンを憎んでいた兄王レオナルドによって、全ての肖像画を破棄されたために正確な容貌は伝わっていないが、実はジュリアンと双子のように似ている。
ただし、性格はジュリアンのように捻じ曲がっていなかった。
捻じ曲がる前に早世しただけなのか、清廉な気質が王族として寿命を縮めたのかは、後世の誰にも分からない。
兄を支えるために剣技を鍛えていた真っ直ぐな青年だったが、騎士団で親しくなり専属護衛となったアレン・グリフィンが、『剣聖』として覚醒してジャスティンを主と選んで忠誠を誓ったことで、兄王の逆鱗に触れる。
王命により自身の『剣聖』を奪われ、兄の謀略で、足手まとい付きで最前線に送られて戦死した。
兄王の命令に逆らわず最前線へ向かったのは、兄の後宮に囚われた婚約者、モニカ・グリフィンを取り戻すためだったが、願いは叶わなかった。
才覚と人望があったがために、幼い時分から兄に憎悪を向けられ、破滅を企まれていた悲劇の王子。
もう一回、人物紹介が続きます。
次回は、人物紹介(その他。ネタバレ有り)になります。