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第36話 色街慕情その3

 1時間。1時間アレジオは剣を女の子に突きつけて「お前がサキュバスだろ」と繰り返したが結局この日サキュバスは見つからなかった。


「クソ! 今日はもう帰るぞ! もうティータイムではないか!! また明日くるからそれまでお前らでサキュバスを探しとけ!!」

 アレジオはそう言うと一人不機嫌にお店を後にする。


 俺とデュークは肩すくめる。するとリンさんが話しかけてくる。

「もう最悪……アイツ一体何様のつもりよ……」


「ごめんね」


「あんたらが謝らなくてもいいよ。悪いのはあいつだし。それでどうするの明日までここで探すの?」


 俺とデュークは首を横に振る。

「まさか。今日はもう帰りますよ。そうだ! リンさんなにか見たり聞いたりしたことがあったら俺かこいつに言ってください。俺はウェブ・ステイでこっちはデューク」


「うん。分かった。私の方でもなにか手掛かりがないか探しておくから」


「ありがとうございます! それじゃ」


 俺とデュークも色街を後にし騎士団本部に戻る。


「アレジオさん戻ってますか?」

 受付で一応聞いてみる。


「いえ、あなた達と一緒に行かれてから見かけておりませんが」


「わかりました」

 ……あいつ……絶対お気に入りのお店に行きやがった……


 俺たちが受付を後にすると……


 聞き覚えのある女の人の声でこういった。

「ウェブ・ステイに会いたいのですが?」


 俺が振り返ると真っ黒な絹のように美しい長い髪に黒曜石のような大きな瞳をした美しい女性がそこに立っている。


「アリシア?」

 俺がそう声を掛けるとツカツカと何も言わず俺の前に立つとその瞳を三角形にし、パチーン! という音が騎士団本部の受付に響く。


「え?」

 頑丈S++だから全くダメージはないんだけど、何が起こっているのか高速機転(中)の俺の頭を持ってしても理解ができない。


「サイテー!!」

 そういうとアリシアは顔を伏せて走っていく。


 ……なにがなにやらさっぱり意味が分からないんだが……


 するとデュークが慌てた様子で話しかけてくる。

「追いかけて!! 女の子が泣きながら走っていく時は追いかけての合図なんだよ!! 早く追いかけて!!」


「あ、ああ……」

 俺はデュークに言われたとおりにアリシアを追いかける。


 素早さSのこの俺が女の子の足に追いつけないことはなく、騎士団本部出た辺りでその手を掴む。

「汚らわしい! 離してください!」


「ど、どうしたっていうんです。アリシア様。久しぶりに会ったっていうのに」


 俺がそういうと目に涙を貯めたアリシア。

「ウェブ様は立派な騎士になって私をお迎えに来てくれるのではなかったのですか!! それなのに!! 昼間から色街に入り浸るなど!!」


 どうやら俺たちが色街にいるのを見かけたようだ。


「こ、これは……騎士の仕事で色街に行っただけのことで……」


「……嘘です……だったなんで1時間も居て出てくるんですか」

 アリシアポツリとそう漏らす。


「ずっと見てたの?」


「勿論です!!」


 騎士団本部の出入り口でアリシアが大きな声を出すものだから、俺が女の子を泣かせているような感じになって人々が遠巻きにみている。


 すると一人の男の人が話しかけてくる。

「お嬢さん。すまいなねぇ。こいつの言ってることは本当のことだよ。私達の指示でこいつは色街に行ったんだ」


「副団長……」

 そうたまたま通りがかった副団長が俺とアリシアのやり取りを見ていたようで助け舟を出してくれたのだ。


「申し遅れてすまない。私は騎士団の副団長リュミエルだ」


 副団長の話を聞いてアリシアは顔を真っ赤にさせ両手で顔を隠す。

「す、すいません……ウェブ様……私はとんだ早とちりを……」


 副団長はうんうんと頷き「誤解は解けたようで何より何より」と一人呟くとそのまま行ってしまった。


 アリシアは顔を両手で隠し

「私最低ですね……ウェブ様の言ってることも信じられないなんて……もうウェブ様の伴侶になる資格はありません……このまま消え去りたい」

 といって走り出そうとするのを手を掴んで止める。


「誰でも勘違いはするし、場所が場所だから仕方ないよ。俺はアリシア様との約束を護る為に立派な騎士になるように頑張ってます」


 胸につけてある銀獅子勲章を外してアリシアの手に握らせる。


「これはこの前もらった勲章です。この勲章に誓って俺は立派な騎士になってアリシア様をお迎えにあがります」


 俺がそういうとアリシアは顔を上げて俺を見る。


「はい……私はいつでもいつまでもウェブ様をお待ちしております」

 真っ赤な顔で今度はニコッと笑いながらそういうとまた涙が溢れる。


 そこへデュークがやってくる。

「あ! また泣かせてる!!」


「これは嬉し涙です」

 アリシアは嬉しそうにそういった。


 なんでアリシアがこの場に居たのかというと、アリシアの親父さんが王都で仕事があるらしくそれに同伴をすることにしたということらしい。王都にもアリステル家の別宅があり、1ヶ月程は王都に滞在するということだった。


 俺に会おうと騎士団本部に向かったところ色街に3人で入っていくところを見かけ1時間ほどで出てきたので疑ってしまったということだった。



正妻はアリシアさんです。

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― 新着の感想 ―
[一言] アリシアさん、必要以上に反省しなくて良いよ。 目の前の男は初任給全部ガチャに注ぎ込むカスだから。 頑張って仕事しているけどカスだから。
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