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第22話 カンニング

 顔を真っ赤にさせたアレジオは一人道場を後にする。

「アレジオさん!」

 俺が追いかけると「付いてくるな!」と怒鳴る。


「でもアレジオさん俺の教育係ですし……」

「いいからくるな!」

「でも……」


「お前は便所に行くのも付いてくるのか!」

「連れションですね」

「くそが!」

 というので付いて行くのを止めて道場で待っていたが結局午前中は帰ってこなかった。



 午後になってもアレジオの姿はなく、一人で騎士団本部の中庭の雑草(昼飯)を抜いていると、品の良さそうなおじいさんに話しかけられる。

「殊勝だねぇ。若い騎士はその心掛けが大切だよそれじゃあね」


 なんか昼飯食べようとしてたら褒められちゃった。


 雑草を食べ、昼から何すればいいんだと途方に暮れていると「おい! 新人! 早く来い! 教育係についてくるのが新人だろうが!!」とアレジオに理不尽に怒られる。


「はい」

 返事をしてアレジオに付いて行くと話し掛けてくる。

「騎士というものは教養が必要とされる。お前の教養を鍛えるいいな」

 そう言ってアレジオは俺をとある部屋につれていく部屋の中には机が一つ真ん中に置かれ、その机の上には紙が一枚置かれている。


「まずはお前がどの程度教養があるのか調べさせてもらう」


 机の上にあった紙には


 第1問 歴代の国王の名前を全て書け。

 第2問……


 と書かれている。


「ちなみその問題はな過去に全部正解したのは騎士団の頭脳、参謀職についている我が兄のみ。まあ教養のある騎士であれば、6割は正解する筈だ!あとお前は筋肉自慢だろ?空気椅子は俺からプレゼントだ」


「……は、はあ……」


「騎士の返事は『はい』だろうが!」


「はい」

 という事で空気椅子をしながら机に向かう。


 ……1問目からさっぱりわからん……今の国王様の名前すらしらん……


「それじゃ俺は優雅にティータイムだ」

 俺の向かいの机に座ったアレジオは机の上にある陶器製のケトルかお湯をティーカップにいれる。


 紅茶のいい匂いで部屋が包まれる。


 そんなことはどうでもいい……どうしよう……1問も分かんなかったら……俺騎士団クビ? アリシア様に迎えに行くって言っちゃってるしな、クビは不味い。


 とりあえず千里眼使ってみるか。


 千里眼を使って騎士団本部内の図書室を見る。


 ……背表紙、王国の歴史。


 あったあったこれこれ……って閉じた本みれねぇんだけど! 万事休す……


 瞬間移動……アレジオ目の前にいんのに流石に無理!


 アレジオは目を閉じて香りを楽しんでいる様子。


 俺の高速機転が導きだした答えはこれだ!


 アレジオが目を閉じた瞬間に図書室に瞬間移動し本を開く。ほんの数秒で! それを繰り返すだけの簡単なお仕事!


 そして図書館の本の前に瞬間移動し本を開く。


 空気椅子をしながら元に戻る。


「うーんいい香りだとは思わんかね?」

「……」


「エレガントさがない! 騎士たるもの難題に取り組んでいるときこそエレガントさが求められるのだ!」


「はい」


 ……早く目を閉じろよ。2問目にいってんだから


 プンプンと怒ったあとアレジオはまた目を閉じて紅茶を楽しんでいる。


 アレジオの癖かなんか知らんが紅茶を一口含む毎にうーんなどとわざとらしく目を閉じるおかげで瞬間移動が捗る。


 紅茶を飲んだせいかトイレにも行ったおかげで小一時間で全部埋めることができた。


「出来ました」

 トイレから帰ってきたアレジオに紙を渡す。


 俺が書いた紙とアレジオの胸から取り出した紙を見比べている……そして……


 アレジオは顔を青ざめさせていき

「あ、ありえない!! お前が全問正解などあり得ない!!」と叫ぶ。


「でも俺が書いてるの見てましたよね?」


「カンニングだ!! 俺がトイレに行ってる隙に答えを写したんだ! そうだそうに違いない!!

 カンニングするなんて騎士道にも反する行為! 万死に値する!」


 アレジオが腰の剣に手を掛けそうになった時、部屋の扉が開く。

「何があったのです?」

 昼に俺を褒めた品のいいおじいちゃんが現れる。


 その姿を見てアレジオは背筋を伸ばす。

「剣聖! 聞きぐるしい声を上げ申し訳ありませんでした!」


 というかあのじいちゃんか剣聖なのか……ただのじいちゃんじゃなかった……


 剣聖はアレジオに話しかける。

「ふむ。何があった?」


 アレジオは事細かく剣聖に説明をする。


「ではアレジオ・ファフナー君はこの者がカンニングをしていると」


「ええ間違いありません。この問題を全問正解したのは騎士団の頭脳、参謀職を預かる我が兄フィンのみなのです」


「ふむ。君は目の前にいる人間がどうやってカンニングをすると?君は最後にトイレに行くまでずっとこの部屋で彼と二人だった。そしてトイレで中坐したのも5分程、5分で部屋からでて答えを調べ戻ってくる君には可能のかね?」


「そ、それは……」


「この新人騎士を昼に中庭で雑草を抜いておったのを見た。そのような騎士の鑑の様な心を持つ者がカンニングするというのかね?それとも我が剣聖の見る目がないとでも?」


 剣聖はそう言うと眼光鋭くアレジオを睨み付ける。


 アレジオは膝をガクガクと震わせながら剣聖に謝罪をする。

「……わ、私の勘違いです……ウェブは全問正解でした……」


「ちがう! 君は私に謝るのではない! この騎士に謝るべきだ! カンニングを疑うなど騎士の尊厳を傷つけたのだからな!」


 アレジオは顔を伏せ肩を震わせながら話す。

「す、すまん……カンニングを疑うなど……」


「いやいいですよ……誰にも間違いはありますんで」

 俺がそう言うと剣聖は「素晴らしい……君は本当に騎士の鑑だ!」と言った。


 ……その言葉を聞いてちょっぴり胸が痛んだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 頭脳に関してはそのうち化けの皮はがれそうw
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